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本編
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「ほら、行くぞ」
と言って歩き出す爽君を、私は追いかける。
「行くって、三人で?」
「お前がそう言ったんだろ。この俺が、わざわざ予約してたレストランに言って、三つ席を用意してもらったんだからな」
「ごめん、ありがとう、爽兄」
おずおずと紘ちゃんが言う。
爽君は、くるりと振り向いた。
そして、紘ちゃんの目をじっと見つめる。
「お前……」
唇が何かの言葉を形作ろうとして、途中で止まる。
「……いや、何でもない」
「変な爽君」
私は呟き、芝生から学園都市の外へ出る道を歩き出す。
そこは桜のトンネルだった。
夕闇に音もなく、幾百幾千の桜の雨が白く降り積もる。春風が柔らかく梢を揺らしている。
(綺麗……)
しばらく桜に見とれていたら、視線を感じて振り向いた。
『ありがと』
少し後を歩いていた紘ちゃんが、声を出さずに唇を動かして伝えてくる。
私は微笑んで首を振った。
(爽君も桜、見てるかな)
横顔を覗き見て、私は息を呑んだ。
何て険しい表情だろう。桜なんて、一ミリも目に入っていない。
(爽君……)
何かに耐えるように唇を噛み、ぐっと闇の奥を睨むようにしている。
その目の奥に、とても強い感情が宿っていた。
怒り? 嫌悪? 疑心? それとも――恐怖だろうか。
さっき紘ちゃんを見たときの、凍りついたような目。あれは見間違いなんかじゃなかった。
離れていた七年の間に、一体、何があったというのだろう。
伸ばしかけていた手を、私は気づかれないよう、そっと引っ込めた。
と言って歩き出す爽君を、私は追いかける。
「行くって、三人で?」
「お前がそう言ったんだろ。この俺が、わざわざ予約してたレストランに言って、三つ席を用意してもらったんだからな」
「ごめん、ありがとう、爽兄」
おずおずと紘ちゃんが言う。
爽君は、くるりと振り向いた。
そして、紘ちゃんの目をじっと見つめる。
「お前……」
唇が何かの言葉を形作ろうとして、途中で止まる。
「……いや、何でもない」
「変な爽君」
私は呟き、芝生から学園都市の外へ出る道を歩き出す。
そこは桜のトンネルだった。
夕闇に音もなく、幾百幾千の桜の雨が白く降り積もる。春風が柔らかく梢を揺らしている。
(綺麗……)
しばらく桜に見とれていたら、視線を感じて振り向いた。
『ありがと』
少し後を歩いていた紘ちゃんが、声を出さずに唇を動かして伝えてくる。
私は微笑んで首を振った。
(爽君も桜、見てるかな)
横顔を覗き見て、私は息を呑んだ。
何て険しい表情だろう。桜なんて、一ミリも目に入っていない。
(爽君……)
何かに耐えるように唇を噛み、ぐっと闇の奥を睨むようにしている。
その目の奥に、とても強い感情が宿っていた。
怒り? 嫌悪? 疑心? それとも――恐怖だろうか。
さっき紘ちゃんを見たときの、凍りついたような目。あれは見間違いなんかじゃなかった。
離れていた七年の間に、一体、何があったというのだろう。
伸ばしかけていた手を、私は気づかれないよう、そっと引っ込めた。
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