ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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「夢の中で、私は白っぽい服を着てるの、いつも。それでゲームに出てくるような、綺麗な神殿の中にいる」

カウンセリングルームで、私は爽君に夢の内容を話していた。

目の前にはカモミールティーが置かれている。

柔らかなヒマワリ色のお茶で、心を落ちつける作用があるそうだ。

「私は……いつも誰かと話してる。同じ神殿の巫女だったり、偉い神官の人だったり。そして、祈りを捧げてるの。世界が救われますようにって」

空は青く澄んでいて、神殿の中は真っ白で、庭には色とりどりの花が咲き乱れていて。作り物のように美しい世界。

爽君は眼鏡の奥の目を細め、手にしたファイルにペンを走らせている。

「それで?」

「えっ?」

「舞はその人たちと、どんな話をするんだ?」

「うーん……分からない」

爽君の視線に気づいて見ると、知らない間に、自分が祈るように両手を握りしめていることに気づいた。

「でも、いつも変な感じ。幸せなのに涙が出そうで、不安なのに心が静かになっていくような……」

うまく言葉にできず、私は口ごもった。

紘ちゃんの意識が回復したとき、元気な自分で会いたい。

だから、逃げずに自分と向き合おうと決めた。

夢のことも、爽君になら話しても色眼鏡で見たり、引いたりしないだろうと思えた。

「誰かの名前は思い出せるか? もしくは舞自身が何て呼ばれてたか」

「名前?」

(名前なんて呼ばれたかなあ)

記憶の底を手探りで探しても、全く手がかりは出てこない。

でも、そうしているうちに、不意に懐かしい感情が胸を突いた。

――どうせ二人は、私を置いていく。

あまりにもはっきり聞こえたので、自分の声とは別物のように響いた。

切ないような、やるせないような、そんな気持ち。

私が今、爽君と紘ちゃんに対して抱いてるのと、同じ気持ちだ。
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