ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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本編

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「何でこんなことするの?」

泣きたい気分で、私は爽君から顔をそむけた。

「爽君はいつもそう。何でも自分で勝手に決めて、私の都合はお構いなし。なのに私がお願いしても、意見を言っても、全然聞いてくれない」

「舞」

「私はもう子どもじゃない。簡単に思いどおりになると思わないで」

私は爽君を睨みつけると、はっきりと敵意を込めて言った。

目線に撃たれたのか、爽君の顔がかすかに青ざめる。

そのまま三十分以上、二人とも黙り込んだまま、走る車という牢獄に閉じ込められていた。

爽君は厳しい表情で腕を組み、窓の外を眺めつつも、時折私を気にするようなそぶりを見せる。

でも私は、一切目も合わせず口も開かなかった。

限界は、最高に間抜けな形で訪れた。

(トイレ行きたい)

午後の休憩時間に行ってから、トイレに行けてない。

普段はすぐ家に帰るから問題ないのだが、この状況で言い出すのは恥ずかしかった。

何とかしてスマートにトイレに行く方法はないだろうか。

もじもじして、「トイレか?」と聞かれるのも恥ずかしい。

そして、一度行きたくなると我慢できなくなるのがトイレだ。

(どうしよう……)

謎のパニックに陥っていると、爽君が静かに言った。

「着いたぞ」

「えっ」

そういえば、どこに行くか聞いていなかった。

でも、今の私にはトイレが最重要事項で、それどころではなかった。

車から降り、辺りを見回して私は絶句した。

(これ……何?)
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