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本編
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「ねえ、さっきの話……どこから聞いてたの?」
「いちいち聞かなくても、何を話してたかは分かる。由記もディエス・イレには詳しいからな」
(やっぱり本当なんだ……)
ただ、摂理というのが気になった。
「でも、どうして人は滅びなくちゃならないの?それに前世ってことは、私たちはディエス・イレを経験したことがあるってことだよね?一度だけじゃなく、二度もディエス・イレを起こす必要があるって」
「一度や二度じゃない。今まで数え切れないほど、この世界は滅びと再生を繰り返してきた。そのたびに、お前や紘二のような人間がいて、役割を果たしてきた」
「役割?」
「そう。鍵と、それを封じる者」
聞き覚えのある単語に、耳がぴくりと動いた。
そのまましばらくの間、爽君は黙っていた。
「爽君……?」
(眠っちゃったのかな)
仕方がない。大変な一日だったのだから。
「否定しないんだな」
突然、声が聞こえてきて、私はつんのめった。
「起きてたの」
「起きてるよ。この状況で寝れるかっつーの」
ぼそりと爽君は呟き、私の体を引き寄せた。
胸に顔を押し当てると、体温と鼓動がはっきりと感じられる。
「痛くない……?」
「痛くない痛くない」
安心させるように言われ、私は息をついた。
傷はきっと深いだろう。体の傷よりも、多分、心の傷が。
「今日はもう休んだら?明日またお話しようよ」
「……まだ信じられないんだよ。お前が」
息を継いで、うめくように爽君は言った。
「前世のことを、ディエス・イレのことを、俺の言葉を信じてくれるのが」
鋭い痛みが胸を貫き、私は言葉を失った。
「いちいち聞かなくても、何を話してたかは分かる。由記もディエス・イレには詳しいからな」
(やっぱり本当なんだ……)
ただ、摂理というのが気になった。
「でも、どうして人は滅びなくちゃならないの?それに前世ってことは、私たちはディエス・イレを経験したことがあるってことだよね?一度だけじゃなく、二度もディエス・イレを起こす必要があるって」
「一度や二度じゃない。今まで数え切れないほど、この世界は滅びと再生を繰り返してきた。そのたびに、お前や紘二のような人間がいて、役割を果たしてきた」
「役割?」
「そう。鍵と、それを封じる者」
聞き覚えのある単語に、耳がぴくりと動いた。
そのまましばらくの間、爽君は黙っていた。
「爽君……?」
(眠っちゃったのかな)
仕方がない。大変な一日だったのだから。
「否定しないんだな」
突然、声が聞こえてきて、私はつんのめった。
「起きてたの」
「起きてるよ。この状況で寝れるかっつーの」
ぼそりと爽君は呟き、私の体を引き寄せた。
胸に顔を押し当てると、体温と鼓動がはっきりと感じられる。
「痛くない……?」
「痛くない痛くない」
安心させるように言われ、私は息をついた。
傷はきっと深いだろう。体の傷よりも、多分、心の傷が。
「今日はもう休んだら?明日またお話しようよ」
「……まだ信じられないんだよ。お前が」
息を継いで、うめくように爽君は言った。
「前世のことを、ディエス・イレのことを、俺の言葉を信じてくれるのが」
鋭い痛みが胸を貫き、私は言葉を失った。
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