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本編
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今まで何度も何度も、爽君は私に話そうとしてくれた。
そのたびに私は、信じきれずにそっぽを向いてきた。
夢は私に真実を告げてくれていたのに、薄々気づいていたはずなのに、向き合うのが怖くて。
「ごめんなさい、爽君」
気づいたら、爽君の頬に両手で触れていた。
「ごめんね」
「いいんだよ。荒唐無稽な話だし、信じろっていうほうが無理がある。俺は一生、お前に信じてもらえずに終わると思ってた。その前に世界が滅びると」
爽君は私の両手を頬から外し、握りしめた。
「だから、もしこれが夢だったら、覚める前に全部話しておかなくちゃって」
「夢じゃないよ……」
私はかすれ声で言った。
眠って目が覚めたとき、私が前世のことも今日のことも全て忘れていたら。
やっと分かり合えた希望が、絶望に染まる。
「そうだな。でも、『摂理』は俺たちを引き裂こうとしてる。俺は摂理から外れた存在だから」
摂理という言葉が再び口にされ、爽君の体にぐっと力が入るのが分かった。
「ディエス・イレは起こらなければならない。それは世界にとって必要な者を選別し、残りの者を滅ぼし、あらゆる文明を無に帰すための儀式だ。
そうすることで人口の増加や自然破壊、積もり積もった負の力を一掃し、世界の均衡を保つ。それが創造主の造った『摂理』だ。その摂理に基づいて、世界は動いている。
全てが滅びた後、残された人間の元で新たに文明が生まれ、発展し、やがて再びディエス・イレを迎える。
そして、ディエス・イレを起こすために必要な『鍵』こそが、住吉紘二――コンスタンスの魂だ」
「紘ちゃんが、ディエス・イレのための鍵……?」
爽君は、何か硬いものを飲み込むようにして、こくりと頷いた。
「そうだ。あいつがこの世界に生まれることこそが、間もなくディエス・イレが起こるという印だ。
あいつがこの世に生を受け、二十歳の誕生日を迎える日にディエス・イレは起きる。
何度生まれ変わろうと、そのたびに世界を滅ぼす。この世界にディエス・イレを起こす発動条件、鍵となる存在だ」
私は息を呑んだ。
そのたびに私は、信じきれずにそっぽを向いてきた。
夢は私に真実を告げてくれていたのに、薄々気づいていたはずなのに、向き合うのが怖くて。
「ごめんなさい、爽君」
気づいたら、爽君の頬に両手で触れていた。
「ごめんね」
「いいんだよ。荒唐無稽な話だし、信じろっていうほうが無理がある。俺は一生、お前に信じてもらえずに終わると思ってた。その前に世界が滅びると」
爽君は私の両手を頬から外し、握りしめた。
「だから、もしこれが夢だったら、覚める前に全部話しておかなくちゃって」
「夢じゃないよ……」
私はかすれ声で言った。
眠って目が覚めたとき、私が前世のことも今日のことも全て忘れていたら。
やっと分かり合えた希望が、絶望に染まる。
「そうだな。でも、『摂理』は俺たちを引き裂こうとしてる。俺は摂理から外れた存在だから」
摂理という言葉が再び口にされ、爽君の体にぐっと力が入るのが分かった。
「ディエス・イレは起こらなければならない。それは世界にとって必要な者を選別し、残りの者を滅ぼし、あらゆる文明を無に帰すための儀式だ。
そうすることで人口の増加や自然破壊、積もり積もった負の力を一掃し、世界の均衡を保つ。それが創造主の造った『摂理』だ。その摂理に基づいて、世界は動いている。
全てが滅びた後、残された人間の元で新たに文明が生まれ、発展し、やがて再びディエス・イレを迎える。
そして、ディエス・イレを起こすために必要な『鍵』こそが、住吉紘二――コンスタンスの魂だ」
「紘ちゃんが、ディエス・イレのための鍵……?」
爽君は、何か硬いものを飲み込むようにして、こくりと頷いた。
「そうだ。あいつがこの世界に生まれることこそが、間もなくディエス・イレが起こるという印だ。
あいつがこの世に生を受け、二十歳の誕生日を迎える日にディエス・イレは起きる。
何度生まれ変わろうと、そのたびに世界を滅ぼす。この世界にディエス・イレを起こす発動条件、鍵となる存在だ」
私は息を呑んだ。
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