ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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本編

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「自分が死ぬことなんてどうでもいいんだよ。死ねばもう、あの地獄からは逃れられる。俺が役目を果たせば、ディエス・イレさえ起こせば、あの夢は見なくてすむ。死ななくていい人間を守れて、世界は救われる。だから、だから俺はこれでいいんだ、このままでいいんだよ!」

両手を振り回し、目を血走らせ、大声で紘ちゃんは言った。

気がつくと、すぐ傍に爽君が立っていた。

私をかばうようにして、腰を低くし力を溜めている。

(鳥籠の能力を使うなら今だ)

我を忘れて暴走している紘ちゃんの隙を突き、あの黄金の檻に閉じ込めることができたなら。

ディエス・イレを防げる。運命を変えられる。

(でも……そうすれば紘ちゃんは……)

急に耳鳴りがして、頭にキーンと不快な音が響いた。モスキート音の何倍も嫌な感じのする音。

「耳をふさげ、舞!」

爽君に言われ、私はしゃがんで耳を閉じる。

ガガガガッと音がし、目の前の景色が白黒になる。

(何?)

「紘ちゃん!」

立ち上がろうとするが、足に力が入らず、倒れ込んでしまう。

支えてくれたのは爽君だった。

「磁場が狂ってる。このままだと、この空間から出られなくなるぞ」

「紘ちゃん、お願い!話を聞いて」

紘ちゃんは腕を振り回し、何事か叫んでいる。

「それでも私はっ」

水の中でもがいているような感覚で、息がうまくできない。

届け、届けと願いながら、私は必死で叫んだ。

「私は、私は――紘ちゃんに生きててほしいの!」

その瞬間、閃光に照らされたように、視界が真っ白になった。
































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