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【#25 恋愛経験ゼロを告白しました】
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「……っていうわけで、何か急にアキトに近づいたり、顔を合わせるのが気まずくなっちゃったの。エルもそんな経験ある?」
聞き終えたエルは、「メイちゃんらしいなあ」と笑った。
「私らしいってどういうこと?」
「ちょっと風変わりなお嬢様っていうのがプリスタイン公爵令嬢の評判だったけど、相当変わってるなと思って」
くくく、とエルは喉の奥を鳴らして笑う。
「ちょっと。馬鹿にしないでよ、人が真剣に悩んでるのに」
「いや、馬鹿にしてないよ。あのさ、君、お茶会出たことある?」
突然の話題転換に、私は目をぱちくりさせた。
お茶会は、貴族の間では成人前の男女が参加する、プレ社交界みたいなものだ。
この世界では十八歳で成人となり、結婚したり家や爵位を継承したり、晩餐会やダンスパーティーなどいわゆる『社交界デビュー』ができる。
それまでに貴族社会のしきたりやマナーを学んだり、人脈を作っておくのがお茶会の目的だ。
まあ、私はあんまり好きじゃないから出てないけど。
「あるけど……それが何?」
「そこで知り合った男性から口説かれたり、ラブレターとかもらわなかったの?」
「うーん、あったかなー。あんまりないかも。お話する相手はお父様が全部決めてたし、時間が来るとアキトが会話を終わらせてくれたし」
「なるほど。悪い虫がつかないように、がっちり防御されてたってわけか」
なぜかエルは納得した様子だった。
「仮にさ、メイちゃんのことを心から思ってくれてる男性がいるとするじゃない。でもメイちゃんが今デートしたいのは制服眼鏡男子であって、特定の誰かじゃないと。そしたら、その人は『誰でもいいんかーい』ってがっくりするんじゃない?『この人は人の内面を気にせず、見た目だけで判断してるんだ』って」
状況を整理して伝えられ、私は青ざめた。
「そ、それ……それって、私めっちゃビッチってことじゃん!」
「あはは、そうだね~」
気楽にエルは笑っている。
「違うの! そんなんじゃないよ!! 私、もがっ」
「声が大きいよ。ね? 静かにして」
大きな手で口をふさがれて、私はこくこくと頷いた。
呼吸が収まり、しばらく落ちつくのを待ってから、エルは切り出した。
「眼鏡科ってすごいところだよね。君の眼鏡に対する愛や情熱が、こんなに多くの人を動かしてるし、プリスタイン寮の発展につながってる。けど、それゆえに、今の君は人を眼鏡という外見で判断してるように見えるよ」
エルはあくまでも笑顔で、ずばりと言い切った。
確かに、悪気は全くなかったけど、私、アキトやリュシアンに対してすごく失礼なことをしてたのかも。
「だからさ、学んだらいいんじゃない? 人間関係や恋愛のことを」
明るい声で言い、エルは両手を広げた。
「メイちゃんが今まで恋愛経験がないのはよく分かったし、それは別にいいじゃん。大事なのはこれからだよ。
気まずかったり、傷つけたり傷つけられたり、そういうのも含めて人間関係でしょ。一つずつ、少しずつ学んでいけば、今抱えてる問題も解決するかもよ?」
「そうね。……そうだよね!」
嬉しくなって、私は頷いた。
「ありがとう、エル。何だか気持ちが楽になったわ。私これから恋愛のことも勉強する」
「俺が教えてあげるよ」
気づいたら、息がかかるぐらいの距離にエルの顔があった。
え、え、え、え、え!? 何、この流れ! いや、恋愛の勉強したいとは言ったけれども!
まさかパリピ眼鏡男子と、いきなりチューすることに?!
「見つけましたよ、お嬢様」
足音とほぼ同時に、アキトの声が響いた。
聞き終えたエルは、「メイちゃんらしいなあ」と笑った。
「私らしいってどういうこと?」
「ちょっと風変わりなお嬢様っていうのがプリスタイン公爵令嬢の評判だったけど、相当変わってるなと思って」
くくく、とエルは喉の奥を鳴らして笑う。
「ちょっと。馬鹿にしないでよ、人が真剣に悩んでるのに」
「いや、馬鹿にしてないよ。あのさ、君、お茶会出たことある?」
突然の話題転換に、私は目をぱちくりさせた。
お茶会は、貴族の間では成人前の男女が参加する、プレ社交界みたいなものだ。
この世界では十八歳で成人となり、結婚したり家や爵位を継承したり、晩餐会やダンスパーティーなどいわゆる『社交界デビュー』ができる。
それまでに貴族社会のしきたりやマナーを学んだり、人脈を作っておくのがお茶会の目的だ。
まあ、私はあんまり好きじゃないから出てないけど。
「あるけど……それが何?」
「そこで知り合った男性から口説かれたり、ラブレターとかもらわなかったの?」
「うーん、あったかなー。あんまりないかも。お話する相手はお父様が全部決めてたし、時間が来るとアキトが会話を終わらせてくれたし」
「なるほど。悪い虫がつかないように、がっちり防御されてたってわけか」
なぜかエルは納得した様子だった。
「仮にさ、メイちゃんのことを心から思ってくれてる男性がいるとするじゃない。でもメイちゃんが今デートしたいのは制服眼鏡男子であって、特定の誰かじゃないと。そしたら、その人は『誰でもいいんかーい』ってがっくりするんじゃない?『この人は人の内面を気にせず、見た目だけで判断してるんだ』って」
状況を整理して伝えられ、私は青ざめた。
「そ、それ……それって、私めっちゃビッチってことじゃん!」
「あはは、そうだね~」
気楽にエルは笑っている。
「違うの! そんなんじゃないよ!! 私、もがっ」
「声が大きいよ。ね? 静かにして」
大きな手で口をふさがれて、私はこくこくと頷いた。
呼吸が収まり、しばらく落ちつくのを待ってから、エルは切り出した。
「眼鏡科ってすごいところだよね。君の眼鏡に対する愛や情熱が、こんなに多くの人を動かしてるし、プリスタイン寮の発展につながってる。けど、それゆえに、今の君は人を眼鏡という外見で判断してるように見えるよ」
エルはあくまでも笑顔で、ずばりと言い切った。
確かに、悪気は全くなかったけど、私、アキトやリュシアンに対してすごく失礼なことをしてたのかも。
「だからさ、学んだらいいんじゃない? 人間関係や恋愛のことを」
明るい声で言い、エルは両手を広げた。
「メイちゃんが今まで恋愛経験がないのはよく分かったし、それは別にいいじゃん。大事なのはこれからだよ。
気まずかったり、傷つけたり傷つけられたり、そういうのも含めて人間関係でしょ。一つずつ、少しずつ学んでいけば、今抱えてる問題も解決するかもよ?」
「そうね。……そうだよね!」
嬉しくなって、私は頷いた。
「ありがとう、エル。何だか気持ちが楽になったわ。私これから恋愛のことも勉強する」
「俺が教えてあげるよ」
気づいたら、息がかかるぐらいの距離にエルの顔があった。
え、え、え、え、え!? 何、この流れ! いや、恋愛の勉強したいとは言ったけれども!
まさかパリピ眼鏡男子と、いきなりチューすることに?!
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足音とほぼ同時に、アキトの声が響いた。
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