異世界に生まれ変わったので、学園を作って眼鏡男子と制服デートしてみた

凪子

文字の大きさ
33 / 61

【#33 お見合いを神回避しました】

しおりを挟む
「は? 見合い?」

フィリップ先生はきょとんとした顔をした。

私は手を伸ばし、先生の白衣の袖をつかむ。

「ウェンゼル公爵家のご子息が、お茶会で私を見初めて、どうしても妻に欲しいんですって。美しすぎるのも困りものですわね、おほほほほ」

笑いを取りに行ったものの、語尾が弱々しく消えていく。

フィリップ先生は沈黙したまま、何も言わなかった。

「お待たせいたしました」

そこへ、アキトが熱湯と水筒を持ってやってきた。

「白湯でも紅茶でも、何か温かい飲み物を少しずつ飲ませてやってくれ」

 先生は言うと、革袋の水筒にお湯を入れて、タオルでくるんで私のお腹の上に乗せた。

「熱いか?」

「ううん、大丈夫……」

じんわりとした温もりが心地よく、お腹の痛みが楽になってくる。

私は目を閉じた。

夏だからって、冷たいものばかり飲んでたから、体が冷えてたのかも。

「横向きの体勢のほうが楽であれば、体勢を変えてもいい。しばらく安静に寝かせてやってくれ」

「かしこまりました」

ぼそぼそ会話が聞こえたかと思うと、ドアが閉まる音がして、人の気配が消えた。

そこからしばらくして、枕元でフィリップ先生の声がした。

「おい、お嬢さん。お父君が、見合いは延期するってよ」

「え!? 本当?!」

思わず私は、がばりと起き上がった。

「おいおい。安静にしてろって。じゃなきゃ、貧血で目まいがくるぞ」

先生は苦笑ぎみに言う。

「……あれ? アキトは?」

「公爵様のところだよ。状況を説明してる。俺はお嬢さんの様子を見てくるってことで、先に帰された。今ごろこってり絞られてるんじゃねえの」

「え、な、何で? 何でアキトが怒られるの」

「そりゃそうだろ。主人の体調管理も執事の仕事だからな。公爵家は領国の主で、替えがきかない存在だ。大事な予定がある日に万全の状態でいられないと、政治や外交に支障をきたすこともある」

「そんな。アキトのせいじゃないのに……」

私の自己管理が甘かったせいで、アキトが責められるなんて。

誘拐されたときもそうだけど、アキトは私のせいで損ばっかりしてる気がする。

「ま、とにかく喜べよ。そしてありがたく思え。俺が進言したおかげで、見合いを延期してもらえたんだからな」

清々しいほど偉そうにフィリップ先生は笑う。

そうと決まったら着がえだ。私はよろめきながらドレスを脱ぎ、パジャマに着がえてベッドに倒れ込んだ。

「先生ありがとう……。白衣眼鏡男子最高……これで制服ならデートできたのに……」

「何言ってるかよく分からんが、ほら」

先生は私を抱き起こし、コップを口に添えて薬を飲ませてくれた。

「痛み止めだ。ちょっと苦いが、よく効くから我慢して飲め」

「ごほっ、うぇ、まず……」

むせて吐きそうになったけど、先生が背中をさすってくれたので何とか飲みほせた。

「いい子だ」

頭を撫でられる感覚に、記憶が呼び覚まされる。

この感覚、何だか懐かしい……でも、どこでだったかな……?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)

乙女ゲームに転生するつもりが神々の悪戯で牧場生活ゲームに転生したので満喫することにします

森 湖春
恋愛
長年の夢である世界旅行に出掛けた叔父から、寂れた牧場を譲り受けた少女、イーヴィン。 彼女は畑を耕す最中、うっかり破壊途中の岩に頭を打って倒れた。 そして、彼女は気付くーーここが、『ハーモニーハーベスト』という牧場生活シミュレーションゲームの世界だということを。自分が、転生者だということも。 どうやら、神々の悪戯で転生を失敗したらしい。最近流行りの乙女ゲームの悪役令嬢に転生出来なかったのは残念だけれど、これはこれで悪くない。 近くの村には婿候補がいるし、乙女ゲームと言えなくもない。ならば、楽しもうじゃないか。 婿候補は獣医、大工、異国の王子様。 うっかりしてたら男主人公の嫁候補と婿候補が結婚してしまうのに、女神と妖精のフォローで微妙チートな少女は牧場ライフ満喫中! 同居中の過保護な妖精の目を掻い潜り、果たして彼女は誰を婿にするのか⁈ 神々の悪戯から始まる、まったり牧場恋愛物語。 ※この作品は『小説家になろう』様にも掲載しています。

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

転生ガチャで悪役令嬢になりました

みおな
恋愛
 前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。 なんていうのが、一般的だと思うのだけど。  気がついたら、神様の前に立っていました。 神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。  初めて聞きました、そんなこと。 で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?

処理中です...