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第一章
ストロンギアム王国
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ここは自然豊かなストロンギアム王国の中心にある都、ストロンギウム。大きな城には国王一家が暮らしており、戦闘術を学ぶ学校などもある。また、国の平和な生活を守るために、必要な仕事がクエストとしてたくさん準備されている。
クエストの内容は、薬草や鉱石などの資源採集、獣や盗賊などの討伐、それらからの貴族の護衛など様々である。これらの仕事をするのは、勇者や魔道士、魔神使いなど戦闘力のある人間たちである。
「そろそろ帰るか」
緑髪の背の高い男と、銀髪の背の低めの男が並んで城門から外に出てくる。
「おう」
低い方が適当な返事をする。鎧を来た門番たちの間を二人は通る。城門前の通りは人で賑わっている。
「あいつ、成功したかな」
「モーリーはやっぱりユアナのことが心配なんだな」
背の高い方が意地悪そうに言えば、モーリーはつっかかった。
「別に心配とかじゃないわ。気になっただけだっつうの」
二人はユアナと同じ村の勇者と戦闘魔道士、モーリーとグラスなのだ。
「ユアナが魔神使いになれれば、こなせるクエストも増える。そして、村が豊かになれる。そしたらもっと肉が食えるな」
「肉食いたがりみたいな言い方するなよ」
喧嘩をしている二人の様子は見た目は違えど、まるで兄弟みたいだ。
「肉よりもユアナの方が好きか?」
「はぁ!?」
モーリーは顔を赤くする。図星をつかれたみたいだ。
「本当に、お前は分かりやすいな。早く告白したらいいじゃん」
「ふざけんな。あいつはな、本当はおま……お祭りが好きなんだよ」
苦し紛れの言い換えをするモーリー、そして鈍感なのか、突然のお祭りに笑い出すグラス。
「まぁ、いいか。とりあえず早く村に帰ろう」
「二人ともちょっと待ってくれ」
都の門をくぐろうとした二人を、金髪の貴族風の格好をした男性が声をかける。その隣には、茶色く長い髪の少女が白い聖職服のフードをかぶり、顔を赤くして目線を下げて立っている。
「エドルフ王! そしてモカ様」
この男がまさに、この国の王なのだ。その位に偉そうにならず、普段から城を出て市民と公平に交流する立派な王として尊敬されていた。その隣にいる少女は王の妹である。
「畏まらなくていいよ。君たちについていって助けてやれと、彼女を送ったのに声をかけるタイミングがなかったと帰ってきてしまったんだよ」
「ありがたきことですが、どうしてモカ様を私たちなんかと一緒に?」
先程まで言い合っていた二人は、姿勢を正して二人の王族に接していた。
「君たち二人はこの国ではそれなりに強い力をもつ戦士だ。それに村にはあの二人の子供もいる。君たちの助けになってほしいとも思うし、これから君たちが受けていくクエストに連れていって経験も積ませてほしいんだ。ユアナも魔神使いになったと聞くし。回復系魔法を使えるモカがいると、助かるだろ」
王は絶えず笑顔で話す。それは一国の責任をもって人を動かす人間の一つの武器である。
「ほら、モカからも何か言うんだ」
エドルフ王に背中を押される少女。
「あの……私を是非……一緒に連れていってください」
視線を上げたモカ。その先にグラスがいて、また顔を下げる。それに気づいたモーリーは内心で舌打ちする。当のグラスは鈍感なのか、興味がないのか。
「そこまでおっしゃるなら、連れていかせて頂きます。その代わり、モカ様のことはこの命に変えてでも俺たち二人で守らせていただきます」
少しでも男らしいところを見せようとしたのか、モーリーは胸を張っていった。
「ありがとう。頼んだよ。モカ、それじゃあまたね」
「お兄様……」
エドルフは王城へと戻っていった。
「モカ様、行きましょう」
「はい……」
こうしてモカを加えて、モーリーとグラスは今度こそ都の門をくぐって村へと続く山道を進んでいった。
クエストの内容は、薬草や鉱石などの資源採集、獣や盗賊などの討伐、それらからの貴族の護衛など様々である。これらの仕事をするのは、勇者や魔道士、魔神使いなど戦闘力のある人間たちである。
「そろそろ帰るか」
緑髪の背の高い男と、銀髪の背の低めの男が並んで城門から外に出てくる。
「おう」
低い方が適当な返事をする。鎧を来た門番たちの間を二人は通る。城門前の通りは人で賑わっている。
「あいつ、成功したかな」
「モーリーはやっぱりユアナのことが心配なんだな」
背の高い方が意地悪そうに言えば、モーリーはつっかかった。
「別に心配とかじゃないわ。気になっただけだっつうの」
二人はユアナと同じ村の勇者と戦闘魔道士、モーリーとグラスなのだ。
「ユアナが魔神使いになれれば、こなせるクエストも増える。そして、村が豊かになれる。そしたらもっと肉が食えるな」
「肉食いたがりみたいな言い方するなよ」
喧嘩をしている二人の様子は見た目は違えど、まるで兄弟みたいだ。
「肉よりもユアナの方が好きか?」
「はぁ!?」
モーリーは顔を赤くする。図星をつかれたみたいだ。
「本当に、お前は分かりやすいな。早く告白したらいいじゃん」
「ふざけんな。あいつはな、本当はおま……お祭りが好きなんだよ」
苦し紛れの言い換えをするモーリー、そして鈍感なのか、突然のお祭りに笑い出すグラス。
「まぁ、いいか。とりあえず早く村に帰ろう」
「二人ともちょっと待ってくれ」
都の門をくぐろうとした二人を、金髪の貴族風の格好をした男性が声をかける。その隣には、茶色く長い髪の少女が白い聖職服のフードをかぶり、顔を赤くして目線を下げて立っている。
「エドルフ王! そしてモカ様」
この男がまさに、この国の王なのだ。その位に偉そうにならず、普段から城を出て市民と公平に交流する立派な王として尊敬されていた。その隣にいる少女は王の妹である。
「畏まらなくていいよ。君たちについていって助けてやれと、彼女を送ったのに声をかけるタイミングがなかったと帰ってきてしまったんだよ」
「ありがたきことですが、どうしてモカ様を私たちなんかと一緒に?」
先程まで言い合っていた二人は、姿勢を正して二人の王族に接していた。
「君たち二人はこの国ではそれなりに強い力をもつ戦士だ。それに村にはあの二人の子供もいる。君たちの助けになってほしいとも思うし、これから君たちが受けていくクエストに連れていって経験も積ませてほしいんだ。ユアナも魔神使いになったと聞くし。回復系魔法を使えるモカがいると、助かるだろ」
王は絶えず笑顔で話す。それは一国の責任をもって人を動かす人間の一つの武器である。
「ほら、モカからも何か言うんだ」
エドルフ王に背中を押される少女。
「あの……私を是非……一緒に連れていってください」
視線を上げたモカ。その先にグラスがいて、また顔を下げる。それに気づいたモーリーは内心で舌打ちする。当のグラスは鈍感なのか、興味がないのか。
「そこまでおっしゃるなら、連れていかせて頂きます。その代わり、モカ様のことはこの命に変えてでも俺たち二人で守らせていただきます」
少しでも男らしいところを見せようとしたのか、モーリーは胸を張っていった。
「ありがとう。頼んだよ。モカ、それじゃあまたね」
「お兄様……」
エドルフは王城へと戻っていった。
「モカ様、行きましょう」
「はい……」
こうしてモカを加えて、モーリーとグラスは今度こそ都の門をくぐって村へと続く山道を進んでいった。
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