異世界に魔神召喚された忍者、一族の復讐をここで果たします~忍者なのに魔力一億??~

いーぽん

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第一章

蒼朱の魔神そして盗賊一掃

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「この国のことはわかってもらえたじゃろうか」
 カイトが連れてこられたのは、食卓やベッド、物置などの生活に最低限必要な物しか置いてない家。そこは村長の暮らす家である。
「あぁ、大体は」
 ここが、ストロンギアム王国の都ストロンギウムから少し離れた山の中にある村であること。クエストの仕組みや、報酬について。勇者には鍛えれば誰にでもなれること。魔道士には生まれつきの魔力が一定量なけらばなれないこと。魔神使いには、異次元にいる魔神を召喚する特別なアイテムを使えなければなれないこと。その他、この世界での常識を村長はカイトに話していた。
「それなら次は君の話を聞かせてもらいたいのう」
 グリーンウルフ肉を焼いたものにかぶりつきながら、興味津々の顔を向ける村長とユアナ。
「話すつったって、俺は綾目カイトっていう名前の忍者ってこと以外に何話したらいい」
「その忍者ってのが何か教えてよ」
 ユアナが身を乗り出す。その首もとには首飾りが見える。
「忍者は身体能力に長けた人間だ。ここの戦闘士と呼ばれる奴らと同じようなもんさ」
「魔法も使えるのよね」
 ウルフを突き飛ばした火の玉やウルフたちを囲んだ火の塔のことを、ユアナは言っている。
「あれは忍術だ。お前らの言うところの、魔法と同じだろうがな」
「魔法使うなら、普通魔術具が必要なんじゃよ。杖か首飾り、指輪のような形のものが一般的じゃがな」
「魔神にもあるらしいよね」
 ユアナは首飾りを外してカイトに見せた。
「私の召喚道具はこれ」
「忍術にも道具を使うものはあるが、基本自分の力だけでやる。身体中のエネルギーの流れをコントロールすれば、出せるようになる」
 カイトはベッドの上で眠る子供に目を向ける。
「それより、あの子は大丈夫なのか」
「ああ、あいつは大丈夫じゃ。ユアナの弟でルーアというんじゃが、自分の実力を理解できてない馬鹿者じゃ」
 外は暗くなり始めている。
「モーリーたち、遅いね」
「また道草でも食ってるのじゃろ。それより、カイトくんや、ユアナの魔神としてこれからこの村を守ってくれないか?」
 村長の熱い視線がカイトに向けられる。
「でも、カイトにだって帰りたい世界があるんじゃないの?」
 ユアナの哀れむ視線も加わる。
 カイトはその視線から逃げるように立ち上がる。"帰りたい世界"とは、すなわちカイトの元居た世界のこと。そこを想って浮かぶのは、皆に向けられた冷たい視線。人の温もりなど三年前に忘れてしまっていた。ただ一つ、あの世界に名残があるとすれば、一族の復讐のみだった。
「今すぐに答えを出すのも難しいじゃろう。今晩はもう休みなさい。部屋に案内しよう。ユアナはルーアを見ておいてくれるか」
 村長はカイトを別の部屋まで連れていった。村長の暮らすのと同じ造りをしている。
「カイトくん」
 中に入ってドアを閉めた村長は声のトーンを下げた。背中をカイトの方に向ける。
「この国にはある言い伝えがある。蒼朱の魔神という最強最悪の魔神が存在して、それを召喚すると国は滅ぼされてしまうという……」 
 カイトはその魔神が自分なのではないか、と言われてるに違いないと思った。
「まぁ、今のはワシの独り言じゃ。でも、君のその目について話を聞きたいのじゃがな……」
 そのとき、村長を呼ぶ声が外から聞こえた。
「なんじゃろうか、君はここで待っていてくれ」
 外には数人の男が各々、腕や足を押さえて立っていた。
「どうしたのじゃ」
「この方たちが、盗賊に襲われてしまったらしくて怪我をしてしまったから、手助けしてほしいと言うのです」
 男達のなかでリーダーらしき存在感のある背の高い羽根つき帽子を被った男が、村長に近づいた。
「わたくし、ヴィオラといいます。彼等を連れてクエストに出ている途中なのですが、恥ずかしながら数の差で賊に怪我を負わされて逃げてきた次第です。外にまだ賊はいるので共に戦う勇士を貸していただきたいと思っています」
 男が礼儀正しく言っている間、村の外から微かな物音がした。
「助けてやりたいのはやまやまじゃ。しかし、うちの村には今、力になれそうな戦士がいないのじゃ。国に召集されて帰ってきておらん」
「そんな、誰もいないのですか?」
「今行ってる二人の戦闘士以外は普通の一般人ばかりじゃ。一人聖職魔道士がおるが、回復系魔法ヒーリングではなく、神からの伝言テリングを伝える方の聖職魔道士での」
「勇者ならここにいるぞ」
 小さな子供が二人の間に飛び出してきた。そう、ルーアだ。
「またお前か。バカ者、下がっておきなさい」
「君みたいな子供が出てくるほど、今は人手が戦える人間がいないということか。好都合だ」
 そう言うと、ヴィオラは指をならして合図した。後ろで頭を押さえていた一人の大男が、腕を大きく振り回してルーアの方に走ってくる。
「その子のようになりたくなければ、この村の金品全て渡しなさい」
 ヴィオラが態度を変え、大男が走り出したその数秒間の間に村長はある人物とコミュニケーションを取っていた。
「村長、ここでは盗賊を殺した方がいいか、生かして捕らえた方がいいかどっちだ」
 村長の背後に隠れ、カイトは村長の右手左手を順に触れた。村長は左手を少しだけ挙げた。
「生きて捕らえるんだな。わかった」
 この一瞬の会話のあと、カイトはルーアの前に出て、大男の拳を身体ごと地面に叩きつけた。
「なんだお前は」
 ヴィオラは慌てる。
「くそ、おい! 外にいるやつらはなぜ出てこない」
「外にいるやつらって、あいつらのことか」
 カイトの指差す方向には、縄で縛られて身動きのとれなくなった十数人の賊がいた。
「なんだと!」
「気になって話を聞いてたら、外に賊がいるって言うから見に行ったら弱そうだったから全員捕まえたんだ。でもこんなに弱いやつらにお前ら、特にあんたが負けるかと不思議に思ってたら案の定騙してたと自分で言ってくれたから止めただけだ」
 カイトはヴィオラを睨み付けた。その目はまだ黒いままだ。
「アイツをやれ!」
 ヴィオラと来ていた残りの二人の剣士が同時にカイトに斬りかかる。が、その剣を素手で掴んで自分の方に引き寄せ、それぞれの顔に跳び蹴りした。剣士は倒れて意識を失った。
 二人の剣士と大男を一瞬にして縄で縛り、地面に転がすカイト。
「忍術を使うまでもねぇとはな。殺さないようにする方が大変だぜ」
「中級勇者とあの大男がこうもあっさりやられるなんて……ここまでのものとは聞いて・・・ませんでしたよ」
 ヴィオラは空に向けて手を伸ばした。
輝く電光矢ライトニングサンダーアロー
 一斉にして、空中に白光る大きな矢が何十本も現れた。それらはヴィオラが手を下ろすと同時に村全体目指して落ちてくる。
「これでどうだぁ……」
 全ての矢は突如現れた燃え盛る壁のなかに吸い込まれていった。
「火炎防壁 解」
 カイトの声は、ヴィオラの背後から聞こえた。
「なぜなんだ……」
「ちっ、無駄に技を使わせやがって」
 カイトの回し蹴りと共にヴイオラの意識はとんだ。
 カイトは全員を一ヶ所にまとめて縛り付け、武器や魔術具を奪っておいた。村長の口笛と共に、どこからともなく一羽の小鳥が現れる。その足に赤い紐をくくりつけて、再び口笛をふく村長。鳥は消えた。いまのは、なにか問題があったときに都にすぐさま伝達をしてくれる伝書鳥なのだ。
「カイトくん、またもや助けてくれて本当にありがとう」
「それはいい。それよりも、俺がいなかったらこの村は今日で二回終わってるぞ。どうして戦闘士二人ともいないんだ」
 カイトがここに来てたった半日で二回も危機にあうような村に、まともに戦えないような人間だけをおいていくなど、あり得ないことのようにカイトは思ったのだ。
「それは、私が魔神使いになれたから。モーリーとグラスは、王に召集されているの。いつもはどっちかだけ行ってるけど、私が魔神召喚を認められたから。大丈夫だって私が言って、無理矢理二人で行ってもらったの。それに、普段こんなに襲われたりするようなこと滅多になかったし」
 ユアナは自分の責任だと感じていた。そのユアナの言葉にカイトはとりあえず納得した。皆は落ち着いてそれぞれの家に戻り、寝ることとなった。
 その夜更け、村の外でうごめく影があった。
「ヴィオラがこうも簡単にやられるとはな」
「これもあの方の想定のうちでしょう」
「アイツはどうすんだぁ?」
「様子を見てこいと言われただけだから」
「放っておけばいいでしょう。あの方のお気に入りでは元々なかったすし」
「ただの極悪人だもんなぁ」
「それより、彼に気配を感じ取られる前に散りましょう」
 そうして影は散らばって消えた。 
 
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