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王立魔法学園編Ⅱ
ホクホク
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「いや~買った買った!」
四人でハイネにあるお店が沢山並んでいる場所でショッピングをした。
服にアクセに日用雑貨、様々な物を見て周り私は悩み苦しんだ。
全てのお店はミリアム商会に加盟しているのでめぼしい物を見つけては本当に必要なものか不必要なものか精査し、ワンピースを五着だけ購入した。
本当はもっと買いたかったけど一度上げた生活水準を元に戻すことは難しい、と知っているので我慢した、私偉い。
そして、今は近くにあったオープンテラスが人気のカフェでお昼ご飯を食べている。
私の正面はセシリー、右隣はミレッタ、ミレッタの正面はミオの並びで座っている。
今日は天気が良くぽかぽか陽気でお昼寝をしたら気持ちよさそうだ。
ちなみにシロムは途中まで付いては来ていたが女子四人の買い物には付き合いきれないのか私にだけ聞こえる声で「夜には帰る」と言って何処かに消えてしまった。
「マリアはワンピースが好きなんですね」
紙袋に入ったワンピースを見ながらミレッタはそう呟く。
私の服の好みはワンピースだと思っているのでしょうね。
確かにワンピースも好きだけど問題はこの尻尾。
ズボンだと左右どちらかに尻尾をずっと寄せていないといけなくなるので疲れてしまう。
だったらスカートでもいいのでは? と思うかもしれないが学園の制服が可愛いスカートなので外ならワンピースがいいかな、って思ったのである。
──他にも理由がある。
「動きやすいからね」
「それならドレスでもよろしいのでは?」
セシリーが首を傾げて訊ねる。
ワンピースばかり買っているせいでそう訊ねられたんだろうね。
「んー、お腹周りがちょっと。二人の服だといっぱい食べれなくない?」
「慣れれば大丈夫」
「私は慣れそうにないかな。ミレッタもワンピースは好きなんだよね?」
ミオの目はあたかも私をドレス教へと入信させたいような威圧感を感じたのでミレッタに話を振った。
「わ、ワンピースも好きですけど、私はどちらかと言うとズボンが落ち着きますね」
まさかの第三の派閥現る。
こっちの世界にあるのか分からないけど、ジャージなどのズボンは楽でいいよね。
私も尻尾なんて着いてなければ毎日ズボン生活だったかもしれない。
「それで、マリアは一体どんな習い事をしてましたの?」
「噂では花嫁修業」
「それは本当なんですか!」
セシリーの一言で周りの空気が一気に変わる。
前のめりになりながら三人は私に近付く。
「うえっ!? 花嫁修業!? ち、違うよ。魔道具の作り方を教えて貰ってたんだ。でも基礎と言ったら過言過ぎることしか教えてくれなくて旅立たれてしまったんだよね」
広げた左右の手を振って必死に否定し、魔道具の作り方を教えて貰っていたことと教えてくれた人は旅立ってしまったことを伝えた。
流石に三人には本当のことを教えられない。
教えても信じてもらえなさそうだし。
「魔道具、ですか……」
「ミレッタは何か知ってるの?」
"魔道具"という言葉に反応して顎に手を当ててミレッタらしからぬ行動をとっていた。
「いえ、私はそこまで知りませんが私のおばあさんのそのまたおばあさんが魔道具をお作りになっていたそうです」
んーと、四世代前くらい?
多めに見て三百年くらい経ってるのかな。
「魔道具職人なんて今ではマイナーな職種ですわ。これだけ居る王都でも誰一人魔道具を作れる人なんて居ませんわね」
「そっか……まぁそうだよね」
シロムと初めて契約した人がターシャさんなら数百年前ってことだから魔道具を作る人が居なくなったり魔道具自体廃れていってもおかしくはないよね。
もしハイネに魔道具を作れるような人が居たら作り方を教えて貰おうかと思ったけど厳しそう。
ターシャさんが教えてくれた魔力を温存するための魔道具、と言うのは今の時代では認識が違っていた。
時期的には獣術と同じくらいに減ってっていそうだし、これもシロムが言う平和になったから、って解釈でいいのかな? 今日シロムが帰ってきたら聞いてみないとね。
「──ですが夢があってとても素晴らしいですわ! いつかマリアが魔道具を完成させたら見せていただきたいですわね!」
下を俯き思考を巡らせていると、セシリーは私が落ち込んでいると思って気を利かせたのかビシッと右手の指差し指で私を指し、目を煌々と輝かせロマンを感じていた。
「作る機会があったらね」
対する私は作り方をよく知らないので便利な魔石しか作れない。
期待を持たれても困る。なので苦笑いを浮かべてそれとなく答えるだけ。
「この後、どうする?」
ミオがみんなを見て訊ねる。
口にソースをつけていてちょっと可愛い。
「特に予定がございませんなら書物を漁りに行きたいですわね」
「本かぁ~何かあるかな」
セシリーの提案に各々は賛成の様子だった。
特にここ最近は獣術に関することを調べていないので獣術に関する本が売ってあると嬉しい。
ターシャさんは何か知ってたのかなぁ、もう会うことは出来ないだろうけど会うことが出来たら聞いてみたいね。
「決まりですわね!」
反対意見はなかったので、セシリーは嬉しそうにしていた。
お昼ご飯を食べ終えた私たちは本屋に入り私以外はめぼしい本を見つけ、私以外はほくほく顔で店内を出る。
まぁそう簡単に獣術に関する本なんてある訳ないよね。
あったとしてもアルが持ってたやつしかなさそうだし。
四人で歩き、寮に帰宅をしている最中。
偶然にもターシャさんのお店があった場所を通り過ぎる。
隣には色とりどりのお花が店先に並ぶお花屋さん。
そして、ターシャさんのお店があった場所には新たに何かがあった。
「ん!!!」
それを見た私は全身に衝撃が走る。
「マリア、どうしたんですの?」
「ううん。私、ちょっと用事を思い出しちゃった。先に帰ってて!」
「ま、マリア!?」
ミレッタの驚く声がしたけど振り返らずに私は目的地まで急いだ。
急がなければいけない理由があるからね。
「こんにちは、買います!」
私はミリアム商会に居た。
幸いにもミリアム商会の人は疎らですぐにカウンターへと向かい受付の人にすぐさま要件を伝える。
ヒックさんと来た時に居たお姉さんだ。
「……い、いらっしゃいませ。敷地のご購入で宜しかったでしょうか?」
主語がなく私のキラキラした目をしっかりと見ながら受付のお姉さんは敷地の購入だと予想し訊ねる。
「はい! 隣にお花屋さんがある所なんですけど」
「もしかして、立て看板を見ていらしてくださったのですか?」
お姉さんはニッコリと微笑み私の心を読み取る。
「よく分かりましたね」
私は素直に驚いた。
「実は昨日いきなりあそこに空き地が現れて今朝から調査にあたり誰の所有地でもないことが判明したのでミリアム商会が販売することにしたんです。もちろん売上はハイネへと渡るようになってます」
昨日いきなり、ってことはターシャさんとアリアちゃんが消えてしまった後なのかな?
きっと結界魔法とやらで他の人からはそこは壁にでもなっていたのかな?
にしても昨日の今日でいきなり土地を売り出すだなんてハイネもミリアム商会も仕事が早いね。
それだけ厳重に管理されているってことだろうけど。
「貸土地ではなく売土地であの値段なんですよね?」
「はい。また敷地に関して何か不備がございましたらミリアム商会がサポートさせて頂きます」
正直土地の値段でハイネ金額三十枚と言うのが安いのか高いのか分からないので貸土地か売土地か訊ねてみると、売土地だった上に何かしらの困ったことがあったらミリアム商会でサポートしてくれるらしい。
何かあっても安心だね。
「分かりました。改めて買います!」
「ふふっ。即断即決ありがとうございます。では書類にサインをお願い致します」
私は元気よく買うことを再三宣言する。
するとそれがおかしく思ったのかお姉さんは軽く笑うとぺこりと頭を下げた。
まさかこんな小さな女の子が土地を買うだなんて思ってもいなかったでしょうね。
だけど私は是が非でもあの土地が欲しい。
私とターシャさんを繋ぐ出会いの場所、誰かに買われる訳にはいかない。
きっとシロムも同じように考えるはず。
書類にサインをして、自分のミリアム商会のカードで支払いを済ませ、お姉さんから控えの紙を貰うと私もセシリーたちが本屋を出た時のようにほくほく顔になりミリアム商会を出で寮へと帰宅する。
四人でハイネにあるお店が沢山並んでいる場所でショッピングをした。
服にアクセに日用雑貨、様々な物を見て周り私は悩み苦しんだ。
全てのお店はミリアム商会に加盟しているのでめぼしい物を見つけては本当に必要なものか不必要なものか精査し、ワンピースを五着だけ購入した。
本当はもっと買いたかったけど一度上げた生活水準を元に戻すことは難しい、と知っているので我慢した、私偉い。
そして、今は近くにあったオープンテラスが人気のカフェでお昼ご飯を食べている。
私の正面はセシリー、右隣はミレッタ、ミレッタの正面はミオの並びで座っている。
今日は天気が良くぽかぽか陽気でお昼寝をしたら気持ちよさそうだ。
ちなみにシロムは途中まで付いては来ていたが女子四人の買い物には付き合いきれないのか私にだけ聞こえる声で「夜には帰る」と言って何処かに消えてしまった。
「マリアはワンピースが好きなんですね」
紙袋に入ったワンピースを見ながらミレッタはそう呟く。
私の服の好みはワンピースだと思っているのでしょうね。
確かにワンピースも好きだけど問題はこの尻尾。
ズボンだと左右どちらかに尻尾をずっと寄せていないといけなくなるので疲れてしまう。
だったらスカートでもいいのでは? と思うかもしれないが学園の制服が可愛いスカートなので外ならワンピースがいいかな、って思ったのである。
──他にも理由がある。
「動きやすいからね」
「それならドレスでもよろしいのでは?」
セシリーが首を傾げて訊ねる。
ワンピースばかり買っているせいでそう訊ねられたんだろうね。
「んー、お腹周りがちょっと。二人の服だといっぱい食べれなくない?」
「慣れれば大丈夫」
「私は慣れそうにないかな。ミレッタもワンピースは好きなんだよね?」
ミオの目はあたかも私をドレス教へと入信させたいような威圧感を感じたのでミレッタに話を振った。
「わ、ワンピースも好きですけど、私はどちらかと言うとズボンが落ち着きますね」
まさかの第三の派閥現る。
こっちの世界にあるのか分からないけど、ジャージなどのズボンは楽でいいよね。
私も尻尾なんて着いてなければ毎日ズボン生活だったかもしれない。
「それで、マリアは一体どんな習い事をしてましたの?」
「噂では花嫁修業」
「それは本当なんですか!」
セシリーの一言で周りの空気が一気に変わる。
前のめりになりながら三人は私に近付く。
「うえっ!? 花嫁修業!? ち、違うよ。魔道具の作り方を教えて貰ってたんだ。でも基礎と言ったら過言過ぎることしか教えてくれなくて旅立たれてしまったんだよね」
広げた左右の手を振って必死に否定し、魔道具の作り方を教えて貰っていたことと教えてくれた人は旅立ってしまったことを伝えた。
流石に三人には本当のことを教えられない。
教えても信じてもらえなさそうだし。
「魔道具、ですか……」
「ミレッタは何か知ってるの?」
"魔道具"という言葉に反応して顎に手を当ててミレッタらしからぬ行動をとっていた。
「いえ、私はそこまで知りませんが私のおばあさんのそのまたおばあさんが魔道具をお作りになっていたそうです」
んーと、四世代前くらい?
多めに見て三百年くらい経ってるのかな。
「魔道具職人なんて今ではマイナーな職種ですわ。これだけ居る王都でも誰一人魔道具を作れる人なんて居ませんわね」
「そっか……まぁそうだよね」
シロムと初めて契約した人がターシャさんなら数百年前ってことだから魔道具を作る人が居なくなったり魔道具自体廃れていってもおかしくはないよね。
もしハイネに魔道具を作れるような人が居たら作り方を教えて貰おうかと思ったけど厳しそう。
ターシャさんが教えてくれた魔力を温存するための魔道具、と言うのは今の時代では認識が違っていた。
時期的には獣術と同じくらいに減ってっていそうだし、これもシロムが言う平和になったから、って解釈でいいのかな? 今日シロムが帰ってきたら聞いてみないとね。
「──ですが夢があってとても素晴らしいですわ! いつかマリアが魔道具を完成させたら見せていただきたいですわね!」
下を俯き思考を巡らせていると、セシリーは私が落ち込んでいると思って気を利かせたのかビシッと右手の指差し指で私を指し、目を煌々と輝かせロマンを感じていた。
「作る機会があったらね」
対する私は作り方をよく知らないので便利な魔石しか作れない。
期待を持たれても困る。なので苦笑いを浮かべてそれとなく答えるだけ。
「この後、どうする?」
ミオがみんなを見て訊ねる。
口にソースをつけていてちょっと可愛い。
「特に予定がございませんなら書物を漁りに行きたいですわね」
「本かぁ~何かあるかな」
セシリーの提案に各々は賛成の様子だった。
特にここ最近は獣術に関することを調べていないので獣術に関する本が売ってあると嬉しい。
ターシャさんは何か知ってたのかなぁ、もう会うことは出来ないだろうけど会うことが出来たら聞いてみたいね。
「決まりですわね!」
反対意見はなかったので、セシリーは嬉しそうにしていた。
お昼ご飯を食べ終えた私たちは本屋に入り私以外はめぼしい本を見つけ、私以外はほくほく顔で店内を出る。
まぁそう簡単に獣術に関する本なんてある訳ないよね。
あったとしてもアルが持ってたやつしかなさそうだし。
四人で歩き、寮に帰宅をしている最中。
偶然にもターシャさんのお店があった場所を通り過ぎる。
隣には色とりどりのお花が店先に並ぶお花屋さん。
そして、ターシャさんのお店があった場所には新たに何かがあった。
「ん!!!」
それを見た私は全身に衝撃が走る。
「マリア、どうしたんですの?」
「ううん。私、ちょっと用事を思い出しちゃった。先に帰ってて!」
「ま、マリア!?」
ミレッタの驚く声がしたけど振り返らずに私は目的地まで急いだ。
急がなければいけない理由があるからね。
「こんにちは、買います!」
私はミリアム商会に居た。
幸いにもミリアム商会の人は疎らですぐにカウンターへと向かい受付の人にすぐさま要件を伝える。
ヒックさんと来た時に居たお姉さんだ。
「……い、いらっしゃいませ。敷地のご購入で宜しかったでしょうか?」
主語がなく私のキラキラした目をしっかりと見ながら受付のお姉さんは敷地の購入だと予想し訊ねる。
「はい! 隣にお花屋さんがある所なんですけど」
「もしかして、立て看板を見ていらしてくださったのですか?」
お姉さんはニッコリと微笑み私の心を読み取る。
「よく分かりましたね」
私は素直に驚いた。
「実は昨日いきなりあそこに空き地が現れて今朝から調査にあたり誰の所有地でもないことが判明したのでミリアム商会が販売することにしたんです。もちろん売上はハイネへと渡るようになってます」
昨日いきなり、ってことはターシャさんとアリアちゃんが消えてしまった後なのかな?
きっと結界魔法とやらで他の人からはそこは壁にでもなっていたのかな?
にしても昨日の今日でいきなり土地を売り出すだなんてハイネもミリアム商会も仕事が早いね。
それだけ厳重に管理されているってことだろうけど。
「貸土地ではなく売土地であの値段なんですよね?」
「はい。また敷地に関して何か不備がございましたらミリアム商会がサポートさせて頂きます」
正直土地の値段でハイネ金額三十枚と言うのが安いのか高いのか分からないので貸土地か売土地か訊ねてみると、売土地だった上に何かしらの困ったことがあったらミリアム商会でサポートしてくれるらしい。
何かあっても安心だね。
「分かりました。改めて買います!」
「ふふっ。即断即決ありがとうございます。では書類にサインをお願い致します」
私は元気よく買うことを再三宣言する。
するとそれがおかしく思ったのかお姉さんは軽く笑うとぺこりと頭を下げた。
まさかこんな小さな女の子が土地を買うだなんて思ってもいなかったでしょうね。
だけど私は是が非でもあの土地が欲しい。
私とターシャさんを繋ぐ出会いの場所、誰かに買われる訳にはいかない。
きっとシロムも同じように考えるはず。
書類にサインをして、自分のミリアム商会のカードで支払いを済ませ、お姉さんから控えの紙を貰うと私もセシリーたちが本屋を出た時のようにほくほく顔になりミリアム商会を出で寮へと帰宅する。
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