転生少女と聖魔剣の物語

じゅんとく

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王位継承権への道

光の洗礼(1)

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~翌日…

元気を取り戻したリーミアはティオロに剣術を叩き込んだが、開始して数十分で彼はへこたれてしまい。呆れた彼女はその日の稽古を終了させてしまう。

「取り敢えず素振りの練習をしてなさい。後で見に戻るから。絶対に逃げたりしないでよ!」
「分かりました!」

そう返事をしたティオロは、軽く素振りの練習をした。稽古してる窓から彼女が居なくなるのを確認すると、彼は急いでその場から逃げ去り、近くの酒場へと逃げ込んだ。
ふと…彼は、自分の手持ち袋の中を覗いた。昨日別れ際にメイミに金貨を数枚上げてしまって、自分の所持金が少し心細いのを確認して、彼は一杯だけ酒を呑む事にした。
彼がカウンターで酒を注文した。

「よお、昼間から酒とは良い御身分だな」
「なんだと⁈」

ティオロが声のする男性の方へと振り返ると、そこには黒色のマントに身を包んだ背丈の大きい男性の姿があった。

「せ…セフィーさん。しばらくぶりで…」

彼は、少し慌てた様子で縮こまる。
セフィーは彼の隣の席に座り、発泡酒を注文した。

「最近の君達の情報を聞いたよ。色々と大変だったな」
「情報が早いですね」
「当たり前だ、俺は情報屋なんだから」

(何時から情報屋を始めたんだ!)と、ティオロはセフィーに言いたかった。

「ま…まあ、少し色々在り過ぎて大変でしたよ」
「魔法剣の嬢ちゃんは、あの日以来ギルドにも顔を出して居ないな。彼女の噂を聞いたギルドのメンバー達が、彼女と仲間に入れたくて、争奪戦見たいな感じになっているのに」
「今のリーミアじゃあ、多分役不足でしょう。何より魔法剣が無いし、転生者の紋様も封印されているのだからね」

彼は発泡酒を軽く飲むと、ティオロを見た。

「その魔法剣に付いても新しい情報が入ったぞ」
「え、それってどう言う事なの?」
「気になるなら嬢ちゃんを連れてレンティ占星術の店に来ると良い。レンティが詳しく話してくれるから…。あと彼女に合わせたい人物もいるので、出来るだけ早く連れて来いよ」

彼が席を立とうとした時、ティオロは「待った」と、彼の手首を掴んだ。

「なんだ?」
「酒代はしっかり払ってね」

彼は呆れた顔で「ハイハイ」と、酒代を払って帰る。


~宿屋…

外出していたと思われたリーミアが不機嫌そうな表情で宿屋に戻って来た。
ルナが「おかえり」と、言おうとした瞬間、ビクッとたじろいだ。
リーミアが恐ろしい形相で宿屋の広間を見回した。

「ど…どうしたの、リーミアちゃん?」
「アイツは戻って来てない?」
「ティオロの事?さあ…こっちには戻ってないけど…」
「ム~、アイツ、逃げたなぁ」

リーミアは悔しそうな表情で、広間の椅子に腰を降ろした。
ルナの娘、アニーとマイが震えた様子で見ていた。
しばらくして宿屋の扉が開き、ティオロが戻って来た。それを見たリーミアはムスッとした表情で彼を見つめる。

「貴方、何で途中で居なくなったのよ?」
「ご…ゴメン、ちょっと、急用を思い出してしまって、それよりも外出するから急いで準備をして」
「お断りします。約束を守れない方の言う事は聞きません!」
「そんな事を言うなよ。君も以前会ったセフィーて覚えているだろう、彼がレンティ占術師の所に君を連れて来るように言ったんだよ!」
「何で、占い師の処へ行く必要があるのよ?」

背を向けて居たリーミアは、気になってティオロの方へと顔を向ける。

「魔法剣に関する情報らしいんだよ」
「え、魔法剣!」

その言葉に流石のリーミアも思わず席を立った。

「早く出掛ける準備をしよう」

彼が早く出掛けようと思った矢先だった。彼女が少し不信な目付きで彼を見る。

「ねえ、ところで…貴方の急用って、もしかして居酒屋とかに行く事だったの?」

いきなり的を得た質問にティオロは戸惑った。

「何で…そうなるの?」
「セフィーって言う男性は酒好きだし、酒場で彼と会って話をするなら辻褄が会うのよね」

読心術を得ている彼女の前で嘘を吐くのは難しかった。
彼は諦めて全てを話して彼女に納得して貰う事に決めた。

(彼女を外出させるほど難しい事は無いな…)

全ての事が終わったら、出来るだけこの女とは関わらない様にしようとティオロは決めた。


~占星術師の店…

ティオロはリーミアを連れて、レンティの店に来た。彼女にとってはギルド集会所に初めて参加登録した日以来だった。
2人は相変わらずお化け屋敷の様な店を眺める。
店の前には2つの人影があった。人影の1つはセフィーだった。

「よお、遅かったな」
と、彼は軽く手を振った。

ティオロとリーミアは、もう1つの人影を見た。その人物は男性であるのは確認出来たが…風変わりな格好をしていた。
フード付きのマントを掛けていて、そのフードを頭から被り、派手な眼鏡をして居て、鼻から口を布で隠していた。完全に素顔を隠した男性だった。
彼はリーミアを見るなり、手袋を外して彼女に握手して来た。

「やあ、君が噂の少女だったんだね。初めまして、君に会えてうれしいよ」
「あ、はい。はじめまして。宜しく」

陽気な雰囲気の彼に、2人は少し戸惑った。
リーミアは彼が腰に携えている剣の鞘を見た。長剣で美しい煌びやかな模様が刻み込まれた鞘だった。鞘の口元付近と。剣の柄には赤色の魔石が埋め込まれている。金属で作られた鍔と相当使い込まれたと思わせる柄を見て、かなりの戦歴があると感じられた。

「すみませんが、お名前は」

リーミアの問いに彼は少し考えこんだ。

「そうだね。アーレスとでも呼んでくれ」

変わった返事に2人は唖然とした。

(呼んでくれって何だ…?本名じゃないの?)

ティオロはアーレスと言う人物を見て思った。

「まあ、立ち話もなんだ…。中で話をしよう。占い師の婆さんも待ちくたびれている筈だから」

セフィーは一同を店の中に入るように手招きをする。

「あのアーレスと言う方…相当強そうね」
「え…そうなの?変わった男性にしか思えなかったけどな…?」

彼女は握手した手を見ていた。

まだ店の入口に立っている2人を見ながらセフィーがアーレスに声を掛ける。

「例の嬢ちゃんはどうだった?」
「噂以上だね。本領発揮したら、何処まで強くなるのやら…」

彼は嬉しそうに言う。

店には客人を待っていたレンティが大きなテーブルを用意して、彼等を待ち構えていた。

「ようこそ。ヒヒヒ…」

セフィーの後ろからリーミアとティオロが後に続いた。
彼等はレンティを取り囲むようにして椅子に並んで腰を降ろした。

「一応…次いでを含めて全員揃ったけど、どんな話なんだ?」

セフィーがレンティに向かって話す。この場で彼が言う次いでとはティオロの事だった。

「そうだな…湿地帯でリーミアちゃんが聖魔剣を奪われた事は皆が既に知っているよだな」

そこに揃った面々は皆頷いた。

「実はな、聖魔剣に付いて、私は先日王立図書館に大神官に招かれてな、そこである情報を知ったんだ。我々の知っている聖魔剣とは複数存在していたのだよ」

「ええーッ!」

その場に居る誰もが驚いた様子だったが、リーミアだけ落ち着いた様子だった。それを見たレンティは「なるほど…」と、頷きながら彼女を見る。
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