異世界でいっぱいH!

ゆめゆき

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29 温泉は最高だー!

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 ホテルを出て、リューバクシーを拾って街の中心に向かう。
 それにつれて、あちこちに湯煙が増えてくる。
 街の中心部は本格的な温泉街だ。露店や宿が並び、活気づいている。
 大きな露天風呂がいくつもあって、道から見える。入浴している人々はさすがに全裸ではない。薄い布で作られたガウン…湯浴み着のようなものを男女ともに着ている。

「あっ。ヨノイさん、温泉に入るにはどこでお金を払えばいいの?」
「えっ?入るのに、お金は払わないよ」
「ええっ!!」

 それは太っ腹だ。日本でも、昔は野生の温泉というか、地域密着型の簡単な露天風呂はそうだったのかもしれない。

「湯治服を持ち込めば、ただ着替えて入るだけでいい。私たちは脱衣場所で借りよう」

 リューバクシーをこじんまりとはしているが、シックで上品な雰囲気の建物の前でとめてもらう。
 二人で中に入る。

「ここだよ」
「いらっしゃいませ」

 これまた上品な薄緑色の服を着たご婦人が応対してくれる。

「お二人様ですね。手ぬぐいと湯治服をどうぞ。」

 ヨノイがおそらくチップ込みのレンタル代、2000カイスを支払った。
 受付場所の奥の部屋で、湯治服に着替える。
 奥に出口があって、そこを抜けると、すぐにだだっ広い露天風呂だ!
 右も、左も、奥も、人が入っていて視界の邪魔になるせいもあるが、果てが見えないほど広い。
 湯屋では体を洗ってから入ったけど…ここの露天風呂はかけ湯程度でいいようだ。
 温かいお湯を手桶に汲んでそれを浴び、縁に手をついてゆっくりと体を沈めていく…。

「ふわあ…あったかーい…」

 ヨノイも入った。

「うーん…」

 気持ちよさそうだ。湯気がすごくて見えないけど…。
 そして、なかなか足が底につかない…あ、ついた。そこで立ち上がると、腰くらいの位置に湯船があった。深い。
 肩までつかって、ゆっくり温泉の温かさを味わう。たっぷりのお湯につかるのって、やっぱり気持ちがいい。湯屋のお湯より温度は高い。

「ヨノイさ~ん…」
「ん~~?」

 気の抜けた声で話しかけると、ヨノイも気の抜けた声で返事をする。

「この温泉は何に効くの~?」
「ん~、打ち身、擦り傷、切り傷…後は美肌にいいんじゃないかな~」

 俺はサユのことを思い出した。賞金稼ぎ稼業は怪我がつきものだろう。だから、この場所で休暇を過ごすんだ…。
 しばらく温泉を堪能して、湯船から上がり着替えると、俺とヨノイはその辺を散策することにした。
 いろいろな土産物屋があって飽きない。
 湯冷めしない程度に涼しい気候だ。ゆっくり歩いているのが心地いい。
 そうだ。シラバに来たら石鹸を買おうと思っていたのだ。サユに分けてもらって大事に使っていた石鹸がなくなりそうなのだ。
 あと、占い…確かにたまに占いの文字を見かける。
 それに、やっぱりここも娼館が多い…!
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