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鬼畜レッスンと不機嫌モード
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しおりを挟むオッサン'sと一緒になってすでにでき上がってる虎さんには、しばらく鬼畜レッスンがあるので稽古はお休みさせて頂くことを伝えて、不機嫌な2人を連れてお風呂に向かった。
ーチャポンッ
2人と自分の身体と髪を綺麗に洗ってから、長湯になるのを見越していつもよりぬるめの温度にしたお湯に浸かり、一息ついてから私は話し始めた。
麗「雪嘩も桃嘩も私のこと怒ってるよね?」
雪・桃「「……」」
うん、返事はないけどこっちを見てくれてるから話は聴いてくれてるかな?
2人の様子を確認しつつ、天井を見上げる。
麗「私も雪嘩と桃嘩の立場だったら怒っちゃうもん、2人が怒るのも当たり前だよ~
私がここからすごく遠い世界から来たのは話したよね?
ここに来る前は、ママと私と妹2人、弟の5人で暮らしてたの。
でね、私が7歳の時にママとパパが離れて暮らすことになって、ママはお金を稼ぐためにいつも朝早くから夜遅くまでたくさん働いてたの。
だから私と姉弟は虎さんとおばあちゃんのお家で暮らしてた。
……けど、ママと全然お話出来ないしすごく寂しくかった。
だけどね、寂しかったはずなのにだんだんママに対して怒る気持ちになってきちゃったの。
何でお仕事ばかりで遊んでくれないの?
何でお話してくれないの?
何で、何でって……
私も経験したことある気持ちなのに、2人に嫌な思いさせちゃったね……」
あの頃は、『私はお姉ちゃんだから我慢しなきゃ!』とか思ってたけどまだ甘えたい時期だったし、ようやく母上の時間が空いても優嘩達が独占してたから余計にモヤモヤして母上に癇癪起こしてギャン泣きしちゃったんだよね~
まぁ、それからすぐ後に母上が小料理屋を開いたから、仕込みやなんやらの手伝いとか智嘩のお世話だったりをしたりするようになって、忙しくも母上と一緒に過ごす時間が多くなったから寂しさとかは感じなくなったんだけどね?
そろそろ2人と出会って3ヶ月。
私が依頼を受ける時はお留守番してもらったり、レオに編入試験の勉強を教えてもらってた時はシーナさんやアランさんに見ててもらうことはあったけど、1日の中でその時間は多くなくて2人と過ごす時間はたくさんあった。
だけど学園に入学してからのここ3週間ちょっとは、8時から14時の間は学園、帰ってきてから雪嘩と桃嘩と遊んだり話したりしてからは18時の夕食まで虎さんと稽古、ご飯を食べたらお風呂に入っておしゃべりしながら寝る……って感じだから、明らかに2人と過ごす時間が少なくなってる。
雪嘩はふだん人化してるといっても、元々は森で暮らしていたフェンリル。
初めての人との生活に感じるストレスは相当なものだと思う。
桃嘩だって2歳児だとは思えないくらいすごく賢いけど、2歳児なのはかわりない(桃嘩の年齢は私の○Phoneで調べた)。
一番愛情を求める時期で、一番愛情を注がなくちゃいけない時期だもん。
それに今でこそ人に慣れてコミュニケーションをとれるようになった雪嘩と桃嘩だけど、完全に慣れた訳じゃない。
2人共無意識みたいだけど、初めて会う人の前では身体を強張らせてる。
ロブさんのお手伝いをしたり、休み時間にアランさんとシーナさんに遊んでもらったり、魔法の練習兼遊びをしていたとしてもここはギルド、毎日沢山の人達がやってくるからお留守番している時はやっぱり不安になったり、寂しかったんだと思う。
だから日々のそういった不安や寂しさが今回の件で色々な気持ちと一緒に一気に溢れてごちゃ混ぜになった気持ちを、2人は不機嫌モードって形で自分たちのを表したんだと思う。
少し考えれば気が付く事のはずなのに自分の忙しさにかまけたせいで気付かないとか、
………私、最低だ。
応援ありがとうございます!
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