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森に住む、魔女に出会う
しおりを挟む森を歩くこと数時間が経つ。
「ここまで逃げればっ、大丈夫か…」
濡れた衣服を魔法の火で何とか乾かした神宿は今も森の中を彷徨っていた。
というのも、彼が今までいた森はというと上流における地点であり、現在の地点でもある下流先であるこの森には今まで一度として足を踏み入れたことがなかったのだ。
だから、また始めから安全地帯を探さなければならなくなったわけなのだが、
「休める所が…ないな」
見るからに至る所、草木しかない。
岩場で囲まれた場所や、川沿いといった所もなく、もういつ背後から襲われてもおかしくない場所しかなかった。
いや、そもそも上流であるあの森で安全地帯を見つけれたこと自体、奇跡に近かったのだろうが、
「はぁ~」
これはもう、危険覚悟に野宿するしかないか、と若干希望を諦めかけた神宿。
だが、そんな時。
歩く途中で、大きく開けた場所に出た。
そして、その視線の先には、
「ん? …… あれって、家?」
それは見るからにアンティーク感ある木造建築で作られた家が開けた平地の真ん中で建っていた。
空いた扉に加えて、干したばかりの大布など、一見して生活感が少しと感じられ、
「ここで何をしているの? 君?」
その直後。
突然と背後から掛けられた声に神宿は全身をビクつかせ、前へと飛び退いた。
そして、驚いた様子で神宿が振り返ると、そこには、
「あらあら、ごめんなさい」
まさに、異世界ありきの魔女衣装に身を包んだ美女がニコニコした様子で立っていた。
そして、その姿に対し、神宿は思わず声を上げてしまう。
「ま、魔女っ!?」
「まぁ、そんなあっけらかんに言われてしまうとは、あらあらいけないわね」
魔女と即答で自身の正体を言い当てられてしまったことに驚きつつ、また笑みを浮かばせる。
(うっ、何かヤバそうっ)
その不気味な笑みを浮かべん女に、神宿は後ずさり、そのまま体を振り返らせてながら逃げようとした。
「はい、ちょっと待ってね?」
だが、その直後。
全身がまるで金縛りにあったかのように動けなくなってはしまった。
「ま、魔法っ!?」
「別にとって食おうとはしてないから、よかったら家にお上りになって」
そうして、有無なくして神宿 透は魔女に引っ張られるまま家の中へと連れていかれることになってしまうのであった。
この世界では、魔女=魔法使いと呼ばれているらしい。
魔法使いである彼女、アーチェはそう説明したのち、席につかせた神宿にハーブティーの入ったコップと菓子を持ってきた。
「さぁ、どうぞ?」
「………」
金縛りをしたあげくに家へと連行する、そんな彼女の言葉に警戒を強める神宿。
だが、この世界に来て初めての菓子には流石に逆らえず、止む無くしてそれらに手にする。
「もぐもぐ、うん、上手いな」
「そう?」
彼女の言葉に頭を頷かせながら、菓子を頬張りハーブティーを飲む神宿は少し心が落ち着いたような気がして、そっと息をついた。
アーチェはそんな神宿に微笑みながら、
「本当に毒食べても平気なのね」
次の瞬間。
ぶーーーーーーーーーーッ!? と神宿は口に含んでいたハーブティーを噴き出した。
いや、衝撃的な言葉にそう反応せずにはいられなかった。
対するアーチェはまたクスクスと笑いながら、
「流石、自然治癒スキルをもっているだけあるわね?」
そう口にして、笑みを浮かべるのだった。
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