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第四章 犯罪者共は学をつける
61.悪の覇王はどこまでも
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「で、何故お前もここに居るんだ。」
あれから数日後。イリシテアでのゴタゴタを片付けたガジュ達は、次なる目的地ベリオットを目指していた。いつも通りの軽装と、いつもはない荷車。キュキュによって引かれるその大きな荷車の上には、悪の覇王が鎮座していた。
「何故と言われても困るな。お主らのお陰でイリシテアは良くも悪くも改革されたから、吾輩もあそこに留まる理由がなくなったんだ。僕にはパン作りを散々教えたから、吾輩がいなくとも勝手に生きていける。そもそも吾輩はあやつらを育て上げる気はなかったからな。一人で生きていけるように支援するのが吾輩の役目だ。そ・れ・に!暇になったのであればシャルルについていくしかないだろ!なぁ~!シャルル♪」
「どことなく身の危険は感じますが、クルトを連れていくことにはシャルも賛成です。チョココロネの件についても詳しく調べたいですし、そもそもベリオット冒険者学校に伝手があるのはクルトですしね。」
「まぁそれはそうだが……。言っておくがパーティには入れないからな?うちはもう四人揃ってる。」
「構わん構わん。吾輩はそこらのパーティに収まるような器ではないからな!ってわぁ!」
絶妙に論点のずれたままクルトが胸を張り、荷車の中で転がる。戦闘に使えるスキルもなければ、荷車の上でバランスを保つ身体能力すらもない。いくら強力なスキルを持っていそうだからといって、クルトにそれ以上の価値はないだろう。あくまでシャルルのやかましい友達。精々その程度である。
そんな彼女を押し退け、もう一人やかましい奴が荷車から顔を出す。
「そんなことよりさ!ベリオットってどういうところなの!?観光できるかな!」
「観光ができるかは知らないが、便利な街ではあるぞ!冒険者協会の支部もあるし、学生も多いから繁華街もかなり賑わっている。吾輩が作ったパンを大量に買ってくれるお得意様がたくさんいるんだ!学校にある伝手というのも、その一人だな。」
「うっひょーい!!!楽しみ、楽しみだねぇキュキュちゃん!最高の気分だよ!」
ユギはど田舎。イリシテアは荒廃。アンラは栄えてはいたもののすぐに離れてしまった。今更ケネの元に戻りたくもないし、ガジュ達が新たに腰を据える場所としてはベリオットは最適な土地だろう。
ガジュがそう思った時、不安そうな声を上げる獣人がいた。
「あ、あの……私は、受け入れて貰えるんでしょうか。」
実に最もな疑問である。普段は大きなローブで耳や尻尾を隠しているが、何かしらの手続きの際には流石に顔を晒さなくてはならない。冒険者協会は人手不足が故に亜人獣人であることを気にしなかったが、今回の目的地はそうもいかない可能性がある。なんせ相手は学校。どういう形でクルトの伝手が作用するかは分からないが、誰だって受け入れるという施設ではないだろう。
そんな疑問に対し、伝手を持つ張本人が荷車の中で転がりながら静かに返事をする。
「かなり微妙なラインだな。ガジュ達は普通に生徒として入学出来るが、キュキュも同じルートを辿るのは厳しいかもしれない。」
「そ、そうですか……。そうですよね、すみませんすみません私のようなクソ犬は学校の前でワンワン吠えて遊んでいます。犬に教育を受ける権利はありませんから。誠に申し訳ありません。」
「話は最後まで聞かないか!生徒としての入学が厳しいだけで、学校の中に入ることは出来るはずだ。まぁ、研究対象としてだろうがな。」
「研究対象?一体何の研究するっていうんだ。」
「吾輩のいう伝手は、ベリオット冒険者学校でスキルを研究している教師なんだ。キュキュは三つのスキルを持っているのだろう?であればきっと奴は興味を示す。まぁ多少変態ではあるが……そこは我慢するんだな!」
【強化】【狂化】【凶化】
キュキュは人格に応じてこの三つを使い分けている。そのカラクリはキュキュにすら分かっていないが、ガジュもずっと気になっていたことだ。
スキルを勘違いすることや、スキルに後から気づくことはあれど、複数持つことはあり得ない。キュキュの多重人格はそれらの常識を覆しているわけで、スキル研究者とあれば絶対に興味を持つ事例だろう。
「僕達は生徒、キュキュちゃんだけ別口……。まぁそれはいいと思うんだけど、ガジュは生徒になれるの?この人とても若いとは言えないし、冒険者歴も七年あるよ?」
「言われてみれば……駄目かもしれんな。吾輩の記憶が正しければあの学校は新米冒険者、冒険者になってから三年以内の人間しか入学できないはずだ。いくらガジュが一度捕まって、実績ゼロに戻っているとはいえ、新米冒険者と呼ぶのは無理があろう。」
「じゃあなんだ、俺も研究対象かよ。」
「はっはっは!暗い所で強くなるだけの簡単なスキルに誰が興味あるというんだ。ガジュはそうだな、教師にでもなったらどうだ?一応戦えるわけだし、戦闘専門の教師なら馬鹿でもなれるだろ!」
ユンのせいか、シャルルのせいか。近頃はどんどんと仲間内でのガジュの扱いが悪くなっているが、かといって強く言い返すこともできまい。ガジュがパワーがあるだけの雑魚である事には変わらないし、牢獄育ち三人組より頭の悪い存在である事も変わらない。
ガラガラという荷車の音に紛れて舌打ちの音が響き、五人は学園へと向かっていく。
あれから数日後。イリシテアでのゴタゴタを片付けたガジュ達は、次なる目的地ベリオットを目指していた。いつも通りの軽装と、いつもはない荷車。キュキュによって引かれるその大きな荷車の上には、悪の覇王が鎮座していた。
「何故と言われても困るな。お主らのお陰でイリシテアは良くも悪くも改革されたから、吾輩もあそこに留まる理由がなくなったんだ。僕にはパン作りを散々教えたから、吾輩がいなくとも勝手に生きていける。そもそも吾輩はあやつらを育て上げる気はなかったからな。一人で生きていけるように支援するのが吾輩の役目だ。そ・れ・に!暇になったのであればシャルルについていくしかないだろ!なぁ~!シャルル♪」
「どことなく身の危険は感じますが、クルトを連れていくことにはシャルも賛成です。チョココロネの件についても詳しく調べたいですし、そもそもベリオット冒険者学校に伝手があるのはクルトですしね。」
「まぁそれはそうだが……。言っておくがパーティには入れないからな?うちはもう四人揃ってる。」
「構わん構わん。吾輩はそこらのパーティに収まるような器ではないからな!ってわぁ!」
絶妙に論点のずれたままクルトが胸を張り、荷車の中で転がる。戦闘に使えるスキルもなければ、荷車の上でバランスを保つ身体能力すらもない。いくら強力なスキルを持っていそうだからといって、クルトにそれ以上の価値はないだろう。あくまでシャルルのやかましい友達。精々その程度である。
そんな彼女を押し退け、もう一人やかましい奴が荷車から顔を出す。
「そんなことよりさ!ベリオットってどういうところなの!?観光できるかな!」
「観光ができるかは知らないが、便利な街ではあるぞ!冒険者協会の支部もあるし、学生も多いから繁華街もかなり賑わっている。吾輩が作ったパンを大量に買ってくれるお得意様がたくさんいるんだ!学校にある伝手というのも、その一人だな。」
「うっひょーい!!!楽しみ、楽しみだねぇキュキュちゃん!最高の気分だよ!」
ユギはど田舎。イリシテアは荒廃。アンラは栄えてはいたもののすぐに離れてしまった。今更ケネの元に戻りたくもないし、ガジュ達が新たに腰を据える場所としてはベリオットは最適な土地だろう。
ガジュがそう思った時、不安そうな声を上げる獣人がいた。
「あ、あの……私は、受け入れて貰えるんでしょうか。」
実に最もな疑問である。普段は大きなローブで耳や尻尾を隠しているが、何かしらの手続きの際には流石に顔を晒さなくてはならない。冒険者協会は人手不足が故に亜人獣人であることを気にしなかったが、今回の目的地はそうもいかない可能性がある。なんせ相手は学校。どういう形でクルトの伝手が作用するかは分からないが、誰だって受け入れるという施設ではないだろう。
そんな疑問に対し、伝手を持つ張本人が荷車の中で転がりながら静かに返事をする。
「かなり微妙なラインだな。ガジュ達は普通に生徒として入学出来るが、キュキュも同じルートを辿るのは厳しいかもしれない。」
「そ、そうですか……。そうですよね、すみませんすみません私のようなクソ犬は学校の前でワンワン吠えて遊んでいます。犬に教育を受ける権利はありませんから。誠に申し訳ありません。」
「話は最後まで聞かないか!生徒としての入学が厳しいだけで、学校の中に入ることは出来るはずだ。まぁ、研究対象としてだろうがな。」
「研究対象?一体何の研究するっていうんだ。」
「吾輩のいう伝手は、ベリオット冒険者学校でスキルを研究している教師なんだ。キュキュは三つのスキルを持っているのだろう?であればきっと奴は興味を示す。まぁ多少変態ではあるが……そこは我慢するんだな!」
【強化】【狂化】【凶化】
キュキュは人格に応じてこの三つを使い分けている。そのカラクリはキュキュにすら分かっていないが、ガジュもずっと気になっていたことだ。
スキルを勘違いすることや、スキルに後から気づくことはあれど、複数持つことはあり得ない。キュキュの多重人格はそれらの常識を覆しているわけで、スキル研究者とあれば絶対に興味を持つ事例だろう。
「僕達は生徒、キュキュちゃんだけ別口……。まぁそれはいいと思うんだけど、ガジュは生徒になれるの?この人とても若いとは言えないし、冒険者歴も七年あるよ?」
「言われてみれば……駄目かもしれんな。吾輩の記憶が正しければあの学校は新米冒険者、冒険者になってから三年以内の人間しか入学できないはずだ。いくらガジュが一度捕まって、実績ゼロに戻っているとはいえ、新米冒険者と呼ぶのは無理があろう。」
「じゃあなんだ、俺も研究対象かよ。」
「はっはっは!暗い所で強くなるだけの簡単なスキルに誰が興味あるというんだ。ガジュはそうだな、教師にでもなったらどうだ?一応戦えるわけだし、戦闘専門の教師なら馬鹿でもなれるだろ!」
ユンのせいか、シャルルのせいか。近頃はどんどんと仲間内でのガジュの扱いが悪くなっているが、かといって強く言い返すこともできまい。ガジュがパワーがあるだけの雑魚である事には変わらないし、牢獄育ち三人組より頭の悪い存在である事も変わらない。
ガラガラという荷車の音に紛れて舌打ちの音が響き、五人は学園へと向かっていく。
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