65 / 124
第四章 犯罪者共は学をつける
64.学園生活は慌ただしい
しおりを挟む
「はぁーーーー!!!辞める!明日には辞める!」
「正義が、正義が通りません!いっそシャルが、シャルが教壇に立つべきです!!!」
あれから数日、いや一週間ほどの月日が流れただろうか。経過した日数など分からなくなるぐらいには慌ただしい日々が流れ、ガジュ達は疲弊しきっていた。
特にガジュとシャルルに関してはより一層。こうして校内の外れにある研究室に集まっては、連日文句を言い合わなければ精神がもたないほどに、愚痴とストレスが積もり積もっている。
ガジュは普段のボロボロの服装から打って変わり、無駄にかっちりとしたスーツ。そしてシャルルとユンは、この前街で見たものと同じベリオット冒険者学校の制服に身を包み、これまでの犯罪者然とした容姿からは大きく姿を変えている。
もっともシャルルに関しては、先日すれ違った学生やユンのように短いスカートなど言語道断といったようで、規定の長さよりも長そうなスカートを振り回し、憤慨していた。
「そもそも!俺に教師をやらせようというのが間違ってる!戦闘専門の教師と言われても、俺は魔法の使い方も知らないし、担当科目以外の時間は生徒に混じって授業受けてるんだぞ?そんな奴が一体何を教えれば良いっていうんだよ!魔物の倒し方?んなもん殴る以外にねぇだろうが!」
「シャルルが生徒なのも間違っています!何なんですかあの不真面目な同級生達は!街ですれ違った時から思っていましたが、服装は乱れているし言葉遣いも雑!授業中の態度にしても酷いものです!あの人達は一体何のためにここにいるんですか!教師もそれを放任して……この学校は正義に欠けています!」
ベリオット冒険者学校に来て以降、ガジュ達は当初の予定通り、生徒と教師に分かれて勉学に励んでいた。シャルルとユンは昼コースのカリキュラムに従って多種多様な講義を受講し、ガジュは教員としての仕事の合間を縫って魔道学やスキル学などガジュの知らない知識だけを学んでいる。だが、この現状を楽しんでいるのは恐らく一人だけであろう。
「ユンちゃんは楽しくて仕方ないけどなぁ。ガジュが冷や汗かきながら魔物との戦い教えてるのも滑稽だし、同級生達も話は合わないけどノリが近くて面白いし。こうしてここに集まれば皆がキレ散らかしてるのも見れるしさぁ。」
「ユンは性格が歪みすぎです!シャル達の苦労を毎日嘲笑って、仲間として助け合おうという意志はないんですか!」
「諦めろシャルル。こいつにそんなことを期待したって無駄だ。ユンに文句を垂れるぐらいならもっと別の奴に言い放った方がいい。おいルウシェ!さっさと出てこい!」
ガジュは半ギレで声を上げ、全ての元凶を呼びつける。そしてその声に応じ、奥の扉から出てきた女と身内の獣人は、相当に珍妙な服装をしていた。
「やぁやぁ筋肉馬鹿君。今日も今日とて声が大きいね。大きな音を嫌う割に自分の声は大きい、自己矛盾の塊のような人間じゃないか。そう怒る前にこの子を見てくれたまえよ。私の新作メイド服だよ。」
「すみませんすみません……私のような愚か者がこのような服を頂いてしまって申し訳ありません。圧倒的面汚し、衆目の恥。誠に申し訳ありません。」
「キュキュ……またそんな服着せられてるのか……。ルウシェはゴタゴタ抜かす前にもっとキュキュを丁重に扱えよ。そいつも俺達の仲間なんだからな。」
そこかしこにフリルのついた露出の多いメイド服を着せられたキュキュと、それに合わせて執事のような服に身を包んで男装する女。この執事服の女こそが、クルトの伝手でありベリオット冒険者学校でスキルを教える変態教員、ルウシェ・エスカバーである。
確かにキュキュはスタイルもよく顔もいいから、普段ボロボロの囚人服とオーバーサイズのローブしか着ていないのは勿体無いとガジュも思っていたが、ここ最近のキュキュの服装はあまりにも奇抜すぎる。メイド、魔道士、戦士などありとあらゆる職業の服を無理矢理着せられ、酷い日はなぜか猫耳を付けさせられている日まであった。彼女自身は特に文句を言わないが、この新生活で最大の被害を被っているのは間違いなくキュキュだろう。
ガジュが同情に満ちた目でキュキュを眺めていると、奥からこちらも奇抜な格好をしたクルシュが現れる。こいつに関してはもう着ぐるみを着る必要はないはずだが、何故かベリオットに来てからもずっとこのままだ。
「文句を言っても仕方ないぞ、此奴はそういう奴だからな。美少女を集めては、研究と称して色々な服を着せる。そうやって精神を安定させている本物の変態だ。昔は吾輩もよく犠牲になったものだ。」
「覇王君は最近着ぐるみばかり着て私の服を着てくれないからね、悲しい限りだよ。ところで君達、こんな所で文句を垂れていていいのかい?もうすぐ日も暮れる、君達に休む暇なんてないだろう?」
「げっ、ホントじゃん……。ねぇガジュ、今日ばっかりは休もうよ!毎日毎日汗水垂らして働いて、ユンちゃんはもう限界だよ!」
「知るか、限界ぐらい超えて見せろ!行くぞ、お前ら。」
悔しいがルウシェの言う通り。ガジュ達には昼間の学園生活を乗り越えた後も、やるべきことが残っている。日が暮れてから寝るまでの僅かな間。この時間でしっかりと魔物を倒し、冒険者等級を上げなければ。目標である所のハクアはさらに遠くへ行ってしまった。追いつく為には休んでなどいられない。
「正義が、正義が通りません!いっそシャルが、シャルが教壇に立つべきです!!!」
あれから数日、いや一週間ほどの月日が流れただろうか。経過した日数など分からなくなるぐらいには慌ただしい日々が流れ、ガジュ達は疲弊しきっていた。
特にガジュとシャルルに関してはより一層。こうして校内の外れにある研究室に集まっては、連日文句を言い合わなければ精神がもたないほどに、愚痴とストレスが積もり積もっている。
ガジュは普段のボロボロの服装から打って変わり、無駄にかっちりとしたスーツ。そしてシャルルとユンは、この前街で見たものと同じベリオット冒険者学校の制服に身を包み、これまでの犯罪者然とした容姿からは大きく姿を変えている。
もっともシャルルに関しては、先日すれ違った学生やユンのように短いスカートなど言語道断といったようで、規定の長さよりも長そうなスカートを振り回し、憤慨していた。
「そもそも!俺に教師をやらせようというのが間違ってる!戦闘専門の教師と言われても、俺は魔法の使い方も知らないし、担当科目以外の時間は生徒に混じって授業受けてるんだぞ?そんな奴が一体何を教えれば良いっていうんだよ!魔物の倒し方?んなもん殴る以外にねぇだろうが!」
「シャルルが生徒なのも間違っています!何なんですかあの不真面目な同級生達は!街ですれ違った時から思っていましたが、服装は乱れているし言葉遣いも雑!授業中の態度にしても酷いものです!あの人達は一体何のためにここにいるんですか!教師もそれを放任して……この学校は正義に欠けています!」
ベリオット冒険者学校に来て以降、ガジュ達は当初の予定通り、生徒と教師に分かれて勉学に励んでいた。シャルルとユンは昼コースのカリキュラムに従って多種多様な講義を受講し、ガジュは教員としての仕事の合間を縫って魔道学やスキル学などガジュの知らない知識だけを学んでいる。だが、この現状を楽しんでいるのは恐らく一人だけであろう。
「ユンちゃんは楽しくて仕方ないけどなぁ。ガジュが冷や汗かきながら魔物との戦い教えてるのも滑稽だし、同級生達も話は合わないけどノリが近くて面白いし。こうしてここに集まれば皆がキレ散らかしてるのも見れるしさぁ。」
「ユンは性格が歪みすぎです!シャル達の苦労を毎日嘲笑って、仲間として助け合おうという意志はないんですか!」
「諦めろシャルル。こいつにそんなことを期待したって無駄だ。ユンに文句を垂れるぐらいならもっと別の奴に言い放った方がいい。おいルウシェ!さっさと出てこい!」
ガジュは半ギレで声を上げ、全ての元凶を呼びつける。そしてその声に応じ、奥の扉から出てきた女と身内の獣人は、相当に珍妙な服装をしていた。
「やぁやぁ筋肉馬鹿君。今日も今日とて声が大きいね。大きな音を嫌う割に自分の声は大きい、自己矛盾の塊のような人間じゃないか。そう怒る前にこの子を見てくれたまえよ。私の新作メイド服だよ。」
「すみませんすみません……私のような愚か者がこのような服を頂いてしまって申し訳ありません。圧倒的面汚し、衆目の恥。誠に申し訳ありません。」
「キュキュ……またそんな服着せられてるのか……。ルウシェはゴタゴタ抜かす前にもっとキュキュを丁重に扱えよ。そいつも俺達の仲間なんだからな。」
そこかしこにフリルのついた露出の多いメイド服を着せられたキュキュと、それに合わせて執事のような服に身を包んで男装する女。この執事服の女こそが、クルトの伝手でありベリオット冒険者学校でスキルを教える変態教員、ルウシェ・エスカバーである。
確かにキュキュはスタイルもよく顔もいいから、普段ボロボロの囚人服とオーバーサイズのローブしか着ていないのは勿体無いとガジュも思っていたが、ここ最近のキュキュの服装はあまりにも奇抜すぎる。メイド、魔道士、戦士などありとあらゆる職業の服を無理矢理着せられ、酷い日はなぜか猫耳を付けさせられている日まであった。彼女自身は特に文句を言わないが、この新生活で最大の被害を被っているのは間違いなくキュキュだろう。
ガジュが同情に満ちた目でキュキュを眺めていると、奥からこちらも奇抜な格好をしたクルシュが現れる。こいつに関してはもう着ぐるみを着る必要はないはずだが、何故かベリオットに来てからもずっとこのままだ。
「文句を言っても仕方ないぞ、此奴はそういう奴だからな。美少女を集めては、研究と称して色々な服を着せる。そうやって精神を安定させている本物の変態だ。昔は吾輩もよく犠牲になったものだ。」
「覇王君は最近着ぐるみばかり着て私の服を着てくれないからね、悲しい限りだよ。ところで君達、こんな所で文句を垂れていていいのかい?もうすぐ日も暮れる、君達に休む暇なんてないだろう?」
「げっ、ホントじゃん……。ねぇガジュ、今日ばっかりは休もうよ!毎日毎日汗水垂らして働いて、ユンちゃんはもう限界だよ!」
「知るか、限界ぐらい超えて見せろ!行くぞ、お前ら。」
悔しいがルウシェの言う通り。ガジュ達には昼間の学園生活を乗り越えた後も、やるべきことが残っている。日が暮れてから寝るまでの僅かな間。この時間でしっかりと魔物を倒し、冒険者等級を上げなければ。目標である所のハクアはさらに遠くへ行ってしまった。追いつく為には休んでなどいられない。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる