追放投獄全部乗り越えて復讐を、執着無双の脱獄者〜夜だけ最強?いえ闇の中ならいつでも最強です〜

鮎川重

文字の大きさ
77 / 124
第四章 犯罪者共は学をつける

76.祭りの始まり

しおりを挟む
「お前らぁぁぁぁぁ!!!盛りあがってるかぁぁぁぁぁ!!!」

 ベリオット冒険者学校校庭。先日キュキュが血まみれになっていたその場所で、ガジュは声を上げる。首を回した先には大量の生徒達。誰も彼も奇抜な色の髪の毛を振り回し、耳には大きなピアス。女は相変わらず短いスカートであるし、男達も見るからに柄が悪い。野蛮で粗暴な烏合の衆。これこそが昼コースである。

「全員、襟を正せ。これは祭りでありながら学びの場でもある。その事を意識して行動しろ。」

 巨大な横断幕を挟んで向かい側。そこに構える集団の先頭には、白髪の剣士が立っていた。戦闘に備えて軽装に着替えてきたガジュとは違い、ハクアの方はいつも通りの堅苦しい正装。そして彼に付き従う生徒達も、昼コースとは大違いの小綺麗さだ。

 あまりにも雰囲気の違う二組は向かい合い、その周りを大量の群衆が取り囲む。群衆の手には思い思いの食べ物が握られ、ブルーシートを地面に引いて談笑する人々も。あまりにも和気藹々とした雰囲気の中、中心の二人の殺気だけが異質さを放っていた。

「えー、只今より、第三十三回ベリオット冒険者学校創立祭開会式を始めます。司会は私、ベリオット冒険者学校スキル学教師、ルウシェ・エスカバーが務めさせていただきます。」

 今日はまともな服装。いや彼女にとってはスーツすらもコスプレの一環なのだろうか。ルウシェはどことなく嬉しそうな表情で両軍の間に立ち、分厚い原稿を読み上げていく。

「この祭りはベリオット冒険者学校の創立時から続く伝統の祭りであり、ベリオットに住む住民の皆様におかれましては……。ふむ、めんどくさいねこれ読むの。まぁとにかく大規模な祭りですから色々とご迷惑をお掛けするかもしれませんが、観客の皆様はどうか朗らかな心でお楽しみください。」

 ルウシェが適当に頭を下げ、その頭上に突如ガジュの顔が投映される。全方位中継映像投射機だったか、ベリオット冒険者学校の教師陣がスキルや魔法の贅を尽くして開発したその技術によって、創立祭の模様はベリオット全土に中継されるらしい。
 ルウシェも言っていた通り、この祭りは学校裏の山全体を使用して行われ、一日中戦闘の爆音や生徒の叫び声が街に鳴り響く。そこに目を瞑ってもらうより、いっそ街中に娯楽として提供してやろうという魂胆なのだろうが、ガジュからすれば迷惑な話だ。

 生徒達の戦いは勿論、ガジュ達の戦いまで中継されては、ハクアを暗殺する事も敵わないではないか。何とも恨めしいが、まぁ一線を超えなければいいだけの話だ。ガジュがそう思いながら拳を握ると、誰かに背中を押されハクアとの距離が一気に近づいてしまっていた。

「えーそして祭りの概要ですが、本日も例年通り昼コース夜コース対抗の総力戦が行われます。そして今回も特別講師として、黒曜等級冒険者の方々に参加していただきますが……。」
「夜コース特別講師として招待されたヘイサーレン・アラバストラだ。非常に申し訳ないが我々『イディオム』は諸事情によって本来の役割を果たせない。それ故に、我々が担うべき特別講師の役割はこのガジュ・アザットが率いる『クリミナル』に一任させていただき、私は教師陣と共に腕を奮わせて貰う。」
「とのことなので、生徒の皆様はそれぞれ、『クリミナル』と『カイオス』の方々の指示に従ってください。特別講師の皆様は、生徒達の模範となるような紳士的な戦闘を行なっていただけますと幸いです。」

 紳士的。その言葉がルウシェの口から出ると共に、ガジュの両足が踏みつけられる。辺りを見渡さなくとも分かる、犯人はシャルルとユン。普段からガジュの暴走の被害に合っている二人に違いない。

「では特別講師二組の代表者は前へお願いします。えーまず、『カイオス』から。」
「初めまして。『カイオス』代表、黒曜等級冒険者ハクア・ドムです。つい最近黒曜等級になったばかりの身ではありますが、ここに立った以上は未来ある若者の為に勝利と学びを与えたいと思います。」
「けっ、ご立派な挨拶だな。人に何かを教える前にお前が道徳を学ぶべきだと思うぞ。」
「あっ!ちょっとガジュ!まだガジュの出番じゃないってば!」

 横の二人を振り払い、憤慨したガジュが前に出る。取り繕ったような笑みを浮かべてこちらを見つめるハクアの胸を掴み、ガジュは唸るように叫び声を上げていく。

「銀等級冒険者、ガジュ・アザット!!!俺は別に何も教えねぇし与えねぇ!ただ己の復讐を果たすだけだ!!!学びたきゃ勝手に学びやがれ生徒共!」

 中継されている事も、目の前に冷めた目の生徒達がいることも気にしない。ただ暴れたいから暴れるだけ。ガジュがいつも通り欲望を解放させ、それに呼応するようにハクアがため息をつく。

「はぁ……。お前は相変わらず短絡的だな。いいだろう、俺達『カイオス』一同、相手になってやる。」
「相手になるといいけどな。行くぞお前らぁ!!」

 因縁の二人が剣と拳を打ち鳴らし、背後の生徒達がそれぞれ盛り上がる。

 ベリオット冒険者学校創立祭、いよいよ開幕である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...