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第四章 犯罪者共は学をつける
76.祭りの始まり
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「お前らぁぁぁぁぁ!!!盛りあがってるかぁぁぁぁぁ!!!」
ベリオット冒険者学校校庭。先日キュキュが血まみれになっていたその場所で、ガジュは声を上げる。首を回した先には大量の生徒達。誰も彼も奇抜な色の髪の毛を振り回し、耳には大きなピアス。女は相変わらず短いスカートであるし、男達も見るからに柄が悪い。野蛮で粗暴な烏合の衆。これこそが昼コースである。
「全員、襟を正せ。これは祭りでありながら学びの場でもある。その事を意識して行動しろ。」
巨大な横断幕を挟んで向かい側。そこに構える集団の先頭には、白髪の剣士が立っていた。戦闘に備えて軽装に着替えてきたガジュとは違い、ハクアの方はいつも通りの堅苦しい正装。そして彼に付き従う生徒達も、昼コースとは大違いの小綺麗さだ。
あまりにも雰囲気の違う二組は向かい合い、その周りを大量の群衆が取り囲む。群衆の手には思い思いの食べ物が握られ、ブルーシートを地面に引いて談笑する人々も。あまりにも和気藹々とした雰囲気の中、中心の二人の殺気だけが異質さを放っていた。
「えー、只今より、第三十三回ベリオット冒険者学校創立祭開会式を始めます。司会は私、ベリオット冒険者学校スキル学教師、ルウシェ・エスカバーが務めさせていただきます。」
今日はまともな服装。いや彼女にとってはスーツすらもコスプレの一環なのだろうか。ルウシェはどことなく嬉しそうな表情で両軍の間に立ち、分厚い原稿を読み上げていく。
「この祭りはベリオット冒険者学校の創立時から続く伝統の祭りであり、ベリオットに住む住民の皆様におかれましては……。ふむ、めんどくさいねこれ読むの。まぁとにかく大規模な祭りですから色々とご迷惑をお掛けするかもしれませんが、観客の皆様はどうか朗らかな心でお楽しみください。」
ルウシェが適当に頭を下げ、その頭上に突如ガジュの顔が投映される。全方位中継映像投射機だったか、ベリオット冒険者学校の教師陣がスキルや魔法の贅を尽くして開発したその技術によって、創立祭の模様はベリオット全土に中継されるらしい。
ルウシェも言っていた通り、この祭りは学校裏の山全体を使用して行われ、一日中戦闘の爆音や生徒の叫び声が街に鳴り響く。そこに目を瞑ってもらうより、いっそ街中に娯楽として提供してやろうという魂胆なのだろうが、ガジュからすれば迷惑な話だ。
生徒達の戦いは勿論、ガジュ達の戦いまで中継されては、ハクアを暗殺する事も敵わないではないか。何とも恨めしいが、まぁ一線を超えなければいいだけの話だ。ガジュがそう思いながら拳を握ると、誰かに背中を押されハクアとの距離が一気に近づいてしまっていた。
「えーそして祭りの概要ですが、本日も例年通り昼コース夜コース対抗の総力戦が行われます。そして今回も特別講師として、黒曜等級冒険者の方々に参加していただきますが……。」
「夜コース特別講師として招待されたヘイサーレン・アラバストラだ。非常に申し訳ないが我々『イディオム』は諸事情によって本来の役割を果たせない。それ故に、我々が担うべき特別講師の役割はこのガジュ・アザットが率いる『クリミナル』に一任させていただき、私は教師陣と共に腕を奮わせて貰う。」
「とのことなので、生徒の皆様はそれぞれ、『クリミナル』と『カイオス』の方々の指示に従ってください。特別講師の皆様は、生徒達の模範となるような紳士的な戦闘を行なっていただけますと幸いです。」
紳士的。その言葉がルウシェの口から出ると共に、ガジュの両足が踏みつけられる。辺りを見渡さなくとも分かる、犯人はシャルルとユン。普段からガジュの暴走の被害に合っている二人に違いない。
「では特別講師二組の代表者は前へお願いします。えーまず、『カイオス』から。」
「初めまして。『カイオス』代表、黒曜等級冒険者ハクア・ドムです。つい最近黒曜等級になったばかりの身ではありますが、ここに立った以上は未来ある若者の為に勝利と学びを与えたいと思います。」
「けっ、ご立派な挨拶だな。人に何かを教える前にお前が道徳を学ぶべきだと思うぞ。」
「あっ!ちょっとガジュ!まだガジュの出番じゃないってば!」
横の二人を振り払い、憤慨したガジュが前に出る。取り繕ったような笑みを浮かべてこちらを見つめるハクアの胸を掴み、ガジュは唸るように叫び声を上げていく。
「銀等級冒険者、ガジュ・アザット!!!俺は別に何も教えねぇし与えねぇ!ただ己の復讐を果たすだけだ!!!学びたきゃ勝手に学びやがれ生徒共!」
中継されている事も、目の前に冷めた目の生徒達がいることも気にしない。ただ暴れたいから暴れるだけ。ガジュがいつも通り欲望を解放させ、それに呼応するようにハクアがため息をつく。
「はぁ……。お前は相変わらず短絡的だな。いいだろう、俺達『カイオス』一同、相手になってやる。」
「相手になるといいけどな。行くぞお前らぁ!!」
因縁の二人が剣と拳を打ち鳴らし、背後の生徒達がそれぞれ盛り上がる。
ベリオット冒険者学校創立祭、いよいよ開幕である。
ベリオット冒険者学校校庭。先日キュキュが血まみれになっていたその場所で、ガジュは声を上げる。首を回した先には大量の生徒達。誰も彼も奇抜な色の髪の毛を振り回し、耳には大きなピアス。女は相変わらず短いスカートであるし、男達も見るからに柄が悪い。野蛮で粗暴な烏合の衆。これこそが昼コースである。
「全員、襟を正せ。これは祭りでありながら学びの場でもある。その事を意識して行動しろ。」
巨大な横断幕を挟んで向かい側。そこに構える集団の先頭には、白髪の剣士が立っていた。戦闘に備えて軽装に着替えてきたガジュとは違い、ハクアの方はいつも通りの堅苦しい正装。そして彼に付き従う生徒達も、昼コースとは大違いの小綺麗さだ。
あまりにも雰囲気の違う二組は向かい合い、その周りを大量の群衆が取り囲む。群衆の手には思い思いの食べ物が握られ、ブルーシートを地面に引いて談笑する人々も。あまりにも和気藹々とした雰囲気の中、中心の二人の殺気だけが異質さを放っていた。
「えー、只今より、第三十三回ベリオット冒険者学校創立祭開会式を始めます。司会は私、ベリオット冒険者学校スキル学教師、ルウシェ・エスカバーが務めさせていただきます。」
今日はまともな服装。いや彼女にとってはスーツすらもコスプレの一環なのだろうか。ルウシェはどことなく嬉しそうな表情で両軍の間に立ち、分厚い原稿を読み上げていく。
「この祭りはベリオット冒険者学校の創立時から続く伝統の祭りであり、ベリオットに住む住民の皆様におかれましては……。ふむ、めんどくさいねこれ読むの。まぁとにかく大規模な祭りですから色々とご迷惑をお掛けするかもしれませんが、観客の皆様はどうか朗らかな心でお楽しみください。」
ルウシェが適当に頭を下げ、その頭上に突如ガジュの顔が投映される。全方位中継映像投射機だったか、ベリオット冒険者学校の教師陣がスキルや魔法の贅を尽くして開発したその技術によって、創立祭の模様はベリオット全土に中継されるらしい。
ルウシェも言っていた通り、この祭りは学校裏の山全体を使用して行われ、一日中戦闘の爆音や生徒の叫び声が街に鳴り響く。そこに目を瞑ってもらうより、いっそ街中に娯楽として提供してやろうという魂胆なのだろうが、ガジュからすれば迷惑な話だ。
生徒達の戦いは勿論、ガジュ達の戦いまで中継されては、ハクアを暗殺する事も敵わないではないか。何とも恨めしいが、まぁ一線を超えなければいいだけの話だ。ガジュがそう思いながら拳を握ると、誰かに背中を押されハクアとの距離が一気に近づいてしまっていた。
「えーそして祭りの概要ですが、本日も例年通り昼コース夜コース対抗の総力戦が行われます。そして今回も特別講師として、黒曜等級冒険者の方々に参加していただきますが……。」
「夜コース特別講師として招待されたヘイサーレン・アラバストラだ。非常に申し訳ないが我々『イディオム』は諸事情によって本来の役割を果たせない。それ故に、我々が担うべき特別講師の役割はこのガジュ・アザットが率いる『クリミナル』に一任させていただき、私は教師陣と共に腕を奮わせて貰う。」
「とのことなので、生徒の皆様はそれぞれ、『クリミナル』と『カイオス』の方々の指示に従ってください。特別講師の皆様は、生徒達の模範となるような紳士的な戦闘を行なっていただけますと幸いです。」
紳士的。その言葉がルウシェの口から出ると共に、ガジュの両足が踏みつけられる。辺りを見渡さなくとも分かる、犯人はシャルルとユン。普段からガジュの暴走の被害に合っている二人に違いない。
「では特別講師二組の代表者は前へお願いします。えーまず、『カイオス』から。」
「初めまして。『カイオス』代表、黒曜等級冒険者ハクア・ドムです。つい最近黒曜等級になったばかりの身ではありますが、ここに立った以上は未来ある若者の為に勝利と学びを与えたいと思います。」
「けっ、ご立派な挨拶だな。人に何かを教える前にお前が道徳を学ぶべきだと思うぞ。」
「あっ!ちょっとガジュ!まだガジュの出番じゃないってば!」
横の二人を振り払い、憤慨したガジュが前に出る。取り繕ったような笑みを浮かべてこちらを見つめるハクアの胸を掴み、ガジュは唸るように叫び声を上げていく。
「銀等級冒険者、ガジュ・アザット!!!俺は別に何も教えねぇし与えねぇ!ただ己の復讐を果たすだけだ!!!学びたきゃ勝手に学びやがれ生徒共!」
中継されている事も、目の前に冷めた目の生徒達がいることも気にしない。ただ暴れたいから暴れるだけ。ガジュがいつも通り欲望を解放させ、それに呼応するようにハクアがため息をつく。
「はぁ……。お前は相変わらず短絡的だな。いいだろう、俺達『カイオス』一同、相手になってやる。」
「相手になるといいけどな。行くぞお前らぁ!!」
因縁の二人が剣と拳を打ち鳴らし、背後の生徒達がそれぞれ盛り上がる。
ベリオット冒険者学校創立祭、いよいよ開幕である。
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