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影025
影025
俺の名は影025
ここルグラン王国に忠誠を誓っている。
俺の専門は隠密だ。
影の中には暗殺や工作などを専門とする物騒な連中もいるが、隠密は違う。
忍びながらターゲットの情報収集をしたり、伝言したり、護衛になったり、たまに気が向いた時には、寝ているターゲットに布団をかけてやったりする。
華はないが、元々人前に出ることが苦手な俺には丁度いい。
影012と共に、今日も任務に当たる。
今の任務は、第二王子であるシーク王子の護衛だ。
今年、レジーナ学園3年生となるシーク王子には、元々普通に私服の護衛がついていた。
だが入学して早々に、「護衛がいたら学園生活が楽しめない」と王子自ら国王に直訴して、護衛は外された。
だからと言って、王子に何かあったら大問題なので、護衛を0にする訳にはいかない。
影に守らせればいい話だが、「大人は信じられない」とか普通に言っちゃう位、絶賛反抗期中の第二王子に、影をつけるのを納得してもらうのは多分無理。
そう判断した国王は、もしシーク王子にバレても角が立たないように、自分の影ではなく、王太子に頼んで影を護衛につけることにした。
そんな訳で、俺は毎日、学園にいる間のシーク王子の影を続けている。
学園にいる間だけなので、シーク王子に合わせて俺も、暦通り、週休2日、朝8時半から遅くても18時の勤務を取っており、ヘルシーワークバランスはかなり良い。
シーク王子も4月から3年生。
あと1年でこの職場ともおさらばだ。
幸いこれまで何事もなく、無事に学園生活を謳歌出来ているようだ。
残り1年、気を抜かずに、学園での護衛を務め上げてみせる。
影012と共に、俺たちは士気を高めた。
新学期が始まって3日。
異変にはすぐに気づいた。
怪しい動きをする令嬢、モリー トワンクの存在だ。
最初の印象は、「こんな令嬢、いたか?」というものだった。
よく見れば整った顔立ちをしているし、スレンダーな姿体も悪くない。
だが、影として学園に潜み3年目に入ろうとしているのに、この令嬢に関してはトンと覚えがなかった。
そのモリーが、王子からは死角となる木陰に身を隠している。
用心しているのだろう。
葉と葉の合間から王子の様子をチラチラと伺っている。
動きはずぶの素人だ。
その時、シーク王子の向かう進行方向から、1人の女子生徒が現れた。
焦ったようにこちらに向かって駆けてくる女子生徒。
胸元の白いリボンで1年生だとわかる。
唇の動きを読むに、「遅刻遅刻ー」と言いながら、腕時計を見つつ走っている。
このままでは王子と正面衝突してしまう。
ここは出番だな。
俺は影として仕事をした。
1年生女子の足の着地する辺りに、飛び石を放ち、路面に凹みを作る。
企図した通り、1年生女子は王子の手前で躓き転んだ。
倒れた1年生女子を王子が助け起こしている。
うん、グッジョブ、俺。
特に怪我もなく、恥ずかしい思いはさせちゃったかもしれないけど、青春の1ページを演出出来たんじゃないの?
仕事の出来に満足しつつ、モリー嬢の動向を確認する。
モリー嬢が、腹をおさえてうずくまっている。
ん?気分が悪いのか?
と思ったが、すぐに俺の思い違いだと気づいた。
肩が揺れている。
王子たちが過ぎ去ると、声を上げて笑い出した。
唇の動きを読むに、「遅刻遅刻って、んなベタなー」と言っているようだ。
なんだこの令嬢。こわっ!
俺はドン引いた。
その日を境に、俺の仕事は忙しくなるのだった。
ここルグラン王国に忠誠を誓っている。
俺の専門は隠密だ。
影の中には暗殺や工作などを専門とする物騒な連中もいるが、隠密は違う。
忍びながらターゲットの情報収集をしたり、伝言したり、護衛になったり、たまに気が向いた時には、寝ているターゲットに布団をかけてやったりする。
華はないが、元々人前に出ることが苦手な俺には丁度いい。
影012と共に、今日も任務に当たる。
今の任務は、第二王子であるシーク王子の護衛だ。
今年、レジーナ学園3年生となるシーク王子には、元々普通に私服の護衛がついていた。
だが入学して早々に、「護衛がいたら学園生活が楽しめない」と王子自ら国王に直訴して、護衛は外された。
だからと言って、王子に何かあったら大問題なので、護衛を0にする訳にはいかない。
影に守らせればいい話だが、「大人は信じられない」とか普通に言っちゃう位、絶賛反抗期中の第二王子に、影をつけるのを納得してもらうのは多分無理。
そう判断した国王は、もしシーク王子にバレても角が立たないように、自分の影ではなく、王太子に頼んで影を護衛につけることにした。
そんな訳で、俺は毎日、学園にいる間のシーク王子の影を続けている。
学園にいる間だけなので、シーク王子に合わせて俺も、暦通り、週休2日、朝8時半から遅くても18時の勤務を取っており、ヘルシーワークバランスはかなり良い。
シーク王子も4月から3年生。
あと1年でこの職場ともおさらばだ。
幸いこれまで何事もなく、無事に学園生活を謳歌出来ているようだ。
残り1年、気を抜かずに、学園での護衛を務め上げてみせる。
影012と共に、俺たちは士気を高めた。
新学期が始まって3日。
異変にはすぐに気づいた。
怪しい動きをする令嬢、モリー トワンクの存在だ。
最初の印象は、「こんな令嬢、いたか?」というものだった。
よく見れば整った顔立ちをしているし、スレンダーな姿体も悪くない。
だが、影として学園に潜み3年目に入ろうとしているのに、この令嬢に関してはトンと覚えがなかった。
そのモリーが、王子からは死角となる木陰に身を隠している。
用心しているのだろう。
葉と葉の合間から王子の様子をチラチラと伺っている。
動きはずぶの素人だ。
その時、シーク王子の向かう進行方向から、1人の女子生徒が現れた。
焦ったようにこちらに向かって駆けてくる女子生徒。
胸元の白いリボンで1年生だとわかる。
唇の動きを読むに、「遅刻遅刻ー」と言いながら、腕時計を見つつ走っている。
このままでは王子と正面衝突してしまう。
ここは出番だな。
俺は影として仕事をした。
1年生女子の足の着地する辺りに、飛び石を放ち、路面に凹みを作る。
企図した通り、1年生女子は王子の手前で躓き転んだ。
倒れた1年生女子を王子が助け起こしている。
うん、グッジョブ、俺。
特に怪我もなく、恥ずかしい思いはさせちゃったかもしれないけど、青春の1ページを演出出来たんじゃないの?
仕事の出来に満足しつつ、モリー嬢の動向を確認する。
モリー嬢が、腹をおさえてうずくまっている。
ん?気分が悪いのか?
と思ったが、すぐに俺の思い違いだと気づいた。
肩が揺れている。
王子たちが過ぎ去ると、声を上げて笑い出した。
唇の動きを読むに、「遅刻遅刻って、んなベタなー」と言っているようだ。
なんだこの令嬢。こわっ!
俺はドン引いた。
その日を境に、俺の仕事は忙しくなるのだった。
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