【完結】モブは乙女ゲームにツッコミたい

airria

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影025

打ち上げの後

「でね?その時ね?クロイツ伯爵令息が、先生の前で膝をついてこう言ったんすよ。『レイトン先生…勉強したいです』って、泣きながらさー」

その時の光景を思い出すと、俺も滂沱の涙を流してしまう。

「あの時の025、マジヤバかったよねー!泣き過ぎて、次の日、目が半分しか開かなくなってさー」

ケラケラと笑いながら021が白ワインを喉に流し込む。

俺の隣にいるすごい美人が潤んだ目でこちらを見ている。

「すごくいいお話だったわ」

「でしょー?」

んー、誰だったっけ、この美人。

なんか後半から入ってきたんだよな。

確かあの移動遊園地の話をしてた辺りから…殿下、何て言ってたっけ?

「025は感激屋さんなのね」

そう言ってニッコリと微笑み、氷だけになっていた俺のグラスにウイスキーを注ぐ。

「ティファナ、それ以上飲ませると、025が帰れなくなるぞ」

「ふふふ、もう、帰れないわよ。」

そう言ってまた俺に顔を向ける。

「ね?泊まっていくでしょう?」

「やだーティファナ様、肉食ぅ!」

「だって、すごいタイプなんだもの♡」

「025!狙われてるよ!」

ティファナ…

ティファナって王太子妃の?

な訳ないか。

殿下とティファナ妃が一緒に飲むほど仲が良いなんてある訳ない。

敵同士だしな。

ってことはそっくりさん?

影武者?

んー、そういや、協力者だって殿下が言ってたな。

協力者の影武者ってことか…




「それにしても、025が酒に弱いとは意外だな」

「そういえば、この打ち上げが楽しみ過ぎて、昨日の夜はなかなか寝付けなかったと聞いております。寝不足で酔いやすかったのでは?」

そう言いながら、071が俺に水を差し出す。

「やだーかわいい!見た目ワイルドなのに中身ピュアとか、ほんとタイプ!」

隣の影武者が腕を絡ませてきた。

「だってさ、025。よかったね!」

「恋人はいるのかしら?」

「こないだ聞いた時は、いないと言っていたぞ」

「神よ、感謝します」

「ちょっ!ティファナ様が跪いてる!」

「感謝が突然すぎるな」

012が腹を抱えて笑ってる。

あぁ、なんか幸せだな…

幸せで、とても眠い。

俺はテーブルに額をつけると、そのまま深い眠りについた。






ん…

意識が浮上する。

よく寝た気がする。

でもまだ身体が怠い。まだ寝れる。

ふぁーとあくびをしながら、寝返りをうった。

今何時だろ…

目を開けると、いつもは目の前にあるはずの壁がない。

代わりに、見慣れない豪奢な部屋がそこにあった。

え?俺?俺どこに…え?

急速に思い出される昨夜の出来事。

「カイゼン、起きたの?」

後ろからギュッと抱き込まれて俺は固まった。

そんな、まさか。

俺を抱き込んだ相手は起き上がると俺の頬にチュッと口づけた。

「な、なんで俺の名を知って…」

「あなたが教えてくれたんでしょう?」

ヒェッと情けない声をあげて、俺は身体を起こした。

布団が捲れて、俺の裸の上半身が露わになる。

影武者が、この部屋を使えるわけがない。

ましてや、ベッドを使うなんて…

呆然と部屋を見回す俺の太ももの上に、ナイトガウンを着た王太子妃が向かい合って座る。

「ひ、妃殿下!すいません!俺…俺」

「カイゼン?そうじゃないでしょう?昨夜みたいに、ファナって呼んで?」

そして小首を傾げて、ウルウルした目で俺を見上げた。

「は?かわいぃ…」

思わず呟いてハッとする。

「いやいやいやいや!一旦待って!」

ヤバイって!絶対ヤバイって!

殿下の敵!

の前に、人妻!

昨日は打ち上げに出てただけなのに、俺、何で、何で妃殿下と…

「カイゼン?」

パニくる俺の顔をまたもや可愛く覗き込んでくるこの人は、殿下の敵で殿下の妻で悪女と噂されてて…

「あんな素敵な夜、初めてで…私、あなたの事、本気で好きになっちゃったみたい…」

「カイゼン」と愛おしげに俺の名を呼びながら、恥ずかしそうに胸に顔を埋められる。

俺は見事に心臓を落ち抜かれ、ティファナ妃に陥落したのだった。
























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