【完結】モブは乙女ゲームにツッコミたい

airria

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影025

影はその後も暗躍する

その宮は、他の宮の中では、規模としては1番小さい。

その分、警備もしやすいからここを選んだんだろう。

宰相側の魔の手から避難させるため、この宮に居を移させたのが2日前。

殿下も毎日この宮で寝泊まりしているらしい。


窓際に目当ての姿をみつけて、俺は肩口に声をかけた。

「鷹、窓をつついて気づかせてくれ」

颯爽と飛び立ち指示通り窓をつつくと、すぐにまた肩に戻ってきた。

開いた窓から中に入る。

「お疲れー!025、どうだったよ昨日の夜は!モテちゃってーこのこの!」

ニヤつきながら俺をいじってくるこいつは、もう012じゃない。

「お前…本当にここを志願したのか」

「そだよー!だから今日から新人です!」

えっへん、と胸を張るその格好はメイド服だ。

「コードネームは影475になったよ!でもここではリニャって名前だから、そこんとこ、よろしく」

影475。

4はモリー側妃、7は使用人サーバントスキル、5は5番目の実力、を指す。

そう、012はモリー側妃専属の影になった。

王族専属の影は、1つの専門スキルに5人まで。

つまり475はモリー側妃の使用人サーバントスキルの影の中でも最下位からの出発。

変装スキルのトップに上り詰めようとしていたのに、この鞍替えは、傍目からは降格と見做されるだろう。

「いくら側妃様の側に居たいからって…011にならなくて良かったのか?」

「言ったでしょ?私、ずっとモリー様と一緒に居たいって。それに、いい先生もいるし」

そう言ったところでドアが開いた。

「あら、来ていたのね?」

そこにはおっとりと微笑む影071改め影471が立っていた。

「あ!侍女長様!」

「リニャ、掃除が終わったら、モリー様がお呼びよ?お茶の相手が欲しいんですって」

「ホント?急がなきゃ!」

じゃあまたねー!と掃除道具を抱えながら、ワタワタとリニャが去っていく。

「レジーナ学園で仲の良かったリニャが宮に来てくれて、モリー様、すごい喜んでいらしたのよ」

「471も、ここを希望したのか?」

「気持ちでは希望したかったけど、私の立場上、与えられた任務を受け入れるつもりだったわ。でも思いがけず、希望通りになってよかった!221も、そうでしょう?」

俺は破顔して頷いた。

「ああ。」

俺は、王太子直属の影になった。





ついさっき、殿下の執務室で言われた言葉が耳の中に蘇る。

「025、モリーのために力を尽くしてくれて感謝している。私の直属になって、これからも私を支えて欲しい。」

この1年はほとんど私直属のような働きをさせてしまっていたがな、と照れたように笑っていた殿下。

あの移動遊園地の頃辺りから、025は221にするつもりでいたんだぞ、なんて言われて、嬉しすぎて卒倒するかと思った。

今までの俺の025みたいに、100の位が0のコードネームが意味するところは、"隠密"だ。

0の付く隠密は、国のために任務を果たす。

だから、その時々でボスは国王になったり、大臣になったり、将軍になったり、色々変わる。

だが100の位が2の、王太子直属は違う。

国ではなく、王太子殿下のために任務を果たす。

その地位は近衛よりも高い。

その、王太子直属の情報収集専門家の中で、1番トップにしてくれるって?

「私は必ず宰相を倒す。私と一緒に、戦ってくれるか?」

そんな嬉しいこと言われて、断れるやつなんているのか?

元より断るつもりもない。

差し出された手に俺も手を合わせ、ガッチリと握手した。

隣でファナちゃんが「きゃっ!カッコいい!」と言って俺に抱きついた。

俺は221を拝命し、その後殿下は、012と071の配属先を教えてくれたのだった。



「まだこのチームで働けるのが嬉しいわ」

晴れ晴れとした笑顔で笑う471は、テレザ側妃侍女長として、モリー様の王妃への道をサポートしていく。

俺も基本は殿下と共に行動するし、リニャとテレザとの連絡係も務めるから、2人と顔を合わせることも多そうだ。

「ああ。これからもよろしくな、テレザ」

モリー様を王妃にし、宰相を倒す。

新たなミッション達成のため、人知れず、跡も残さず。

この世界で、俺たち影はこれからも暗躍する。

























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