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5.魔法と創造。
しおりを挟む「………あれ?」
それはいくら記憶を遡ってもお城で見た時とは明らかに違っていた。
お城で見た時はもっと全体的に低かったし、新たに書かれている部分もある。
その事を伝えるとフィーは難しい顔のまま黙り込んでしまった。
「レベルは上がってないのにステータスがかわる…?それに呪いって、でも怪我を治した時にそんな気配はしなかったっす。精神系の呪い…?」
“もしかして”と呟いたフィーは考え込んだ表現のまま碧に“今から魔法を見せるからよく見てて欲しい”と言ってきた。
「わ、わかった」
「じゃあいくっす。…【 黒炎 】」
前に突きだしたフィーの手から巨大な黒い炎がでる。少し離れた場所にいる碧の所まで炎の熱が襲ってきて、その熱に目を細めるとまた機械的なアナウンス音が流れ目の前に【黒魔法・黒炎を取得しました】と文字が出てくる。
「ミドリくん。もう1回ステータスを見せて欲しいっす。」
「え?あ、うん。ステータス」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
Lv1
名前:小鳥遊 碧
性別:男
年齢:18歳
種族:人類種
HP :3250/3250
MP :5100/5100
攻撃力:1820
防御力:1200
命中率:Lv.3
回避率:Lv.1
幸運力:Lv.Max
状態:呪い(解呪済)
役職:怪盗 Lv.Max
【⠀効果 】あらゆるモノを盗むことが出来る。
〖 ライト 〗〖 黒炎 〗
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…そういうことっすか」
「なにかわかったの?」
「はいっす。憶測っすけどミドリくんがすぐ“ライト”をあの大きさで出せたのはミドリくんの役職の“怪盗”のおかげっす」
「怪盗のおかげ?」
「そうっす。ミドリくんの怪盗のスキルは魔法すら盗めるスキルらしいっすね。その証拠にさっき見せた黒炎もステータスに乗ってるっすし…黒炎は黒魔法の1種で使える人が限られてる魔法なんすよ。魔法見た時になんか変な事とかなかったっすか?」
「スキルを取得しました、って声が聞こえたけど、それって普通は聞こえないものなの?」
「普通は聞こえないっすね。僕らは魔法が使えるようになると自動的にステータスに書き込まれていって、感覚で使えるようになった事が認識できる感じっす。ステータスの数値が上がってるのも多分城の奴らから無意識に数値を盗ってたってのが1番可能性が高いと思うっす」
「え?」
無意識とはいえ人のものを盗っていたと聞いて、碧はサッと血の気が引くのを感じた。
「あ、でも盗られた側には影響ないと思うんで大丈夫っすよ?」
「そ、そうなの?」
「はいっす。さっき僕のステータスで確認してみたっすけど、ライトも黒炎もあったんで、相手側には盗られたことすらわからないと思うっす。だから盗んだって言うよりは模倣したって表現の方が近いっすかね?」
「そっか…」
「まぁ城の奴らからなら幾らでも盗っていいと思うんすけどねぇ」
フィーがいたずらっぽく笑いながら碧の頭を撫でてくる。
むいも腰あたりに ぎゅうっと抱きついてきて碧は気持ちを落ち着かせながらむいを優しく抱きしめ、2人の優しさを感じながら笑い返す。
「ふふ…そうだね。もっと盗っておけばよかったかなぁ」
「ん、その意気っすよ」
「ミドリ!むいのも見せるからおぼえて!」
「そうっすね。ミドリくんには僕らの知ってる魔法を覚えてもらうとするっすかね」
「多すぎるとちょっと自信ないかな…」
「大丈夫っす。ミドリくんは座って見てるだけで怪盗が仕事してくれるはずっすから。それに魔法が使えて困ることはないと思うっすよ?」
「あ、そうか」
「じゃあいくよ!ちゃんとみててね!」
そこから碧はフィーとむいの魔法をひたすら見ていった。
〖 風魔法・鎌鼬を取得しました〗〖 風魔法・風詠を取得しました〗〖 白魔法・結界を取得しました〗〖 生活魔法・ファイヤを取得しました〗〖 生活魔法・ウォーターを取得しました〗〖 氷魔法・氷柱を取得しました〗〖 氷魔法・氷翼を取得しました〗〖 水魔法・水破を取得しました〗〖 炎魔法・炎舞を取得しました〗〖 黒魔法・縛を取得しました〗〖 無属性魔法・ボックスを取得しました〗〖 無属性魔法・転移を取得しました〗〖 白魔法・浄化を取得しました〗〖 治癒魔法・ヒールを取得しました〗〖 植物魔法・捕縛を取得しました〗〖 風魔法・飛行を取得しました〗〖 無属性魔法・身体強化を取得しました〗〖 黒魔法・煉獄を取得しました〗〖 神楽を取得しました〗〖 領域を取得しました〗〖 影渡を取得しました〗〖 血壊を取得しました〗〖 疾風を取得しました〗〖 星詠を取得しました 〗〖 火弾を取得しました〗〖 竜巻を取得しました〗〖 黒雷を取得しました〗〖 雷神を取得しました〗〖 鑑定を取得しました〗〖 天撃を取得しました〗
【大罪スキル・傲慢が解放されました】
「……ん?」
ひたすらに2人の魔法を見ていると今までとは少し違うピコンという高い音と共にアナウンス音が流れた。
目の前に表示される文字も“取得”ではなく“解放”と書いてある。大罪ということは自分はなにか悪いことをしてしまったのだろうかと不安になりながら2人に問いかける。
「ね、ねぇ、大罪スキルって何…?」
「大罪スキル?ミドリくんも貰ったんすか?」
「“も”って事はフィーも持ってるの?」
「はいっす!僕のは【怠惰】っす。自分の周りに不可侵の領域を作れるってスキルなんすけどなかなか便利なんすよ?ミドリくんは何貰ったんすか?」
「えっと…【傲慢】って書いてある。これってどんな人が貰えるものなの?」
「んー…それが謎が多すぎてまだ解明されてないんすよね」
「そうなの?」
「はいっす。大罪スキルとして存在が確認されてるのは【怠惰】【憤怒】【強欲】【傲慢】【暴食】【嫉妬】【色欲】っすね。」
「その中でもルーティアで大罪スキルを持つ人が確認されてるのは獣人国で【嫉妬】と【強欲】、隣国のベアルト王国で【色欲】。【暴食】と【憤怒】はどこにいるかわかってないっすね。【傲慢】も今まではどこにいるかわかってなかったんすけどミドリくんが所有者になったんっすね。大罪スキル持ちはどの国でも重宝されてるんすよ」
「重宝されてるんだ?」
「大罪スキルは強力なものが多いってのとスキル保持者もかなりの強者な人ばかりなのでどの国もかなり高待遇で迎えてるっすね。僕もそうっすけど、どこにいるか確認されてない大罪スキル持ちは、国に縛られるのが嫌とかの理由で名乗り出てない人達っすね。まぁ帝国なんかはスキル持ちを血眼になって探してるって話っす。」
「帝国が…」
「まぁいくら高待遇でも帝国には行きたくないっすけどねぇ」
「そうだね、俺もやだな」
「むいもやだー!!」
両手を広げやだやだー!!と2人の周りをむいがくるくると走り回る。その姿に癒された碧は走っているむいを呼び止め頭を撫でると嬉しそうに へにゃりと笑っていてさらに癒された。
「ミドリくんのスキルはどんなスキルなんすか?」
「ん?えっとね…ステータスに書いてあるかな? “ステータス”」
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Lv1
名前:小鳥遊 碧
性別:男
年齢:18歳
種族:人類種
体力:3250/3250
魔力:5100/5100
攻撃力:1820
防御力:1200
命中率:Lv.3
回避率:Lv.1
幸運力:Lv.Max
状態:ー
役職:怪盗 Lv.Max
【⠀効果 】あらゆるモノを盗むことが出来る。
〖 ライト 〗〖 鎌鼬 〗〖 風詠 〗〖 結界 〗〖 ファイヤ 〗〖 ウォーター 〗〖 氷柱 〗〖 氷翼 〗〖 水破 〗〖 炎舞 〗〖 縛 〗〖 ボックス 〗〖 転移 〗〖 浄化 〗〖 ヒール 〗〖 捕縛 〗〖 飛行 〗〖 身体強化 〗〖 煉獄 〗〖 神楽 〗〖 領域 〗〖 影渡 〗〖 結界 〗〖 疾風 〗〖 星詠 〗〖 火弾 〗〖 竜巻 〗〖 黒雷 〗〖 雷神 〗〖 鑑定 〗〖 天撃 〗
【大罪スキル・傲慢】
【 効果 】
無から有を作り出す。モノとモノを掛け合わせて作ることも可。
ただし、作る際には魔力を消費する。消費する魔力は作るものに比例する。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「おー…なんかいっぱい増えてる…えっと効果はモノを作り出すスキルらしい」
「…!それってボールもつくれる?!」
むいがすごい勢いで食いついてきた。
「ボールか…作れるのかな?」
そう呟くと目の前に【創造可能】と文字がでてきた。突然出てきた文字に驚いたがどうやら作れるらしい。1度試してみよう、とスキルを使用する。
「創造【ボール】」
碧の手に子供が使うようなプヨプヨしたボールが落ちてくる。それをそのままむいに渡すと大はしゃぎで遊び始めた。その様子を横目にステータスを確認すると魔力が10減っていた。小さなものならそこまで魔力は消費しないらしい。
「【傲慢】かなり便利っすね…」
「うん…魔力もそこまで消費してないし」
「ミドリくんの“怪盗”と【傲慢】ってかなり相性いいんじゃないっすか?」
「俺もそう思う。これってどこまで作れるのかな?」
「効果を見る限りは魔力がある限りかなりのものを作れそうっすけどね」
うーん…と2人で話しながらどこまで作れるか試してみよう。という話になった。
まずは食べ物が出せるか、と考えると目の前に再び【創造可能】と文字がでてきた。
「創造【りんご】」
それなら、と創造すると碧の手に真っ赤なりんごが落ちてきた。そのままかじって食べてみると甘くて瑞々しい果汁が口いっぱいに広がった。魔法で作られたものだから味は落ちるのかと予想していたが違ったらしい。もう一口かじっているとフィーとむいがじぃっとこちらを見ていたので笑いながらりんごを手渡す。2人とも美味しそうに食べているのを見ながらステータスを確認してみると消費された魔力は15だった。
「食べ物は作れたし…次は、服とか?」【創造可能】
服も作れるようなのでむいの着る服を作ってみることにした。
「創造【服】」
出てきたのはを黒を基調とした銀の花が描かれたパーカーと白いフリルのスカートだった。自分がイメージしたものがそのまま出てくるらしい。それをむいにプレゼントすると「きがえてくるー!」と言って家に入って行ってしまった。
「ミドリくんから貰ったのが相当嬉しかったんすねぇ」
むいがダッシュで家に入っていったのを見てフィーがくすくすと笑い出したので、つられて碧も堪えきれずに笑ってしまう。その後5分もしないうちに着替え終わったむいがでてきて2人のところまで戻ってくる。
「どう?にあう?にあう?」
そわそわしながら聞いてくる姿がかわいくて笑いながら頭を撫でる。
「うん。似合ってるよ。すっごくかわいい」
「ちょーかわいいっすよ!」
2人から可愛いと言われて、むいはふにゃりと照れながら嬉しそうに笑った。
ただルーティアだとパーカーなんかは目立ってしまうため、むいにあげた服は家の中で着る用のものになった。
その後も色々なものを作って分かってきたのは服や靴、食べ物や飲み物などは魔力消費も少なく作れ、家具や遊具など大きなものになってくると魔力は多く取られた。それと生き物は生み出せないこともわかった。
これを作りたい、と思った時に作れるものの時は【創造可能】
作れないもの、生み出せないものの時は【創造不可】と文字で表示されるのだ。
ある程度の所まで調べ終わった時にフィーから“1度実戦してみるか”と聞かれ、碧はその提案に頷いた。
「僕らがついて行っちゃうと森の魔物があんまり出てこなくなっちゃうんで僕とむいは影の中から見てるっすね」
「こわくなったらむいのことよんでね!ズバーンってやっつけてあげるからね!!」
「「【影渡】」」
2人の姿がトプン、と影に沈んでいく。
「え…っ!?」
碧が突然の事に驚いていると足元からむいの声が聞こえてきた。
「ミドリこっち!かげのなか!!」
「影の中…?」
言われたまま自分の影を見つめると影からむいの頭だけがひょっこりと現れた。
「……っ!?」
驚きのあまり声も出ない碧に、「びっくりした?びっくりした?」とむいが楽しそうにニコニコ笑いながら見つめてくる。バクバクと脈打つ心臓をなんとか宥めながら むいに驚いたことを伝えると、影の中からフィーが申し訳なさそうに声をかけてくる。
「ミドリくんごめんっす…説明してからやるべきだったっすね…」
「…あ、ううん。ちょっと驚いただけだから大丈夫だよ」
その後フィーが【影渡】の説明をしてくれた。
【影渡】は文字の通り影の中を渡って移動できるスキルで、自分の影から潜ったあとは影のある所なら好きな場所から出られるらしい。ただ毎秒魔力を10ずつ消費していくのでそこまで長い時間は使えないという点と、数百年前に廃れていった魔法なのでもう使える者は数える程しかいないらしい。ちなみにフィーとむいは長から教わって覚えたそうだ。
『影の中からでも普通に会話は出来るんすけど、声出して喋ると魔物が警戒しちゃうんでここからは念話で話すっすね』
【無属性魔法・念話を取得しました】
「あ、俺にも使えるようになった…これどうやるんだろ?」
念話を取得できたのはいいが使い方がわからないので、とりあえずむいに頭の中で話しかけるイメージで使えるか試してみる。
『…むい?聞こえる?』
『うん!ばっちりー!』
念話の仕方があってたらしく、むいの元気な返事が聞こえてくる。そのままフィーにも念話が使えるようになったことを伝えて、魔物を倒しに行くための用意を始める。
用意と言っても【傲慢】で武器を作っただけなんだけど。武器は青色に淡く光る模様が入った黒い双剣を作った。ちょっと厨二ちっくな感じになったけどなかなかかっこよく創れたので気に入っている。
『じゃあ魔物のいる所まで誘導するっすねー』
これから戦いに行くとは思えない軽さで碧達は魔物の住処へ進んで行った。
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