姉が異世界の人に迷惑をかけているみたいなので妹の私が責任をとって姉を〇せと言われましたコンチクショイ

ウツロうつつ

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第6章~人を喰らう者~

第47話 教会にて2~ちょっと神父何言ってんの!?~

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「ちょっと神父様、自分が何言ってるのかわかっているんですか!?」

「わかっています。これが私のわがままだということも、しかし、私はこれ以上友の苦しむ姿を見たくはないのです。だからどうかお願いいたします」

 神父様のあまりに切実そうな言葉に私は言葉を失う。確かに神父様の言うこともわかる。けどそれは……

「神父よ貴様はそれで良いのかもしれないが、貴様の友の意思はどうなのだ?」

 私の言いたかったことを代弁してくれるイーター。イーターの言う通り神父様は大切な友人の意思を確認していないはずだ。そんな状況で私は神父様の喰らう者イーターをイーターに喰らわせることなどできない。

「それは……そうですね。今夜にでもヒュームに確認したいと思います」

 そうした方がいいだろう。私そう思ったその時であった。

「いや、その必要はない」

 イーターが訳の分からないことを口走った。

「ちょっとイーターどういうつもり?」

「どういうつもりもなにも神父がそのヒュームとやらに確認を取る必要はないと言っているのだ」

「だからどうして!」

「それは俺が直接ヒュームとやらに話すからだ」

「な!?」

 イーターからの突然の申し出に私は言葉を失った。この元棍棒一体何を考えてるのよ。直接話すってことは今からお前を殺すと宣言しているようなもの、そんなこと私は許容できない。

「悪いけどイーターそれは絶対にダメ」

「何故だ」

「何故だもクソもないよ。あんたが何を思ってヒュームさんに直接話そうとしているのかわからないけど、殺す側が殺される側に話すことなんて何もないのよ」

「いや、ある」

 きっぱりと言い放つイーターに私はたじろいでしまう。

「あるって何を根拠に……」

「根拠などない。しかし俺はいや、俺が確認せねばならないのだ。ヒュームとやらの意思を。だから頼むルナ俺とヒュームだけで話をさせてもらえないだろうか?」

 いつになく真剣な語調でそう言うイーターに私は言い知れぬ何かを感じた。

「わかった。いいよ」

「恩に着る」

「神父様もそれでよろしいですか?」

「ええ、かまいません」

 こうしてイーターとヒュームさんの対談が決まった。

 私は腕輪形態になったイーターをヒュームさんが立てかけてある壁の近くに会った棚の上に置いて、その場を去った。



「主がヒュームとやらか」

「そうですよ同胞、私に何か用事でもあるのですか?」

「いや少し聞きたいことがあってな」

「聞きたいこと、ですか」

「ああ」

「それはよろしいのですが、その前に貴方の名前を訊いてもよろしいですか?」

「おお、これは失礼した。私の名前はイーターと言う」

 イーターの名を聞いた瞬間、ヒュームは何かを察し、口を開いた。

「イーター……そうですか。それで貴方の聞きたいこととは何ですか?」

「単刀直入に訊く。貴様、何故正気を保っていられる?」

 先程イーターが言ったように喰らう者イーターという種族は特定のものしか口にできない種族であるが、本来は武器の一種、食料を必要としないただの物でもある。しかし、長い間自身の食事を摂らなければ筆舌に尽くしがたい程の飢餓感に襲われる。故にイーターはヒュームに問うたのだ。

「正気……確かに私は正気ですね。自分でも信じられないほどに……」

「飢餓感は無いのか?」

「それはもちろんありますよ。私は常に人を求めています。食料としてね。しかし、私はどうしても人を喰らおうとは思えないのです」

「それは何故だ?」

「この孤児院にいる子供たちを見てください。時に笑い、時に泣き、皆貧しいながらも日々を懸命に生きているのです。そんな子供たちを見ていると、私の感じている飢餓感など取るに足らないものと感じてしまうのです」

「それでも辛いのであろう?」

「大丈夫、と言いたいところですが同胞に嘘は吐けません。もちろん辛いですよ。いっそ個々の子供たちを全員喰らいたいと思ったことすら何度もあります」

「しかし、貴様は喰らっていない」

「喰らっていないのではありません。喰らえないのです。もし私が子供たちを喰らった時、私は罪悪感に押しつぶされ狂ってしまうでしょう。だから私は喰らえない出来損ないの喰らう者イーターなんですよ」

「……ではない」

「え?」

「出来損ないなどでは無いと言っている!!」

 突然大声を出すイーターにそれまで喧騒に包まれていた孤児院の中が静まり返る。しかし、そんなことをイーターは気にしない。

「貴様はいや、貴殿は俺がこれまであったどの同胞よりも気高い存在だ」

「――ありがとうございます」

「故に思った。貴殿をその苦しみから解放したいと」

「そうですか」

「貴殿はそれでよいのか?」

「ええ、子供たちに会えなくなることは残念ですが、この苦しみから解放されるのならば、子供たちを喰らいたいと思うことがなくなるのであれば、喜んで貴方に喰らわれましょう」

「そうか……礼を言う」

 沈痛な面持ちでそう言うイーターに、ヒュームはフフフと笑いかける。

「お礼を言いたいのは私の方ですよ」



「どうやら、お話は終わったようですね」

「そうですね」

 イーターが突然大声を出した時は何事かと思ったが、今はお落ち着きを取り戻している様だ。

「神父様は本当に良いのですか?」

「ええ、寂しいのは確かですがそれは私の我儘というものです。いや、そうなるとどちらに転んでも私は我儘と言うことですね。いや~これでは神父失格です」

 そう言って自嘲するように笑う神父様からはどこか悲しみめいたものを感じた。

「それではヒュームたちの下に行きましょうか」

「はい」

 私たちはヒュームさんたちのいる場所に戻ると神父様がイーターに語りかけた。

「イーターさん、お話は終わりましたか」

「ああ、例の件はヒューム殿も了承してくれた」

「そうですか……」

 そう言った神父様は明らかにそれまでの元気を失っていた。

「それで日取りはどういたしましょう」

「できれば子供たちに別れを告げる時間をもらいたいのですが」

「私たちはしばらくこの街に滞在する予定なので1週間後でどうでしょう」

「そうですね、それだけ時間をもらえるのはありがたいです」

「では、そのようにいたしましょう」

 こうしてヒュームさんの余命が決まったのであった。
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