姉が異世界の人に迷惑をかけているみたいなので妹の私が責任をとって姉を〇せと言われましたコンチクショイ

ウツロうつつ

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第6章~人を喰らう者~

第48話 教会にて3~これも学びってやつかな?~

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 あれから数日間、私とイーターは毎日教会に通うようにした。神父様とヒュームさんの心変わりを期待してってのもあるにはあるけど、イーターの奴が出来うる限りヒュームさんと過ごしたいと言ってきたことがその大きな割合を占めていた。

 私にはイーターの気持ちがわからない。なんで捕食者が捕食される側に感情移入できるのか、そんなことしてしまえば逆に食べられえなくなってしまうのではないか?そう疑問に思ってイーターに質問したら「それもまた捕食者の務めだ」なんてスカした答えが返ってきた。

「全く意味が解らない」

 そんな感じで私が考え事に耽っていると、

「スキあり!!」

と私に向かって木剣が振るわれる。しかし、その一撃は勢いも、凄みも、攻撃力も何もかもが足りない。私はその一撃を木剣を用いて軽くいなしてみせ、私に一撃を見舞おうとした少年の方を見る。

「残念、隙なんてありませんでした」

 そう言って意地悪な笑顔を少年――ジョージ君に向ける。

 私はイーターとヒュームさんが話している間、孤児院の子供たちの面倒を見てあげていた。私自身子供は嫌いじゃないし子供相手とは言え剣の訓練を付けてあげることは私自身の成長にもつながる――なんて言ってるけどぶっちゃけ暇を持て余しているので子供たちに私の相手をしてもらっていると言った方が正しいのかもしれない。

「くっそーもう一本!」

「駄目だよジョージ、今度はあたしたちがお姉ちゃんと遊ぶの!」

「はいはい順番ね順番」

 これが私の孤児院での一日の過ごし方だった。たまにボサノバ一家のゴロツキが教会にやって来ることがあったりしたけど私の華麗なるシャイニングウィザードによって退散させることが出来たし。おおむね平和な日々が続いていた。

 そしてあれから一週間後ヒュームさんの最期の一日がやってきた。
 神父さんたちと話し合った結果、決行は今晩子供たちが寝静まった後ということになった。それまでヒュームさんは子供たちに最後の別れの挨拶をして過ごすそうだ。

「ヒューム、今日でいなくなっちゃうの?」

「ええ、だからこれが最後のお話になってしまいますね」

「お姉ちゃん、もう一日だけ伸ばせないの?」

 孤児院の女の子が私に向かって悲しそうな顔で懇願してくる。うう……心が痛いがここは引き延ばしたところで意味がないし、覚悟の決まっているヒュームさんにも失礼というものだ。

「ごめんね、それはちょっと出来ないの」

 私は心を鬼にして女の子にきっぱりと告げる。

「すみません、ルナさん。子供たちが我儘を言ってしまって」

「いいんですよこれぐらい、子供たちの気持ちもわかりますしね」

「そうですか、そう言って頂けると助かります」

「そ・れ・よ・り・も!ヒュームさんは子供たちや神父様様たちと話を優先してください!」

「はは、そうですね」

 私はそう言うとヒュームさんが立てかけられている場所を離れて遠くの方でヒュームさんと孤児院の明との別れの様子を眺めていた。因みに孤児院の子供たちには本当のことは伝えずにヒュームさんは私たち一緒に旅に出るという説明をしている。そうしなければ無用な恨みを買うことになるという神父様の助言があったからだ。子供たちに嘘をつくのは心苦しいが、嘘も方便、この場合は仕方のないことなのだろう。

 私がそうこう考えていると、とある異変に気が付いた。

「ジョージ君がいない?」

 いつも五月蝿くてしょうがないほどに騒がしい孤児院の元気っ子、ジョージ君の姿が見当たらないのだ。

「どこに行ったんだろう」

 私はジョージ君を探しに孤児院や、孤児院の庭、教会の敷地をくまなく探して回る。しかしながらジョージ君の姿を見つけることは出来ない。

 嫌な予感がする。なぜなら孤児院の子供たちは基本的に教会の敷地から一人で出ることを禁じられていることを私は知っていたから。ジョージ君は騒がしい子ではあるけれども、神父様の決めたルール進んで破るような子でないことを知っていたからだ。

 私は急いで神父様の下に走って行く。すると神父様とシスターさんが深刻な顔をして何やら話し込んでいた。

「神父様!!」

「ルナさん……」

 深刻な顔をする神父様とシスターさん。私は二人の顔を見て確信する。

「神父様ジョージ君がいないんです!!」

 私がそう言うと神父様がシスターさんに目配せをする。するとシスターさんが私に一枚の紙を渡す。その紙には汚い字でこう書いてあった。ガキは預かった返してほしければ教会の土地の権利書を持ってボサノバ一家のアジトまでこい、と。

「クソッ!いずれはこうなることも予見できたはずなのに……よりにもよって今日なんて……」

 珍しく神父様が悪態をついている。神父様の気持ちは痛い程理解できる。今日は孤児院の皆とヒュームさんの別れの日なのだ。悲しくて、寂しくて、皆の思い出に残る良い日でなければならないのだ。
 だから、こんなことは許されない。許してはならない。決して、決してだ!!

「――神父様、ボサノバ一家のアジトの場所、わかりますか?」

「ええ、わかりますが――いけませんルナさ――」

 そこまで言った神父様を私は手で制する。

「神父様、私この世界に来て色んな理不尽に遇ってきました。一姫のせいで覚えのない恨みを買ったり、したくもない戦いを強いられたり、こないだなんか人殺しまでしちゃったんですよ」

「ルナさん……」

 私はギュッと拳を握りしめる。

「でも……こんなに怒りを覚えたことは初めてです。私に奴らのアジトを教えてください」
 
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