姉が異世界の人に迷惑をかけているみたいなので妹の私が責任をとって姉を〇せと言われましたコンチクショイ

ウツロうつつ

文字の大きさ
66 / 66
第8章~アウリスの大森林~

第61話 誘拐~あれ?そんなの予定にあったっけ?~

しおりを挟む
「ありゃ?ここにもいない」

 私が朝目覚めるとロレーヌと護衛隊の皆がいなくなっていた。もしかしてドッキリか何かかなとは思ってみたもののあの真面目なガルシアさんがそんなことをするとは考え難い。というわけで失礼ながら族長さんの家をくまなく探してみたのだが、見つからない。というか族長さんまで見当たらないというのはどういうことだ?
 
 私は腕を組んで首を傾げながら考える。しかしながら考えたところでわからない。う~んどうしたものか。私がそう考えていると、護衛隊の副隊長であるアレックスさんが現われた。

「ルナちゃんこんなところにいたんだね。探したよ」

「探してたのはこっちの方ですよ。一体全体皆どうしたんですか?」

 アレックスさんにそう訊くと、アレックスさんは私の顔のすぐ横まで近づいてきて耳打ちをする。

「姫様がさらわれた」

「な!?」

 ロレーヌが攫われただとう!?私が大声でそう言いかけるとアレックスさんは私の口に人差し指を当てて、私の発言を制した。

「シッ!静かに。一応族長に協力の要請はしているけど、これはまだ極秘事項なんだ」

 私が首を縦に振って首肯で返すとアレックスさんは私の口に当てていた人差し指を離した。

「それで、ロレーヌが攫われたっていうのは本当なんですか?」

 私がそう小声で訊くと、アレックスさんは静かに首肯で返して続ける。

「残念ながらね、一応交代で寝ずの番はんしていたんだけど。どうやら犯人は姫様の眠る寝室の窓から侵入したみたいなんだ。まったく、王国精鋭の護衛隊が聞いて呆れるよ」

 そう自嘲するように言うアレックスさん。しかし、それだけでは疑問が残る。

「外から犯人が侵入してきたのはわかったんですけど、何も物音とかは聞こえなかったんですか?」

 外からの侵入者であればロレーヌの悲鳴なり、物音なりが聞こえそうなものだが、

「そこらへんは犯人も用意周到でね、部屋の中で消音の魔法を使った痕跡が残されていたんだよ」

「魔法の痕跡なんて残るものなんですか?」

「私の言い方が悪かったね。犯人が使用したのは消音の魔法ではなく、消音の魔道具なんだ。それが姫様の眠っていた寝室に残されていたんだよ」

「そんなものそう簡単に手に入れられないんじゃないですか?

「ああ、少なくとも一般に流通しているものではないね」

「つまり……」

「犯人は容易周到な計画を練って姫様を攫ったと考えた方が良さそうだ」

「犯人の目星はついているのですか?」

「それはまだわからない。わからないが……」

 アレックスさんが何かを言いづらそうにしている。その言い方だと犯人の目星は着いていると言っているようなものだ。

「言うが良い、犯人は我らエルフの可能性が高いとな」

 私とアレックスさんが声のした方を向くと、そこにはエルフの族長さんと他の護衛隊の面々がいた。

「ガルシアさん、ロレーヌは見つかったんですか!?」

 私がそう聞くとガルシアさんは瞑目して首を横に振る。

「いいや、まだ見つかってはいない……ただ」

「ただ?」

「姫様を攫った犯人が判明した」

「そうなんですか!!」

 私は思わず身を乗り出してガルシアさんに訊く

「ああ、犯人はこの里に住むエルフの若者たちだ」

 どうやら犯人はアレックスさんの予想通りエルフだということがわかったらしい。しかし、何故だ?何故エルフの若者たちがロレーヌを攫う必要がある?

「動機とかはわかっているのですか?」

「動機か……それはだな――」

「そこから先は儂が話そう」

 そう言ってエルフの族長さんが一歩前に出て続ける。

「エルフの若者たちが儂の部屋に置手紙をしていてな、彼らの要求は姫の命と引き換えにアウリスの大森林を独立国家として認めること、だそうだ。言っておくが彼らの要求が儂らエルフ全体の意思ではないことはわかってもらいたい」

 族長さんの言いたいことはわかる。ロレーヌの誘拐はあくまでエルフの若者たちが犯した罪であってエルフ全体が悪いわけではない。それはガルシアさんもわかっているようであった。

「それは当然でしょう。むしろ謎なのは彼ら動機です。非公式ではありますがエルフはアウリスの大森林を領地として認められている。それに何の不満があるのでしょう」

「おそらく、ではあるがその非公式という点が気に喰わなかったのかもしれぬ」

「王国の庇護下にあることが不満であると」

「うむ、彼らは忌まわしきエルフ狩りを知らぬ世代でもあるからの。で、あれば王国の庇護下にある意味を正しく理解していないのかもしれぬ」

「そうであれば彼らの動機にも納得できましょう。が、しかし、何人であれロレーヌ姫を――王族を害することは許されません」

「それはわかっておる。彼らは犯してはならぬ罪を犯した。それは同胞をも危険にさらす大罪じゃ。彼らの処断はガルシア殿にまかせるとしましょう」

「では、彼らの居場所について教えてもらえますね」

「ああ、彼らの居場所はアウリスの大森林の最奥、世界樹の麓じゃ」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...