亜LIVEダンジョン探索記

ウツロうつつ

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第三章 サグルとチユと臆病「治癒師」

第14話 サグルと女神打倒派と『ウルスラグナ』

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「『ウルスラグナ』ですか?」
「ああ、僕らこそ女神打倒を目標に掲げる唯一のクラン『ウルスラグナ』だ……ところで君は?」

 サグルがその質問に答えようとしたところそれをリリィが手で制してサグルの代わりに答える。

「お前らの探しモノだよ」
「探しモノ?まさか」
「そのまさかだ。コイツこそこの200年現れなかった新Job『配信者』の持ち主、SAGURU TV のサグルだ!!」
「おお!この子が、しかもリリィさんが僕たちに紹介してくれると言うことは……」
「もちろんコイツも女神打倒派の一人だ」
「おお!!それは素晴らしい」
「更にそこのジュースを飲んでる美少女!!」
「ひゃ、ひゃい!!」

 油断しているところに呼ばれて変な声が返事をするミリア。

「実はコイツには女神の呪いがかかってねぇんだ」
「な!?流石にそんなわけ……」
「それについては俺が保証しますよ。ミリアさんは俺が配信中に女神と発言することが出来ました」
「それは……」

 たとえ真実であったとしても信じがたい。そんな顔をするウルスラグナの探索者。しかし、事実は事実である。

「な!中々に有望な奴らだろ」

 リリィが自慢気にウィンクを決めながらそう言うと、ウルスラグナの探索者たちは一様に難しい顔をする。

「確かに有望は有望だが……」
「言い方は悪いが使いどころを見誤ると俺たち自身が潰されかねないな」
「だが、大きな武器になるのは事実だぜ」

 ウルスラグナの探索者たちは口々にミリアの有用性とその危険性について話し合う。その間渦中の人物であるミリアは居たたまれない様子でジュースをチビチビと飲んでいる。

「あの~一応俺たちの話をするのであれば話し合いに参加したいのですが……」

 おそるおそる、といった様子で手を挙げるサグル。

「ああ、いや、すまない。君たち、特にミリアさんだったかな、彼女があまりにもイレギュラー過ぎる存在だったものでね。失礼ながら君たちにまで気を割けなかった。それで一つ確認なんだが君たちは僕らのクランに入ってくれるということで良かったんだよね」
「はい、そうしようと思っています」
「で、あればだ我々ウルスラグナについて説明をする必要があるな……サグル君、また日を改めることになるけど僕らの主力探索者たちに会うことは出来るかい?」
「それは全然構いませんけど……皆さんはウルスラグナの主力探索者ではないのですか?」
「残念なことにね。僕らはウルスラグナの中でも精々中堅程度の実力さ」
「そんなに強そうなのに……」
「はははは、それはどうもありがとう。それで内の主力と会う日程なんだけど……今から僕らが君たちのことについて報告に戻ってから、という話になるのだけれど……生憎主力メンバーはまだダンジョンアタックの途中でね。この街に戻ってくるまであと数日はかかるんだ。だから日程が決まり次第リリィさんに伝えておくからそれまでの間は自由にしてくれてかまわないよ」
「わかりました」
「それじゃあ僕らはクランに報告に戻るけど何か聞いておきたいことはないかい?」
「え~っと、それじゃあ聞きますけど皆さんの中でフリーのヒーラーに心当たりのある方はいませんか?」
「フリーのヒーラー?」

 ウルスラグナの探索者たちは互いに顔を見合わせるがどうも心当たりはないらしい。

「すまないね、どうやら力になれそうにないよ」
「そうですか……」

 サグルは残念そうな顔をしてため息を吐く。と、そんなサグル見かねたのかウルスラグナの探索者は「あ」と何かを思い付く。

「厳密にはフリーのヒーラーと言うわけではないのだけれど、君たちは辻ヒーラーについて知っているかい?」
「?、一応知ってはいますが……」
「それなら話が早い。辻ヒーラーはその立場故か皆腕が良くてね。丁度と言って良いのかはわからないけど君たちと同年代の辻ヒーラーが一人いるんだ」
「そうなのですか?」
「ああ、彼女は基本的にダンジョンの上層を縄張りとしてるからあったことがあるかもしれないよ」

 そこまで聞いてミリアが微妙な表情をしながら手を挙げる。

「あの~その人ってもしかして赤いローブとか着ていませんよね」
「なんだ、もう知っているみたいだね」
「いや、知っているというか、面識があるというか、因縁があると言いますか……」
「?、だったら彼女をパーティーに誘ってみると良い。辻ヒーラー中にはパーティー勧誘待ちの者も多いからもしかしたらパーティーに加入してくれるかもしれないよ」
「え~、あの女がパーティー勧誘待ちですかぁ?」

 ミリアはダンジョンでの一件もあってか、件のヒーラーのパーティー加入にはあまり乗り気ではないようだ。しかし、

「だったらポーションの件、どうにかするしかないよなぁ」

 再びリリィが悪い顔をしてミリアに顔を近づける。

「それとこれとは!いえ……一緒ですね。でも、あの女を仲間に引き入れるのは無理だと思うんですよね」

 ミリアの態度はあくまで消極的である。が、しかし、件のヒーラー以外にパーティーメンバーとしての候補がいないこともまた事実である。サグルは腕を組んでう~んと考えを巡らせてから口を開いた。

「ミリアさん」
「何でしょうサグル君」
「直接そのヒーラーと話していない俺が言うのも何だけどそのヒーラーは人として信用に足る人物だと思うんだ」
「え~なんでですか~」
「まず第一に、言葉が厳しかったとはいえ、ミリアさんに対して先輩探索者としてしっかりアドバイスをしていること」
「う……」
「第二に自分の中でお金を取るべき対象を決めているということはこれまでにも無償で探索者の治療を行っていることが予想されること」
「うぅ……」
「第三にこれは俺の勘なんだけど、その人は絶対に仲間にした方が良いって思ってるということ。以上三点から言って俺はそのヒーラーを仲間に入れようとおもっている。どうかなミリアさん」
「そこに私の意見を入れる余地はあるのですか?」

 問われてサグルは苦笑い。どうやらサグルの中では件のヒーラーをパーティーに勧誘することは既に決定事項らしい。
 そんなサグルの態度を見て、ミリアは深く深くため息を吐いた。

「オーケーです。わかりました。わかりましたとも。サグル君は一度決めたことは完遂しなければならないタイプそうですし、今回の件、私の方が折れてあげます。その代わり貸し一ですからね」
「ありがとうミリアさん」

 これで二人の今後の方針が決まった。ならば後はすることはただ一つ、件のヒーラーを見つけることなのだが……

「よっしゃ!お二人さんの今後の行動方針が決まったところでレッツ勧誘タイムといこうか」
「リリィさん勧誘するのは例のヒーラーさんを見つけてからですよ」
「そうですよまだ見つけてもいない人をどうやって勧誘するのですか?」

 リリィに抗議する二人。するとリリィはギルドのカウンターを親指で指差し、二人が親指が差し示した方に視線を送ると……
 何とそこには赤いローブを着た件のヒーラーがいたのであった。 
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