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第2章~マナ生命体~
第7話 マナ生命体――思い通りに行くと思ったか?
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「え……」
リンネの言葉に対して、レイの心に疑心が生まれる。なぜなら今画面越しに見える生命たちに、宇宙の運営に支障をきたすようなことが出来るとは到底思えなかったからだ。
「宇宙の運営が立ち行かなくなるって、彼らがそんな存在であるとは僕には到底思えませんが」
「今のあれらにそんな意識はないからね。ただ純粋に一つの生命として生きている。ただそれが――」
――まただ
レイはそう思いながらもその考えを押さえ込む、今は宇宙の命運がかかっているのだ。そんな些事気にしてはいけない。
レイの心に小さな痛みが走った。今自分は何か大きな間違いを犯したのではないかとも思った。今ならばまだ間に合うとも――
それでも時は公平に、容赦なく進む。
リンネは続きを口にする。
「宇宙の……輪廻転生というシステムの完全停止を引き起こす可能性がある」
「え……」
レイは驚きのあまりに言葉失う、それまで考えていたことまでどこかに吹き飛んでいってしまい、呆然と立ちつくす
しかしリンネはそんなレイにも容赦がない。
「それでレイ君、どうするつもりだい?」
「あ……」
リンネの問いにレイは反応が出来ない、頭に様々な感情や記憶、思考が流れ、処理が追い付かないのだ。
それでもレイは必死に状況を整理しようと試みる。混乱の最中でも自分を見失わないように必死でしがみつく。「自分なら出来る」そう何度も言い聞かせる。
その間リンネは何事でもないようにレイを待つ、リンネにはわかっているのだ、この程度で折れるような育て方はしていない。何のために100億年という膨大な時間使ってまでマナコントロールだけの修行を行わせたのかと。
その修行を乗り越えたレイならば近い内に答えを出すだろうと。
時間はかかったがリンネの予想通り、レイは落ち着きを取り戻し口を開いた。
「リンネ、貴女の言によると彼らにはこの宇宙を破滅に導くような意思はなく、その存在事態も今すぐに問題となるわけではないのですよね」
「ああ、その通りだ」
「ということは貴女は彼らがどういった生物であるかわかっている。ということですか」
「全てを知っている、という程ではないけどね」
「初見である生物についての知識があることについて、詳しく聞きたいところはありますが、別件も含めて今は置いておきます」
「ありがとう、と言っておいた方がいいかな」
「必要ありません、いずれ聞き出しますから」
リンネは「左様でございますか」と愉しそうに笑う。
レイはリンネのそんな様子を目にしても努めて毅然とした態度をとる。
「では、リンネひとまず彼らについて知っていることを教えて下さい」
「りょーかい、まずあれらの呼称だが一先ずマナ生命体としておこう」
「ということは、マナを肉体とする生命ということですか?」
「その通り、あれらはマナを肉体として魂を宿した生命体だ」
「食事等は行うのですか?」
「基本的には眠りも食事も必要ない。ただし何らかの要因によってマナを大量に消費し、自然回復が間に合わない場合などはその限りではないけどね」
「寿命は?」
「不朽のマナを肉体としているんだよ。あると思うかい」
「では、繁殖方法については」
「それについては私は知らない。けど――見たまえ」
言ってリンネは管理者部屋の窓を顎で指す。レイが言われた通りに管理者部屋の窓に映る画像を見ると、マナ生命体たちの中に一際大きな個体がいることに気付く。
「あの個体、他の個体と比べても一際大きいようですが――」
「忘れたのかい?魂は命となるとマナを生み出すようになるんだよ、つまり――」
「大きさな個体はそれだけ長く生きている個体、ということですね」
「そう予想できるね」
「でもそれが彼らの繁殖方法と何の――」
言いかけてレイは画面に注目させられる。
一番大きな個体に動きがあったのだ。その個体はある方向に一直線に飛んで行く、この先には青く淡く光るまだなんの命も宿していない魂があった。
「彼らには魂が見えてるのでしょうか?」
「見えているかはわからないけど、あの様子だと間違いなく認識はしているだろうね」
「彼らには魂が見えてるのでしょうか?」
「見えているかはわからないけど、あの様子だと間違いなく認識はしているだろうね」
大きなマナ生命体は魂のすぐそばまで近付くと、自身の体を触手のように伸ばして周辺のマナを集めだす。
「マナコントロールをしてる……」
「はは、可視化してない薄いマナまで集めてるよ。最初の頃のレイ君より筋がいい」
リンネの皮肉にも聞こえる冗談に、レイは一瞬だけ顔を歪めてリンネを見る。リンネも目線だけをレイに向けていたためお互いの目が合う。目が合ったことに気付いたリンネはいつもの怪しい笑みを浮かべるが、レイは視線を画面に戻し努めて冷静な声で、
「本当にそうですね」
と薄いリアクションで返した。
二人がそうこうしている内に集められたマナがバスケットボール大の大きさになる。すると魂が集められたマナの塊の中にするりと入っていき、マナの塊だったものが心臓の鼓動のように明滅し、最後には淡く白色に発光するマナ生命体となった。
「ああやって増えるのですね」
レイは生命誕生の瞬間を目撃できたことに感動し、目を輝かせる。一方リンネはその瞬間ですら腕を組みながら冷静な、というよりも冷たい目を向けており、更には舌打ちすら聞こえた(レイには聞こえていない)
「単偽生殖……で、あってるのかあれ!?頻度は今のところわからないが増えるのがあまりにも早すぎる」
そう区切り、リンネはレイに向き直る。
「レイ君、どうやら悠長にしている時間は無さそうだ」
リンネの発言により、レイは思考を切り替え、マナ生命体の抱える問題について考える。
マナ生命体の抱える問題とは、無限の寿命と不死に近しいほどの死ににくさにある。
レイ達の宇宙の管理とは、言ってしまえば魂の輪廻転生を利用したマナというエネルギーの回収にある。しかし、マナ生命体が1体存在するだけで一つの魂が輪廻転生を行わないようになる。更に1体ならまだしもマナ生命体はリンネの言うように脅威的な早さでその数を増やす。
つまり、レイ達の宇宙の管理とマナ生命体というのは最悪の相性ともいえるのだ。
ともすれば、レイの頭にある手段がよぎる。しかし、レイはその考えを振り払うように頭をふる。だが、
「レイ君、この問題を解決するのに一番わかりやすくて簡単な方法。――そう、今君が否定した方法だ。それは手札として必ず持っておくべきだ」
この宇宙の管理者として、『管理者の名をもって宇宙の秩序のために根絶やしする』それがレイの考える最も簡単でわかりやすい手段であった。
「リンネの言うように手札としては残しておきます。だけど、僕は安易にその手札を切りたくはありませんし、他の手札が有効ならばその手札から切ります」
「元より決めるのは君だ。レイ君の思うままに決めるがいいさ。ちなみにではあるが参考までにその有効な手札とやらを見せてもらえるかい」
リンネの頼みにレイは首肯で返し、口を開く
「『顕現』の権能を使います」
リンネの言葉に対して、レイの心に疑心が生まれる。なぜなら今画面越しに見える生命たちに、宇宙の運営に支障をきたすようなことが出来るとは到底思えなかったからだ。
「宇宙の運営が立ち行かなくなるって、彼らがそんな存在であるとは僕には到底思えませんが」
「今のあれらにそんな意識はないからね。ただ純粋に一つの生命として生きている。ただそれが――」
――まただ
レイはそう思いながらもその考えを押さえ込む、今は宇宙の命運がかかっているのだ。そんな些事気にしてはいけない。
レイの心に小さな痛みが走った。今自分は何か大きな間違いを犯したのではないかとも思った。今ならばまだ間に合うとも――
それでも時は公平に、容赦なく進む。
リンネは続きを口にする。
「宇宙の……輪廻転生というシステムの完全停止を引き起こす可能性がある」
「え……」
レイは驚きのあまりに言葉失う、それまで考えていたことまでどこかに吹き飛んでいってしまい、呆然と立ちつくす
しかしリンネはそんなレイにも容赦がない。
「それでレイ君、どうするつもりだい?」
「あ……」
リンネの問いにレイは反応が出来ない、頭に様々な感情や記憶、思考が流れ、処理が追い付かないのだ。
それでもレイは必死に状況を整理しようと試みる。混乱の最中でも自分を見失わないように必死でしがみつく。「自分なら出来る」そう何度も言い聞かせる。
その間リンネは何事でもないようにレイを待つ、リンネにはわかっているのだ、この程度で折れるような育て方はしていない。何のために100億年という膨大な時間使ってまでマナコントロールだけの修行を行わせたのかと。
その修行を乗り越えたレイならば近い内に答えを出すだろうと。
時間はかかったがリンネの予想通り、レイは落ち着きを取り戻し口を開いた。
「リンネ、貴女の言によると彼らにはこの宇宙を破滅に導くような意思はなく、その存在事態も今すぐに問題となるわけではないのですよね」
「ああ、その通りだ」
「ということは貴女は彼らがどういった生物であるかわかっている。ということですか」
「全てを知っている、という程ではないけどね」
「初見である生物についての知識があることについて、詳しく聞きたいところはありますが、別件も含めて今は置いておきます」
「ありがとう、と言っておいた方がいいかな」
「必要ありません、いずれ聞き出しますから」
リンネは「左様でございますか」と愉しそうに笑う。
レイはリンネのそんな様子を目にしても努めて毅然とした態度をとる。
「では、リンネひとまず彼らについて知っていることを教えて下さい」
「りょーかい、まずあれらの呼称だが一先ずマナ生命体としておこう」
「ということは、マナを肉体とする生命ということですか?」
「その通り、あれらはマナを肉体として魂を宿した生命体だ」
「食事等は行うのですか?」
「基本的には眠りも食事も必要ない。ただし何らかの要因によってマナを大量に消費し、自然回復が間に合わない場合などはその限りではないけどね」
「寿命は?」
「不朽のマナを肉体としているんだよ。あると思うかい」
「では、繁殖方法については」
「それについては私は知らない。けど――見たまえ」
言ってリンネは管理者部屋の窓を顎で指す。レイが言われた通りに管理者部屋の窓に映る画像を見ると、マナ生命体たちの中に一際大きな個体がいることに気付く。
「あの個体、他の個体と比べても一際大きいようですが――」
「忘れたのかい?魂は命となるとマナを生み出すようになるんだよ、つまり――」
「大きさな個体はそれだけ長く生きている個体、ということですね」
「そう予想できるね」
「でもそれが彼らの繁殖方法と何の――」
言いかけてレイは画面に注目させられる。
一番大きな個体に動きがあったのだ。その個体はある方向に一直線に飛んで行く、この先には青く淡く光るまだなんの命も宿していない魂があった。
「彼らには魂が見えてるのでしょうか?」
「見えているかはわからないけど、あの様子だと間違いなく認識はしているだろうね」
「彼らには魂が見えてるのでしょうか?」
「見えているかはわからないけど、あの様子だと間違いなく認識はしているだろうね」
大きなマナ生命体は魂のすぐそばまで近付くと、自身の体を触手のように伸ばして周辺のマナを集めだす。
「マナコントロールをしてる……」
「はは、可視化してない薄いマナまで集めてるよ。最初の頃のレイ君より筋がいい」
リンネの皮肉にも聞こえる冗談に、レイは一瞬だけ顔を歪めてリンネを見る。リンネも目線だけをレイに向けていたためお互いの目が合う。目が合ったことに気付いたリンネはいつもの怪しい笑みを浮かべるが、レイは視線を画面に戻し努めて冷静な声で、
「本当にそうですね」
と薄いリアクションで返した。
二人がそうこうしている内に集められたマナがバスケットボール大の大きさになる。すると魂が集められたマナの塊の中にするりと入っていき、マナの塊だったものが心臓の鼓動のように明滅し、最後には淡く白色に発光するマナ生命体となった。
「ああやって増えるのですね」
レイは生命誕生の瞬間を目撃できたことに感動し、目を輝かせる。一方リンネはその瞬間ですら腕を組みながら冷静な、というよりも冷たい目を向けており、更には舌打ちすら聞こえた(レイには聞こえていない)
「単偽生殖……で、あってるのかあれ!?頻度は今のところわからないが増えるのがあまりにも早すぎる」
そう区切り、リンネはレイに向き直る。
「レイ君、どうやら悠長にしている時間は無さそうだ」
リンネの発言により、レイは思考を切り替え、マナ生命体の抱える問題について考える。
マナ生命体の抱える問題とは、無限の寿命と不死に近しいほどの死ににくさにある。
レイ達の宇宙の管理とは、言ってしまえば魂の輪廻転生を利用したマナというエネルギーの回収にある。しかし、マナ生命体が1体存在するだけで一つの魂が輪廻転生を行わないようになる。更に1体ならまだしもマナ生命体はリンネの言うように脅威的な早さでその数を増やす。
つまり、レイ達の宇宙の管理とマナ生命体というのは最悪の相性ともいえるのだ。
ともすれば、レイの頭にある手段がよぎる。しかし、レイはその考えを振り払うように頭をふる。だが、
「レイ君、この問題を解決するのに一番わかりやすくて簡単な方法。――そう、今君が否定した方法だ。それは手札として必ず持っておくべきだ」
この宇宙の管理者として、『管理者の名をもって宇宙の秩序のために根絶やしする』それがレイの考える最も簡単でわかりやすい手段であった。
「リンネの言うように手札としては残しておきます。だけど、僕は安易にその手札を切りたくはありませんし、他の手札が有効ならばその手札から切ります」
「元より決めるのは君だ。レイ君の思うままに決めるがいいさ。ちなみにではあるが参考までにその有効な手札とやらを見せてもらえるかい」
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