42 / 86
第6章~原初の○○~
第40話 畜産――牧場ののどかな雰囲気が好き。
しおりを挟む
結局のところ、レイは地球に降りたダムア夫妻のことを、完全に見放すことはなかった。何かにつけては地球へ行き、ダムア夫妻の様子を見るそして、ダムアたちが何か困っていることがあれば、その手助けをする。それがレイの日常となっていた。
―――数十年後、管理者部屋
「それじゃあリンネ、僕はまた地球に視察に行ってきますね」
「ハイハイ、どうせまたダムアたちの所でしょ」
リンネがそう言うとレイは焦ったように
「ち、違いますよ、地球への視察です。視察!」
「そんなこと言ってもレイ君、結局いっつもダムアたちのところに行くじゃん」
「それは!!たまたま『顕現』した場所がダムアたちの村に近くてですね……」
最後の方はほとんど聞き取れない声で言う。
「兎に角!地球に行ってきますので!!」
そして開き直る。
「わお!レイ君たら開き直ったよ」
「それじゃあリンネ留守番よろしくお願いします」
言ってレイは管理者部屋を去っていく。残されたリンネは何やら意味深な笑顔を浮かべていた。
―――地球
レイが顕現したのはダムア一族の村の近くにある草原。そこでレイは今日は何をしようかと考える。
昨日はダムアの家の雨漏りを直すのを手伝った。その前は資材の搬入。では今日はと考えていたところレイのお尻に強い衝撃が走る。
「うわ!!」
突然の衝撃にレイは前倒しに倒れる。
「一体誰が……」
言ってレイが後ろを見ると、一匹の山羊がメェーと鳴いていた。
「山羊でしたか」
そう言ってレイが山羊を見つめていると。
「ユキ、手前ぇそんなとこで何してんだ」
と一人の男性が走ってきた。その男性は黒目黒髪に無精髭を生やした20代くらいの男性であった。
「この山羊は貴方が飼ってる山羊なのですか?」
レイがそうその男に訪ねると。
「んだよ何か文句でもあんのかコラ、確かにユキはオレの牧場で飼ってる山羊だよ。」
言って男はレイに向かってガンを飛ばすが、レイは牧場と聞いてその瞳を輝かせる。
「牧場があるのですか!?」
「なんだ手前ぇ藪から棒に……つーか手前ぇもしかして主か?」
「そうですけど、僕、貴方と面識がありましたっけ?」
「ねえよ。ただ親父が手前ぇのことはよく話してたからな。なんとなくそう思っただけだ」
「親父と言うとダムアのことですか?」
「おう!オレの名前はラルゴってんだ。よろしくな」
「ああ!貴方があのラルゴなのですね」
レイは以前からラルゴの名前を耳にしていた。ダムアの一族の中に、畜産にかけては右に出る者なしと言われている者がいると、その名はラルゴ。レイはその噂の人物が目の前にいることに嬉しくなり、思わずラルゴの手を取りブンブンと上下に振る。
「お噂はかねがね聞いています。ダムアの一族で一番の――いや、地球で一番畜産の知識を持っている方だとか」
「ハッ!!地球一だと、冗談がきついぜ。オレの知識なんてせいぜい宇宙一程度だぜ」
「宇宙一!!それは素晴らしい!!」
基本的にレイには冗談と言うものは通じない。それを知らなかったラルゴは慌てて手を振る。
「主、冗談だよ冗談。オレの知識なんかせいぜいこの村一番程度のものだよ」
それでも村一番は自称するラルゴ。
「それでも村一番はすごいことです」
レイはラルゴのことを素直に認め、誉める。するとラルゴは頬を赤く染めて照れたように
「あ、ありがとよ」
と礼を言う。
「それでラルゴさん」
「主、オレたちゃもうダチだ。オレの名前を呼ぶ時にさんはいらねぇぜ」
「では、ラルゴ様」
「なんでそうなるんだよ。ラルゴって呼べゃいいんだラルゴって」
「では、ラルゴ。一つお願いがあるのですが」
「ん?オレに出来ることなんて畜産以外に何にもねぇぞ」
「僕にラルゴの牧場を見せて下さい」
「そんなことでいいのか?」
「もしかしてお邪魔でしたか?」
レイが残念そうな顔をしてそう言うと、ラルゴは慌てて手を振る。
「んなこたぁねぇよ。むしろ手前ぇが来るなんてうちのやつらが聞いたら泣いて喜ぶつーの。むしろこっちが来て欲しいくらいだぜ!!」
「よろしいのですね!!」
それまでの残念そうな顔からパアッと表情が明るくなるレイ。そして二人は仲良く話をしながらラルゴの牧場へ行き、レイは牧場での一時を大いに楽しんだ。
―――数十年後、管理者部屋
「それじゃあリンネ、僕はまた地球に視察に行ってきますね」
「ハイハイ、どうせまたダムアたちの所でしょ」
リンネがそう言うとレイは焦ったように
「ち、違いますよ、地球への視察です。視察!」
「そんなこと言ってもレイ君、結局いっつもダムアたちのところに行くじゃん」
「それは!!たまたま『顕現』した場所がダムアたちの村に近くてですね……」
最後の方はほとんど聞き取れない声で言う。
「兎に角!地球に行ってきますので!!」
そして開き直る。
「わお!レイ君たら開き直ったよ」
「それじゃあリンネ留守番よろしくお願いします」
言ってレイは管理者部屋を去っていく。残されたリンネは何やら意味深な笑顔を浮かべていた。
―――地球
レイが顕現したのはダムア一族の村の近くにある草原。そこでレイは今日は何をしようかと考える。
昨日はダムアの家の雨漏りを直すのを手伝った。その前は資材の搬入。では今日はと考えていたところレイのお尻に強い衝撃が走る。
「うわ!!」
突然の衝撃にレイは前倒しに倒れる。
「一体誰が……」
言ってレイが後ろを見ると、一匹の山羊がメェーと鳴いていた。
「山羊でしたか」
そう言ってレイが山羊を見つめていると。
「ユキ、手前ぇそんなとこで何してんだ」
と一人の男性が走ってきた。その男性は黒目黒髪に無精髭を生やした20代くらいの男性であった。
「この山羊は貴方が飼ってる山羊なのですか?」
レイがそうその男に訪ねると。
「んだよ何か文句でもあんのかコラ、確かにユキはオレの牧場で飼ってる山羊だよ。」
言って男はレイに向かってガンを飛ばすが、レイは牧場と聞いてその瞳を輝かせる。
「牧場があるのですか!?」
「なんだ手前ぇ藪から棒に……つーか手前ぇもしかして主か?」
「そうですけど、僕、貴方と面識がありましたっけ?」
「ねえよ。ただ親父が手前ぇのことはよく話してたからな。なんとなくそう思っただけだ」
「親父と言うとダムアのことですか?」
「おう!オレの名前はラルゴってんだ。よろしくな」
「ああ!貴方があのラルゴなのですね」
レイは以前からラルゴの名前を耳にしていた。ダムアの一族の中に、畜産にかけては右に出る者なしと言われている者がいると、その名はラルゴ。レイはその噂の人物が目の前にいることに嬉しくなり、思わずラルゴの手を取りブンブンと上下に振る。
「お噂はかねがね聞いています。ダムアの一族で一番の――いや、地球で一番畜産の知識を持っている方だとか」
「ハッ!!地球一だと、冗談がきついぜ。オレの知識なんてせいぜい宇宙一程度だぜ」
「宇宙一!!それは素晴らしい!!」
基本的にレイには冗談と言うものは通じない。それを知らなかったラルゴは慌てて手を振る。
「主、冗談だよ冗談。オレの知識なんかせいぜいこの村一番程度のものだよ」
それでも村一番は自称するラルゴ。
「それでも村一番はすごいことです」
レイはラルゴのことを素直に認め、誉める。するとラルゴは頬を赤く染めて照れたように
「あ、ありがとよ」
と礼を言う。
「それでラルゴさん」
「主、オレたちゃもうダチだ。オレの名前を呼ぶ時にさんはいらねぇぜ」
「では、ラルゴ様」
「なんでそうなるんだよ。ラルゴって呼べゃいいんだラルゴって」
「では、ラルゴ。一つお願いがあるのですが」
「ん?オレに出来ることなんて畜産以外に何にもねぇぞ」
「僕にラルゴの牧場を見せて下さい」
「そんなことでいいのか?」
「もしかしてお邪魔でしたか?」
レイが残念そうな顔をしてそう言うと、ラルゴは慌てて手を振る。
「んなこたぁねぇよ。むしろ手前ぇが来るなんてうちのやつらが聞いたら泣いて喜ぶつーの。むしろこっちが来て欲しいくらいだぜ!!」
「よろしいのですね!!」
それまでの残念そうな顔からパアッと表情が明るくなるレイ。そして二人は仲良く話をしながらラルゴの牧場へ行き、レイは牧場での一時を大いに楽しんだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
スキル買います
モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」
ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。
見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。
婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。
レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。
そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。
かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる