トガビト_ワールドクリエイション

ウツロうつつ

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第6章~原初の○○~

第40話 畜産――牧場ののどかな雰囲気が好き。

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 結局のところ、レイは地球に降りたダムア夫妻のことを、完全に見放すことはなかった。何かにつけては地球へ行き、ダムア夫妻の様子を見るそして、ダムアたちが何か困っていることがあれば、その手助けをする。それがレイの日常となっていた。

―――数十年後、管理者部屋
「それじゃあリンネ、僕はまた地球に視察に行ってきますね」

「ハイハイ、どうせまたダムアたちの所でしょ」

 リンネがそう言うとレイは焦ったように

「ち、違いますよ、地球への視察です。視察!」

「そんなこと言ってもレイ君、結局いっつもダムアたちのところに行くじゃん」

「それは!!たまたま『顕現』した場所がダムアたちの村に近くてですね……」

 最後の方はほとんど聞き取れない声で言う。

「兎に角!地球に行ってきますので!!」

 そして開き直る。

「わお!レイ君たら開き直ったよ」

「それじゃあリンネ留守番よろしくお願いします」

 言ってレイは管理者部屋を去っていく。残されたリンネは何やら意味深な笑顔を浮かべていた。

―――地球
 レイが顕現したのはダムア一族の村の近くにある草原。そこでレイは今日は何をしようかと考える。
 昨日はダムアの家の雨漏りを直すのを手伝った。その前は資材の搬入。では今日はと考えていたところレイのお尻に強い衝撃が走る。

「うわ!!」

 突然の衝撃にレイは前倒しに倒れる。

「一体誰が……」

 言ってレイが後ろを見ると、一匹の山羊がメェーと鳴いていた。

「山羊でしたか」

 そう言ってレイが山羊を見つめていると。

「ユキ、手前ぇそんなとこで何してんだ」

 と一人の男性が走ってきた。その男性は黒目黒髪に無精髭を生やした20代くらいの男性であった。

「この山羊は貴方が飼ってる山羊なのですか?」

レイがそうその男に訪ねると。

「んだよ何か文句でもあんのかコラ、確かにユキはオレの牧場で飼ってる山羊だよ。」

言って男はレイに向かってガンを飛ばすが、レイは牧場と聞いてその瞳を輝かせる。

「牧場があるのですか!?」

「なんだ手前ぇ藪から棒に……つーか手前ぇもしかして主か?」

「そうですけど、僕、貴方と面識がありましたっけ?」

「ねえよ。ただ親父が手前ぇのことはよく話してたからな。なんとなくそう思っただけだ」

「親父と言うとダムアのことですか?」

「おう!オレの名前はラルゴってんだ。よろしくな」

「ああ!貴方があのラルゴなのですね」

 レイは以前からラルゴの名前を耳にしていた。ダムアの一族の中に、畜産にかけては右に出る者なしと言われている者がいると、その名はラルゴ。レイはその噂の人物が目の前にいることに嬉しくなり、思わずラルゴの手を取りブンブンと上下に振る。

「お噂はかねがね聞いています。ダムアの一族で一番の――いや、地球で一番畜産の知識を持っている方だとか」
「ハッ!!地球一だと、冗談がきついぜ。オレの知識なんてせいぜい宇宙一程度だぜ」
「宇宙一!!それは素晴らしい!!」

 基本的にレイには冗談と言うものは通じない。それを知らなかったラルゴは慌てて手を振る。

「主、冗談だよ冗談。オレの知識なんかせいぜいこの村一番程度のものだよ」

 それでも村一番は自称するラルゴ。

「それでも村一番はすごいことです」

 レイはラルゴのことを素直に認め、誉める。するとラルゴは頬を赤く染めて照れたように

「あ、ありがとよ」

と礼を言う。

「それでラルゴさん」

「主、オレたちゃもうダチだ。オレの名前を呼ぶ時にさんはいらねぇぜ」

「では、ラルゴ様」

「なんでそうなるんだよ。ラルゴって呼べゃいいんだラルゴって」

「では、ラルゴ。一つお願いがあるのですが」

「ん?オレに出来ることなんて畜産以外に何にもねぇぞ」

「僕にラルゴの牧場を見せて下さい」

「そんなことでいいのか?」

「もしかしてお邪魔でしたか?」

 レイが残念そうな顔をしてそう言うと、ラルゴは慌てて手を振る。

「んなこたぁねぇよ。むしろ手前ぇが来るなんてうちのやつらが聞いたら泣いて喜ぶつーの。むしろこっちが来て欲しいくらいだぜ!!」

「よろしいのですね!!」

 それまでの残念そうな顔からパアッと表情が明るくなるレイ。そして二人は仲良く話をしながらラルゴの牧場へ行き、レイは牧場での一時を大いに楽しんだ。
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