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第8章~アリア・エクノルエ~
第47話 見守り隊――見守り活動は大事だよね。うん(固い意志)
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レイとリンネがアリア・エクノルエ0歳への見守り活動を始めてから早7年。アリアは7歳になっていた。
「わーい」
澄んだ青い瞳を輝かせ、腰までの長さの美しい金髪を揺らしながら無邪気に走り回るその姿は、それを見る者の心を穏やかなものにさせる。
レイたちの7年にも及ぶ見守り活動の結果、アリアに関することがいくつか判明した。
まず、アリアの住む環境の文化レベルであるがそれはアリアの周囲人間の着衣や建物の造りから中世ヨーロッパ程度であることが予測される。
次にアリアの住む場所であるが、アリアは地球最大の大陸(名前はまだない)の西側に位置するラバルディア聖王国という政教一体の国の北西端に位置するエクノルエ領で、このエクノルエ領は西側を狂暴なモンスターや獣が蔓延る未開地に、北側をドルヘル王国という長年ラバルディア聖王国と争い続ける所謂敵対国と隣接している領地である。そんなエクノルエ領ではあるが、ここ数年はドルヘル王国との戦争も和平条約の締結により沈静化しており、アリアの生育環境としてはとても良く、アリアはすくすくと育っていた。
そして、アリアの家族についてだが、アリアのフルネームからも予想出来るように、エクノルエ領の領主カルロス・エクノルエ(32歳)とその妻メノア・エクノルエ(29歳)との間に産まれた三人兄妹の末っ子で、長男のトリオラ・エクノルエ(11歳)と、次男のデュオス・エクノルエ(9歳)の二人の兄がいる。
現在、アリアは屋敷の庭でアリアに良く似た金髪碧眼の女性――メノア・エクノルエに見守られながら楽しそうに何かを追いかけていた。アリアの追いかけている何か、それは常人であるメノアには見えておらず。アリアがその存在をほのめかす何かの存在がメノアにとっての悩みとなっていた。
「アリア、あまり遠くへ行っては行けませんよ」
メノアは、その何かを追いかけて遊ぶことに夢中になっているアリアを心配し、声をかける。するとアリアの方から「はーい!」と元気な声が帰ってきた。
メノアがアリアの異変に気が付いたのはアリアが2歳のころ、メノアがアリアのことを抱っこしていた時にアリアが突然「あ!」と屋敷の何もない天井を指差した時。その時メノアは赤子がよくする行動の一つであろうと高を括っていたが、それ以降アリアはことあるごとに何もない場所を指差して「あ!」と反応を示すようになった。今となってはアリアのことを1日放っておけば、その何かと1日中でも遊び続けるだろう。
無邪気に正体不明の何かと遊び続けるアリアの様子にメノアは「はぁ」とため息をつく。夫であるカルロスにはこのことは既に伝えており、カルロスはカルロスでアリアのこの件について思うところがあったのか、メノアにあまり心配するなとだけ言い、自身は何かの準備を進めていた。
しかし、いくらカルロスに心配するなと言われても、もし愛する娘が『混沌』の者に拐かされていたらと思うとアリアのことが余計に心配になる。
「アリアもうお屋敷に戻りますよ」
メノアがそう言うと、アリアは、
「はーい!!」
と素直に返事。そして、
「バイバイ」
と何かに向かって手を振り、メノアの元にかけて行く。そして、二人は仲良く手を繋いで屋敷の中に入っていった。
―――管理者部屋
「いやー、今日のアリアちゃんも可愛かったねぇレイ君」
「そうですね~リンネ、あとたんは止めてください気持ち悪いです」
ホクホクした顔で見守り活動の感想を言い合う二人。
「えー流石に気持ち悪いは言い過ぎでしょ」
頬を膨らませてブーたれるリンネ。
「言い過ぎなんかじゃありませんよ。気持ち悪いものは気持ち悪いのです」
レイが追い討ちをかけるようにそう言うと、リンネは開き直ったように言う。
「いいもん、いいもん!!それじゃあ私だけアリアたんに直接会――って!危な!!」
レイがリンネにマナによる弾丸を射出。それはリンネの顔のすぐ横を通り過ぎ、管理者部屋の壁に当たった。
「リンネ」
レイが静かに冷たく言う。その表情は影によって読み取れない。
「僕らが何故管理者部屋からはなれずにアリアの見守り活動を続けているのかその理由を忘れたのですか?」
レイが静かに冷たく言う。相変わらず影により表情が読み取れない。
「え~と、私らがアリアたんのところに直接行っちゃうと、今アリアたんの回りにいるマナ生命体たちが私たちにビビっていなくなる。もしくはその逆で増えすぎちゃってアリアたんを困らせる原因になるおそれがあるから……だっけ」
「それだけわかっているのに何故アリアを困らせるようなことをしようとしたのですか?」
「いや、冗談だよ、ジョーダン。本当に行くわけ――」
二発目の弾丸がリンネの頬を掠めた。
「リンネ」とレイが冷たく言う
「僕、そういう冗談は嫌いです」
「あれ~そうだっけ?」
リンネの声が震えている。割りと本気で恐怖を覚えているみたいだ。
「すみません、言い直します。アリアを困らせるような発言、またはそれに準ずる発言は、たとえ冗談であろうと……許しません」
嫌いどころではなかった。
「レイ君、だけどもね。あまり過保護が過ぎるのも問題があると私は考える所存でありんす」
リンネが慎重に言葉を選びすぎて変な言葉遣いになる。
「過保護」
「ちょっとだよ、ほんのちょっと」
慎重に返事をするリンネ。
「僕が」
「アリアたんに」
「それは気が付きませんでした。確かに過保護はいけませんよね。それでもしアリアの人格形成に悪影響を与えてしまったら、僕は管理者としての任を放棄して贖罪のために頭を丸めて出家しているところでしたよ。いやー流石リンネ、僕の気が付かないところにしっかりと目が届いている。これからもそのしっかりとした眼でアリア健やかな成長を共に見守って行きましょう。そうしましょう。そうすべきです。そうしろ」
信じられないくらいの早口でまくし立てるレイ。良く見るとその眼のハイライトが消えている。
そこでリンネはう~んと考え、やがて口を開いた。
「よし!!レイ君はしばらくアリアたんの見守り活動禁止ね!!」
リンネから非情な一言が言い渡される。しかし、レイからの反応が一切ない。それを不審に思ったリンネがレイに近づいてレイの目前で手を振って見せる。
「意識がトんでる」
「わーい」
澄んだ青い瞳を輝かせ、腰までの長さの美しい金髪を揺らしながら無邪気に走り回るその姿は、それを見る者の心を穏やかなものにさせる。
レイたちの7年にも及ぶ見守り活動の結果、アリアに関することがいくつか判明した。
まず、アリアの住む環境の文化レベルであるがそれはアリアの周囲人間の着衣や建物の造りから中世ヨーロッパ程度であることが予測される。
次にアリアの住む場所であるが、アリアは地球最大の大陸(名前はまだない)の西側に位置するラバルディア聖王国という政教一体の国の北西端に位置するエクノルエ領で、このエクノルエ領は西側を狂暴なモンスターや獣が蔓延る未開地に、北側をドルヘル王国という長年ラバルディア聖王国と争い続ける所謂敵対国と隣接している領地である。そんなエクノルエ領ではあるが、ここ数年はドルヘル王国との戦争も和平条約の締結により沈静化しており、アリアの生育環境としてはとても良く、アリアはすくすくと育っていた。
そして、アリアの家族についてだが、アリアのフルネームからも予想出来るように、エクノルエ領の領主カルロス・エクノルエ(32歳)とその妻メノア・エクノルエ(29歳)との間に産まれた三人兄妹の末っ子で、長男のトリオラ・エクノルエ(11歳)と、次男のデュオス・エクノルエ(9歳)の二人の兄がいる。
現在、アリアは屋敷の庭でアリアに良く似た金髪碧眼の女性――メノア・エクノルエに見守られながら楽しそうに何かを追いかけていた。アリアの追いかけている何か、それは常人であるメノアには見えておらず。アリアがその存在をほのめかす何かの存在がメノアにとっての悩みとなっていた。
「アリア、あまり遠くへ行っては行けませんよ」
メノアは、その何かを追いかけて遊ぶことに夢中になっているアリアを心配し、声をかける。するとアリアの方から「はーい!」と元気な声が帰ってきた。
メノアがアリアの異変に気が付いたのはアリアが2歳のころ、メノアがアリアのことを抱っこしていた時にアリアが突然「あ!」と屋敷の何もない天井を指差した時。その時メノアは赤子がよくする行動の一つであろうと高を括っていたが、それ以降アリアはことあるごとに何もない場所を指差して「あ!」と反応を示すようになった。今となってはアリアのことを1日放っておけば、その何かと1日中でも遊び続けるだろう。
無邪気に正体不明の何かと遊び続けるアリアの様子にメノアは「はぁ」とため息をつく。夫であるカルロスにはこのことは既に伝えており、カルロスはカルロスでアリアのこの件について思うところがあったのか、メノアにあまり心配するなとだけ言い、自身は何かの準備を進めていた。
しかし、いくらカルロスに心配するなと言われても、もし愛する娘が『混沌』の者に拐かされていたらと思うとアリアのことが余計に心配になる。
「アリアもうお屋敷に戻りますよ」
メノアがそう言うと、アリアは、
「はーい!!」
と素直に返事。そして、
「バイバイ」
と何かに向かって手を振り、メノアの元にかけて行く。そして、二人は仲良く手を繋いで屋敷の中に入っていった。
―――管理者部屋
「いやー、今日のアリアちゃんも可愛かったねぇレイ君」
「そうですね~リンネ、あとたんは止めてください気持ち悪いです」
ホクホクした顔で見守り活動の感想を言い合う二人。
「えー流石に気持ち悪いは言い過ぎでしょ」
頬を膨らませてブーたれるリンネ。
「言い過ぎなんかじゃありませんよ。気持ち悪いものは気持ち悪いのです」
レイが追い討ちをかけるようにそう言うと、リンネは開き直ったように言う。
「いいもん、いいもん!!それじゃあ私だけアリアたんに直接会――って!危な!!」
レイがリンネにマナによる弾丸を射出。それはリンネの顔のすぐ横を通り過ぎ、管理者部屋の壁に当たった。
「リンネ」
レイが静かに冷たく言う。その表情は影によって読み取れない。
「僕らが何故管理者部屋からはなれずにアリアの見守り活動を続けているのかその理由を忘れたのですか?」
レイが静かに冷たく言う。相変わらず影により表情が読み取れない。
「え~と、私らがアリアたんのところに直接行っちゃうと、今アリアたんの回りにいるマナ生命体たちが私たちにビビっていなくなる。もしくはその逆で増えすぎちゃってアリアたんを困らせる原因になるおそれがあるから……だっけ」
「それだけわかっているのに何故アリアを困らせるようなことをしようとしたのですか?」
「いや、冗談だよ、ジョーダン。本当に行くわけ――」
二発目の弾丸がリンネの頬を掠めた。
「リンネ」とレイが冷たく言う
「僕、そういう冗談は嫌いです」
「あれ~そうだっけ?」
リンネの声が震えている。割りと本気で恐怖を覚えているみたいだ。
「すみません、言い直します。アリアを困らせるような発言、またはそれに準ずる発言は、たとえ冗談であろうと……許しません」
嫌いどころではなかった。
「レイ君、だけどもね。あまり過保護が過ぎるのも問題があると私は考える所存でありんす」
リンネが慎重に言葉を選びすぎて変な言葉遣いになる。
「過保護」
「ちょっとだよ、ほんのちょっと」
慎重に返事をするリンネ。
「僕が」
「アリアたんに」
「それは気が付きませんでした。確かに過保護はいけませんよね。それでもしアリアの人格形成に悪影響を与えてしまったら、僕は管理者としての任を放棄して贖罪のために頭を丸めて出家しているところでしたよ。いやー流石リンネ、僕の気が付かないところにしっかりと目が届いている。これからもそのしっかりとした眼でアリア健やかな成長を共に見守って行きましょう。そうしましょう。そうすべきです。そうしろ」
信じられないくらいの早口でまくし立てるレイ。良く見るとその眼のハイライトが消えている。
そこでリンネはう~んと考え、やがて口を開いた。
「よし!!レイ君はしばらくアリアたんの見守り活動禁止ね!!」
リンネから非情な一言が言い渡される。しかし、レイからの反応が一切ない。それを不審に思ったリンネがレイに近づいてレイの目前で手を振って見せる。
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