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第9章~眷属教育~
第53話 接触――私ちゃんとイエスロリータノータッチの精神を守ってるよ!!(ミルストリスは含まず)
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アリアが敵国の刺客に毒を盛られた事件から5日。リンネの解毒とレイの眷属になったことによる心身の強化により、アリアの体調は見事に回復し、またいつものように屋敷の庭で遊び回れるようになっていた。
「本当に良かった」
涙ながらに語るのはアリアの母メノアだ。
「だが、後遺症が残ってしまった」
バロルが残念そうに呟いた。確かに今のアリアの髪の色は美しい金髪から白色に変わり、瞳の色も澄んだ青色から、血のような赤色に変わっている。
「それでもアリアは生き延びることが出来ました。それに後遺症と言っても、目と髪の色が変わったこと以外は五体満足と言っても差し支えないほどです」
そうカルロスが言うとバロルが、
「そう言っていただけると私も救われた気持ちになります。しかし、あの時の不思議な光。やはりあれは主の奇跡であったのでしょうね」
そう言ってあの日のことを思い出す。
「ええ、主には感謝してもしきれません」
カルロスがそう言うと、三人は主への感謝の祈りを行った。
―――エクノルエ家の屋敷直上
「で、だ。皆アリア嬢に誰から接触するのが一番良いか、ちゃんと考えて来たんだろうな」
エクノルエ家の屋敷の直上にて四大使が勢揃いして、誰がアリアに一番最初に接触すべきかを決めようとしていた。
「んなもん全員でいいんじゃねぇのかぁ。いちいち一人ずつなんて面倒臭せぇことしなくても良いだろうがぁ」
そう言ったのはヤンキーモドキウニ頭こと『秩序』の参謀ガヘリスだ。
「バカか貴様、一度に見知らぬ者4人に囲まれて平気な7歳などいるか!!」
そう突っ込んだのは生真面目メガネこと『秩序』の長ヴァリスだ。
「じゃアミリスなんかどう?見た目も同い年くらいに見えるし」
そう提案したのは鉄腕プリティこと『秩序』の戦士長メルリリスだ。
「いやぁ、そりゃあ論外だろぅ。なんせミルストリスは無口だからな」
ガヘリスの言葉にコクリと頷いたのは、無口ロリことレイの護衛兼、諜報活動担当ミルストリスだ。
「コクリ、じゃない!!ミルストリス、貴様少しは他者との会話をだな……」
やんややんやと四人が人の屋敷の上で騒いでいると、アリアが四人の方を見つめていた。すると、ガヘリスが自分たちの方を見るアリアに気付き、
「おい!おい!!ヴァー公!!」
「なんだ、まだ私の話しは終わってないぞ!!」
「それどころじゃねぇよぉ。あれ、こっちに気付いてねぇかぁ」
とアリアのことを顎で差して言う。
「何をバカなことを、我々はまだ隠蔽を解いてはいない。だから、きっとあれだ、あの――そう!幼子が良くする虚空を見続けるやつ」
「いや、流石に7歳児はそんなことしないでしょ」
メルリリスが冷静に突っ込むと、
「おかーさまーお空に人が四人もいるよー」
とメノアに報告をしに行くアリア。するとメルリリスがやっぱりといった様子で言う。
「やっぱ完全にバレてんじゃない。で、どうする?」
「どうするもこうするも、バレたものは仕方がないこうなったら全員で接触するぞ!!」
「でも、手前ぇはさっき、四人で会うのは駄目だとか言ってたじゃねえか」
そうガヘリスがヴァリスに言うと、ヴァリスはフフフと不敵に笑い、我に秘策有りといった様子で言う。
「全員とは我らに限った話しではないわ!!」
――エクノルエ家の屋敷応接室
「と、言うわけで貴方がたのご息女は非常に、誠に、恐れ多くも名誉なことに我らが主の眷属となられた。そのため、ご息女が我らの主と拝謁するその時まで、我ら四大使がご息女の護衛と教育を主の命により行うこととなった。ここまではよろしいか?」
ヴァリスはそうアリア、カルロス、メノア、バロルの四人に説明する。説明された四人の内、アリアだけは意味が理解できているのか不明だが、喜び跳び跳ねている。が、他の大人三人は脳の処理が追いついていないのか、呆然とし、口を開けている。
「駄目だヴァー公、こいつら張本人を除いて皆頭の処理が追いついてねえぞぉ」
ガヘリスがそう言うと、
「む、そうか。まだダムアたちの方が脳の処理能力はあったのだが、この数千年で人類は退化してしまったのか?」
失礼なことを言うヴァリスにメルリリスが、
「いや、どう考えてもこの状況のせいでしょ。良いからヴァリスはしばらく黙ってなさいよ」
と突っ込む。ややあってカルロスたち三人の脳の処理が追いつきハッと我に返ると、三人の中で一番の年長者であり、精霊(マナ生命体)にも詳しいバロルが口を開く。
「し、失礼、あまりに突然の出来事に頭が追いつきませんでした――その、失礼を承知で今一度お聞かせ願いたい。貴方がたは本物の主の御使い様でよろしかったでしょうか?」
「本物のという意味がいまいちわからぬが、その通りだと言っておこう」
バロルの問いにヴァリスが答える。
「おお!!このバロル生きている間に本物の御使い様にお会いすることが出来ようとは、主のお導きに感謝いたします」
感動に打ち震え、涙するバロルだが、他の者は訳がわからないといった様子でバロルのことを見ている。
「バロル卿、本物の御使いとは一体?」
カルロスがバロルの言葉の意味を問う。
「本物の御使い様を前にして言うのも何ではあるが……エクノルエ卿、メノア殿、そしてアリアさん。今から私の言うことは決して口外してはなりませんよ」
バロルの言葉を聞きカルロスとメノアは生唾を飲み込み頷くが、意味のわからないアリアはメノアによって耳を塞がれる。
それを確認したバロルはゆっくりと口を開いた。
「今現在、ラバルディア聖王国に存在する御使いの中に、本物の御使いと呼べる者はただの一人もいません」
「そ、それは、どういう……」
「エクノルエ卿、貴方は御使いとはどういった者たちのことであるかご存知ですね」
「はい、御使いとは主からの祝福を受けた、魔力コントロールに秀で、隠れた精霊を見つけることの出来る者たちの総称。でしたよね」
「その通りです。そこで貴方は疑問に思いませんでしたか?主の祝福とはいえ、その信仰心に関係なく、たまたま精霊を見つけることの出来る人間のことをなぜ御使いと呼ぶのかと」
「それは!!正直に申し上げるとそう思うこともありました。生まれ持った才能一つで主の御使いになれる者となれない者とに分けられる理不尽さ、それに怒りを覚えたこともあります」
敬虔なラバルディア聖教の信徒たるカルロスが胸の内を明かす。
「そうでしょう。全く逆の立場の者として、貴方の怒り自分のことのように理解することが出来ます」
「全く逆、と言うことはまさか!!」
カルロスが何かに気付き驚愕すると、バロルは頷き、
「私は御使いなどにはなりたくはなかった人間なのです。御使いは総じて魔法への適正が高く、個人差はありすが御使い一人で一般兵100名を相手どることが出来ます。それ故、御使いとして認められた人間は強制的に兵器として運用されるようになる。その人間の性格的な適正など鑑みられることなく、ね」
バロルは悲しげな目をして言う。
「では、聖王陛下もその事を」
「当然知っていますし、むしろ進んでその事実を利用しています」
「そんな、では、聖王ラバル一世が主に王となるようにと神託を受けたという伝説は――」
「んな事実なんかねぇよぉ。大方、民をまとめるためとか、王になるための大義名分欲しさの、口から出任せだろうよぅ。一昔前は結構流行ったんだぜそういうやつぅなんせレイの奴はここ数千年人類との接触を断ってきたんだからなぁ。そりゃあ言いたい放題言えるってもんだぁ」
嘲笑うように言うガヘリス。
「そんな、それではラバルディア聖教の教えは――」
「宗教ってのは支配する側からすりゃあ、上手く扱えば民を動かすのに便利に使えるもんだからなぁ。神はこう言っているからこう動け、ってな具合にな。よく耳にしねぇかそういうの」
カルロスは愕然とし、バロルはただ目を瞑るのみ。
「では私が――我々が今まで信じてきたものは全て嘘と言うことになるのですか?」
「ああ、そう――」
ガヘリスが言いきる前にヴァリスがそれを手で制して止める。
「ガヘリス、たとえ真実とはいえど少しは相手のことを考えて発言しろ」
「へいへい」
「カルロス殿確かにガヘリスの言ったことに嘘はない。しかしな、それが一体なんだというのだ!カルロス殿たちが今こうして享受している秩序は、何によってもたらされたものなのだ?」
「それは――」
カルロスは自身の妻と娘を見る。
「ラバル聖王陛下たちの努力によるものです」
「では、結果オーライというやつだ。それに宗教の全てが全くの嘘とは言えないからな」
「悪魔の証明じゃねぇかぁ」
ガヘリスが笑いながらヴァリスに突っ込む。するとヴァリスが
「だがこれだけは言えるぞ。主は聖王国の――ラバルディア聖教の信徒たちが毎日主に祈りを捧げていることを知っておられる」
だからといって何をすると言うわけではないが。ガヘリスはそこまで言おうと思ったが言うことを止めた。宗教が人を救ったということもまた事実であることを知っていたからだ。
「それが聞けただけでも私どもは救われます」
そうバロルが言う。
「話が横道に反れてしまったな。アリア嬢の件、ご両親は了解された。ということでよろしいかな?」
ヴァリスがカルロスたちに問う。
「色々ありすぎてまだ状況が上手く理解できていないのですが、御使い様方の仰るようにいたします。」
そうカルロスが言うと、メルリリスが言う。
「と言っても、私たちがすることって、基本的にアリアちゃんの護衛と教育だから、貴方たちは普段通りの生活をしてて良いよ。むしろ屋敷の守りが堅くなってウィンウィンだと思うし」
「ウィ、ウィン?」
「兎に角私たちに任せとけってこと!!」
「わかりました。それでは娘のこと、どうぞよろしくお願いいたします」
―――数時間後、エクノルエ領南
数時間後バロルはアリアの一件を王に報告するため、早馬でエクノルエ領から王都へ向かっていた。
――まさか、本物の御使いが現れるとは、これは一刻も早く王に報告せねばなりません。それに幼子とはいえ、いや、幼子だからこそか、ラバルディアの御使いを狙うとはドルヘルは再び戦争でも――!!
突然バロルの乗った馬が何かに撃たれて倒れる。
バロルは間一髪、馬から飛び降りることにより難を逃れることが出来た。
「そのまま馬と一緒に倒れてくれりゃあ、まだ殺りやすかったのによう」
言って現れたのはクラウンの仮面を着けた道化師、この道化師はアリアに毒の飴玉を食べさせた道化師であった。
「まだこの国にいたのですね」
バロルが黒豹の精霊、ヴェルデを呼び出して臨戦態勢に入る。
「どういうわけか毒を盛った娘が生きてやがったからな。こっちとしては最低でも一人は御使いを殺らねぇと本国に帰れねぇんだよ。――だから獣使いマガン・バロル、あんたの命この死の道化師が殺らせてもらうぜ」
「老いたとはいえ、私も誇りある聖王国の御使いの一人です。そう簡単には死にませんよ!!」
翌日の朝、街道沿いにてバロルの惨殺死体が発見された。
「本当に良かった」
涙ながらに語るのはアリアの母メノアだ。
「だが、後遺症が残ってしまった」
バロルが残念そうに呟いた。確かに今のアリアの髪の色は美しい金髪から白色に変わり、瞳の色も澄んだ青色から、血のような赤色に変わっている。
「それでもアリアは生き延びることが出来ました。それに後遺症と言っても、目と髪の色が変わったこと以外は五体満足と言っても差し支えないほどです」
そうカルロスが言うとバロルが、
「そう言っていただけると私も救われた気持ちになります。しかし、あの時の不思議な光。やはりあれは主の奇跡であったのでしょうね」
そう言ってあの日のことを思い出す。
「ええ、主には感謝してもしきれません」
カルロスがそう言うと、三人は主への感謝の祈りを行った。
―――エクノルエ家の屋敷直上
「で、だ。皆アリア嬢に誰から接触するのが一番良いか、ちゃんと考えて来たんだろうな」
エクノルエ家の屋敷の直上にて四大使が勢揃いして、誰がアリアに一番最初に接触すべきかを決めようとしていた。
「んなもん全員でいいんじゃねぇのかぁ。いちいち一人ずつなんて面倒臭せぇことしなくても良いだろうがぁ」
そう言ったのはヤンキーモドキウニ頭こと『秩序』の参謀ガヘリスだ。
「バカか貴様、一度に見知らぬ者4人に囲まれて平気な7歳などいるか!!」
そう突っ込んだのは生真面目メガネこと『秩序』の長ヴァリスだ。
「じゃアミリスなんかどう?見た目も同い年くらいに見えるし」
そう提案したのは鉄腕プリティこと『秩序』の戦士長メルリリスだ。
「いやぁ、そりゃあ論外だろぅ。なんせミルストリスは無口だからな」
ガヘリスの言葉にコクリと頷いたのは、無口ロリことレイの護衛兼、諜報活動担当ミルストリスだ。
「コクリ、じゃない!!ミルストリス、貴様少しは他者との会話をだな……」
やんややんやと四人が人の屋敷の上で騒いでいると、アリアが四人の方を見つめていた。すると、ガヘリスが自分たちの方を見るアリアに気付き、
「おい!おい!!ヴァー公!!」
「なんだ、まだ私の話しは終わってないぞ!!」
「それどころじゃねぇよぉ。あれ、こっちに気付いてねぇかぁ」
とアリアのことを顎で差して言う。
「何をバカなことを、我々はまだ隠蔽を解いてはいない。だから、きっとあれだ、あの――そう!幼子が良くする虚空を見続けるやつ」
「いや、流石に7歳児はそんなことしないでしょ」
メルリリスが冷静に突っ込むと、
「おかーさまーお空に人が四人もいるよー」
とメノアに報告をしに行くアリア。するとメルリリスがやっぱりといった様子で言う。
「やっぱ完全にバレてんじゃない。で、どうする?」
「どうするもこうするも、バレたものは仕方がないこうなったら全員で接触するぞ!!」
「でも、手前ぇはさっき、四人で会うのは駄目だとか言ってたじゃねえか」
そうガヘリスがヴァリスに言うと、ヴァリスはフフフと不敵に笑い、我に秘策有りといった様子で言う。
「全員とは我らに限った話しではないわ!!」
――エクノルエ家の屋敷応接室
「と、言うわけで貴方がたのご息女は非常に、誠に、恐れ多くも名誉なことに我らが主の眷属となられた。そのため、ご息女が我らの主と拝謁するその時まで、我ら四大使がご息女の護衛と教育を主の命により行うこととなった。ここまではよろしいか?」
ヴァリスはそうアリア、カルロス、メノア、バロルの四人に説明する。説明された四人の内、アリアだけは意味が理解できているのか不明だが、喜び跳び跳ねている。が、他の大人三人は脳の処理が追いついていないのか、呆然とし、口を開けている。
「駄目だヴァー公、こいつら張本人を除いて皆頭の処理が追いついてねえぞぉ」
ガヘリスがそう言うと、
「む、そうか。まだダムアたちの方が脳の処理能力はあったのだが、この数千年で人類は退化してしまったのか?」
失礼なことを言うヴァリスにメルリリスが、
「いや、どう考えてもこの状況のせいでしょ。良いからヴァリスはしばらく黙ってなさいよ」
と突っ込む。ややあってカルロスたち三人の脳の処理が追いつきハッと我に返ると、三人の中で一番の年長者であり、精霊(マナ生命体)にも詳しいバロルが口を開く。
「し、失礼、あまりに突然の出来事に頭が追いつきませんでした――その、失礼を承知で今一度お聞かせ願いたい。貴方がたは本物の主の御使い様でよろしかったでしょうか?」
「本物のという意味がいまいちわからぬが、その通りだと言っておこう」
バロルの問いにヴァリスが答える。
「おお!!このバロル生きている間に本物の御使い様にお会いすることが出来ようとは、主のお導きに感謝いたします」
感動に打ち震え、涙するバロルだが、他の者は訳がわからないといった様子でバロルのことを見ている。
「バロル卿、本物の御使いとは一体?」
カルロスがバロルの言葉の意味を問う。
「本物の御使い様を前にして言うのも何ではあるが……エクノルエ卿、メノア殿、そしてアリアさん。今から私の言うことは決して口外してはなりませんよ」
バロルの言葉を聞きカルロスとメノアは生唾を飲み込み頷くが、意味のわからないアリアはメノアによって耳を塞がれる。
それを確認したバロルはゆっくりと口を開いた。
「今現在、ラバルディア聖王国に存在する御使いの中に、本物の御使いと呼べる者はただの一人もいません」
「そ、それは、どういう……」
「エクノルエ卿、貴方は御使いとはどういった者たちのことであるかご存知ですね」
「はい、御使いとは主からの祝福を受けた、魔力コントロールに秀で、隠れた精霊を見つけることの出来る者たちの総称。でしたよね」
「その通りです。そこで貴方は疑問に思いませんでしたか?主の祝福とはいえ、その信仰心に関係なく、たまたま精霊を見つけることの出来る人間のことをなぜ御使いと呼ぶのかと」
「それは!!正直に申し上げるとそう思うこともありました。生まれ持った才能一つで主の御使いになれる者となれない者とに分けられる理不尽さ、それに怒りを覚えたこともあります」
敬虔なラバルディア聖教の信徒たるカルロスが胸の内を明かす。
「そうでしょう。全く逆の立場の者として、貴方の怒り自分のことのように理解することが出来ます」
「全く逆、と言うことはまさか!!」
カルロスが何かに気付き驚愕すると、バロルは頷き、
「私は御使いなどにはなりたくはなかった人間なのです。御使いは総じて魔法への適正が高く、個人差はありすが御使い一人で一般兵100名を相手どることが出来ます。それ故、御使いとして認められた人間は強制的に兵器として運用されるようになる。その人間の性格的な適正など鑑みられることなく、ね」
バロルは悲しげな目をして言う。
「では、聖王陛下もその事を」
「当然知っていますし、むしろ進んでその事実を利用しています」
「そんな、では、聖王ラバル一世が主に王となるようにと神託を受けたという伝説は――」
「んな事実なんかねぇよぉ。大方、民をまとめるためとか、王になるための大義名分欲しさの、口から出任せだろうよぅ。一昔前は結構流行ったんだぜそういうやつぅなんせレイの奴はここ数千年人類との接触を断ってきたんだからなぁ。そりゃあ言いたい放題言えるってもんだぁ」
嘲笑うように言うガヘリス。
「そんな、それではラバルディア聖教の教えは――」
「宗教ってのは支配する側からすりゃあ、上手く扱えば民を動かすのに便利に使えるもんだからなぁ。神はこう言っているからこう動け、ってな具合にな。よく耳にしねぇかそういうの」
カルロスは愕然とし、バロルはただ目を瞑るのみ。
「では私が――我々が今まで信じてきたものは全て嘘と言うことになるのですか?」
「ああ、そう――」
ガヘリスが言いきる前にヴァリスがそれを手で制して止める。
「ガヘリス、たとえ真実とはいえど少しは相手のことを考えて発言しろ」
「へいへい」
「カルロス殿確かにガヘリスの言ったことに嘘はない。しかしな、それが一体なんだというのだ!カルロス殿たちが今こうして享受している秩序は、何によってもたらされたものなのだ?」
「それは――」
カルロスは自身の妻と娘を見る。
「ラバル聖王陛下たちの努力によるものです」
「では、結果オーライというやつだ。それに宗教の全てが全くの嘘とは言えないからな」
「悪魔の証明じゃねぇかぁ」
ガヘリスが笑いながらヴァリスに突っ込む。するとヴァリスが
「だがこれだけは言えるぞ。主は聖王国の――ラバルディア聖教の信徒たちが毎日主に祈りを捧げていることを知っておられる」
だからといって何をすると言うわけではないが。ガヘリスはそこまで言おうと思ったが言うことを止めた。宗教が人を救ったということもまた事実であることを知っていたからだ。
「それが聞けただけでも私どもは救われます」
そうバロルが言う。
「話が横道に反れてしまったな。アリア嬢の件、ご両親は了解された。ということでよろしいかな?」
ヴァリスがカルロスたちに問う。
「色々ありすぎてまだ状況が上手く理解できていないのですが、御使い様方の仰るようにいたします。」
そうカルロスが言うと、メルリリスが言う。
「と言っても、私たちがすることって、基本的にアリアちゃんの護衛と教育だから、貴方たちは普段通りの生活をしてて良いよ。むしろ屋敷の守りが堅くなってウィンウィンだと思うし」
「ウィ、ウィン?」
「兎に角私たちに任せとけってこと!!」
「わかりました。それでは娘のこと、どうぞよろしくお願いいたします」
―――数時間後、エクノルエ領南
数時間後バロルはアリアの一件を王に報告するため、早馬でエクノルエ領から王都へ向かっていた。
――まさか、本物の御使いが現れるとは、これは一刻も早く王に報告せねばなりません。それに幼子とはいえ、いや、幼子だからこそか、ラバルディアの御使いを狙うとはドルヘルは再び戦争でも――!!
突然バロルの乗った馬が何かに撃たれて倒れる。
バロルは間一髪、馬から飛び降りることにより難を逃れることが出来た。
「そのまま馬と一緒に倒れてくれりゃあ、まだ殺りやすかったのによう」
言って現れたのはクラウンの仮面を着けた道化師、この道化師はアリアに毒の飴玉を食べさせた道化師であった。
「まだこの国にいたのですね」
バロルが黒豹の精霊、ヴェルデを呼び出して臨戦態勢に入る。
「どういうわけか毒を盛った娘が生きてやがったからな。こっちとしては最低でも一人は御使いを殺らねぇと本国に帰れねぇんだよ。――だから獣使いマガン・バロル、あんたの命この死の道化師が殺らせてもらうぜ」
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