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第8章~アリア・エクノルエ~
第52話 責任――不必要な責任は負いたくない。
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――管理者部屋
「神、か――」
リンネが隣に立つレイを見る。その目は何かを品定めしているような、そんな印象を与える。そんなリンネの視線に気付いているのか、いないのか、レイは、
「あくまで個人の感想です。僕はただの管理者であって決して神などではありません」
その言い方は、聞く者によっては、神の存在を嫌悪しているようにも聞こえた。
「けど、私から見ればレイ君への皆の態度は神に対するもののようにも見えるけどね」
「それでもです。僕は自分自身のことを神だと言えるほどおごり高ぶってはいません」
「そうかい?」
どこか含みのある言い方をするリンネ。しかしレイはこれはいつものことと、リンネの相手をすることを止める。
「そんなことよりもアリアの容態です。リンネ、アリアを侵していた毒は完全に除去出来たのですよね」
「それは完全、完璧、十二全、1ミクロンもアリアたんの体に毒は残ってないよ」
言ってリンネは自信満々といった様子で胸を張る。しかし、レイの方はというと、目を伏せて「ただ」と前置き、
「後遺症が残ってしまいました」
レイは変わり果てたアリアの髪と瞳のことを言う。
「僕のせいです。僕が彼女を助けるべきか迷ってしまったから……」
「でも助かった。これは間違いなくレイ君のおかげだよ」
「ですが……」
それでもレイは納得しない。いや、レイは自分のことが許せなかったのだ。自分のことを誰かに責めて欲しかったのだ。
しかし、
「レイ君そうやって過去のことをウジウジ悔やんでいても誰も怒ってはくれないよ。と言うか私は怒らないし、誰にも怒らせはしない」
レイはハッとしてリンネの方を見る。リンネもレイのことを真っ直ぐと見ていた。
「だってレイ君、何も間違っちゃいないんだもん。アリアたんを助けたことは勿論。アリアたんを助けるべきか迷ったこともね。何も間違っていない人を怒るほどこのリンネさんは落ちぶれちゃいないさ」
「でも僕は――」
「でもも何もないよ。レイ君はアリアたんのことを私と一緒に助けて眷属にしたんだ。それに間違いはないでしょ」
「はい……」
「まーだ納得しないよ。ホントにこの子は――誰に似たんだか――ならこうすればいいよ。レイ君はこれからアリアたんが死ぬまでの間、ずっと一緒にいて、彼女に振りかかるあらゆる災いからアリアたんを守って、それを罪滅ぼしとする。なーに今の人類の寿命はせいぜい100年がいいとこでしょ。私らからしたらあっという間だよ」
リンネの提案にレイは考え込む、確かにそれは有りと言えば有りだ。最近は宇宙も安定していて、トラブルもほとんど起こらなくなっている。でも、
「それはエルバとラルゴ兄弟の事件の時のようなことを起こしかねません」
「だからそれも含めて守ればいいんじゃないか。元よりこれはレイ君のアリアたんに対する贖罪のためのものだろう?なら、多少の苦しみくらい許容しなきゃいけないよ」
珍しくリンネがレイに厳しめなことを言う。しかしその言葉はレイに効果的だった。
「幾つかの条件を加えても良いですか?」
「どうぞ、ご自由に」
「まず一つ、僕はアリアがちゃんと分別のつく年齢になるまで彼女と直接会うことはしません」
「それはまた何故」
「アリアの人格の増長を防ぐためです」
「でも、その間のアリアちゃんの護衛は誰がするのさ?」
「当然、この部屋からの見守り活動は続けますが――」
「続けるんだ」
「続けます」
そこには確固たる意志が感じられた。
「その間の護衛は四大使に任せます」
「あの子たち結構忙しくない?」
「一日交代ならなんとかなるはずです」
「ワーオ、ブラックぅ」
リンネが小さく呟いた。
「何か?」
「何も?」
「兎に角、僕がアリアと直接会うその日までは四大使にその守りを行ってもらいます」
「あいよ、わかった」
「それと、もし僕が彼女の守りに従事している時に宇宙で何らかのトラブルが発生した場合、僕はそのトラブルの方を優先します」
「彼女の守りじゃなくてかい?」
「僕が彼女の守りに入る必要のないくらいに、彼女を鍛えれば良いのです」
「それはまた――」
脳筋な。言いかけて、リンネは止める。
「何か?」
「何も?」
「では、以上を踏まえて上で眷属アリア・エクノルエに接触するということでよろしいですね」
レイが確認のためにリンネに訊くと、リンネが勢い良く手を挙げて言う。
「隊長!!まだ一つ決まっていないことがあります!!」
「それは何ですか?」
レイは嫌な予感がしたがとりあえず聞くことにする。
「私がアリアた――」
「駄目です」
聞くまでもなかった。
「神、か――」
リンネが隣に立つレイを見る。その目は何かを品定めしているような、そんな印象を与える。そんなリンネの視線に気付いているのか、いないのか、レイは、
「あくまで個人の感想です。僕はただの管理者であって決して神などではありません」
その言い方は、聞く者によっては、神の存在を嫌悪しているようにも聞こえた。
「けど、私から見ればレイ君への皆の態度は神に対するもののようにも見えるけどね」
「それでもです。僕は自分自身のことを神だと言えるほどおごり高ぶってはいません」
「そうかい?」
どこか含みのある言い方をするリンネ。しかしレイはこれはいつものことと、リンネの相手をすることを止める。
「そんなことよりもアリアの容態です。リンネ、アリアを侵していた毒は完全に除去出来たのですよね」
「それは完全、完璧、十二全、1ミクロンもアリアたんの体に毒は残ってないよ」
言ってリンネは自信満々といった様子で胸を張る。しかし、レイの方はというと、目を伏せて「ただ」と前置き、
「後遺症が残ってしまいました」
レイは変わり果てたアリアの髪と瞳のことを言う。
「僕のせいです。僕が彼女を助けるべきか迷ってしまったから……」
「でも助かった。これは間違いなくレイ君のおかげだよ」
「ですが……」
それでもレイは納得しない。いや、レイは自分のことが許せなかったのだ。自分のことを誰かに責めて欲しかったのだ。
しかし、
「レイ君そうやって過去のことをウジウジ悔やんでいても誰も怒ってはくれないよ。と言うか私は怒らないし、誰にも怒らせはしない」
レイはハッとしてリンネの方を見る。リンネもレイのことを真っ直ぐと見ていた。
「だってレイ君、何も間違っちゃいないんだもん。アリアたんを助けたことは勿論。アリアたんを助けるべきか迷ったこともね。何も間違っていない人を怒るほどこのリンネさんは落ちぶれちゃいないさ」
「でも僕は――」
「でもも何もないよ。レイ君はアリアたんのことを私と一緒に助けて眷属にしたんだ。それに間違いはないでしょ」
「はい……」
「まーだ納得しないよ。ホントにこの子は――誰に似たんだか――ならこうすればいいよ。レイ君はこれからアリアたんが死ぬまでの間、ずっと一緒にいて、彼女に振りかかるあらゆる災いからアリアたんを守って、それを罪滅ぼしとする。なーに今の人類の寿命はせいぜい100年がいいとこでしょ。私らからしたらあっという間だよ」
リンネの提案にレイは考え込む、確かにそれは有りと言えば有りだ。最近は宇宙も安定していて、トラブルもほとんど起こらなくなっている。でも、
「それはエルバとラルゴ兄弟の事件の時のようなことを起こしかねません」
「だからそれも含めて守ればいいんじゃないか。元よりこれはレイ君のアリアたんに対する贖罪のためのものだろう?なら、多少の苦しみくらい許容しなきゃいけないよ」
珍しくリンネがレイに厳しめなことを言う。しかしその言葉はレイに効果的だった。
「幾つかの条件を加えても良いですか?」
「どうぞ、ご自由に」
「まず一つ、僕はアリアがちゃんと分別のつく年齢になるまで彼女と直接会うことはしません」
「それはまた何故」
「アリアの人格の増長を防ぐためです」
「でも、その間のアリアちゃんの護衛は誰がするのさ?」
「当然、この部屋からの見守り活動は続けますが――」
「続けるんだ」
「続けます」
そこには確固たる意志が感じられた。
「その間の護衛は四大使に任せます」
「あの子たち結構忙しくない?」
「一日交代ならなんとかなるはずです」
「ワーオ、ブラックぅ」
リンネが小さく呟いた。
「何か?」
「何も?」
「兎に角、僕がアリアと直接会うその日までは四大使にその守りを行ってもらいます」
「あいよ、わかった」
「それと、もし僕が彼女の守りに従事している時に宇宙で何らかのトラブルが発生した場合、僕はそのトラブルの方を優先します」
「彼女の守りじゃなくてかい?」
「僕が彼女の守りに入る必要のないくらいに、彼女を鍛えれば良いのです」
「それはまた――」
脳筋な。言いかけて、リンネは止める。
「何か?」
「何も?」
「では、以上を踏まえて上で眷属アリア・エクノルエに接触するということでよろしいですね」
レイが確認のためにリンネに訊くと、リンネが勢い良く手を挙げて言う。
「隊長!!まだ一つ決まっていないことがあります!!」
「それは何ですか?」
レイは嫌な予感がしたがとりあえず聞くことにする。
「私がアリアた――」
「駄目です」
聞くまでもなかった。
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