最強賢者の転生譚~転生したら世界のルールが変わっていて村人に! それでも過去の己を倒すために最強を目指す~

凛音 麻利

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4:賢者、大きな樹を見つける

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 醜態を晒した翌日。

 儂は転生先に選んだ小屋を出て下山していた。
 腰には剣を一つ、背中には麻袋を背負い準備は万端だ。

 本来なら転生前の物を使うのは良くないような気がするのじゃが、今はまだ弱い。
 もしもの為の護身用ということで自分を納得させた。

 木の実なんかを手に下山しているわけだが、


「うむ。やはり魔物が一匹もおらんのぅ」


 転生からの二週間弱。

 小屋とその周辺で過ごしてきた。
 基本的にその範囲でしか行動しなかった。
 だからそれ以外の範囲にはもしかしたら…と思っていたのじゃが。

 まぁ、気にしても仕方ない。
 さっさと先に進むとするかの。






 小屋を出て数時間たったところで随分と場違い感漂うものを見つけた。

 ん?
 あれは…


「随分と大きい樹じゃのぅ。それも…」


 いくつもある。
 数えるのも面倒…というわけではないが、片手で数えるほどにはある。

 他の木はどんなに大きくても三、四メートル程度だが、その樹は十メートル位ある。
 ずば抜けて大きい。

 一番近いのはここから下山した先にあるようだ。
 それから二時間ほど下ると木の近くに出れた。

 降りた先、そこには村があった。
 どうやら村の中に大樹があるようだ。

 周囲を木の柵に囲まれているが随分とボロボロじゃのぅ。
 これでは意味なかろうて。

 それに今更気付いたが大気中の魔力濃度がかなり低い。
 こりゃ魔物がいないのも納得じゃのぅ。

 魔物とは人工的に生成しない限りは魔力溜まりと言う魔力が一定以上に溜まる場所から生まれるとされている。
 しかし、その魔力溜まりの量は周囲の環境によって左右される。

 大気中の魔力の濃度が高ければより強く、大きな魔物が生まれるが、少ないと弱く、小さな魔物になる。

 ここらの大気中の魔力はないわけではないが薄い。
 それもかなり。

 これも時間共に変わったということか?

 そんなことを考えながら進んで行くと村人を見つけた。


ぬしよ、ちょっといいかのぅ?」

「ん、何だ…」


 目を点にして儂を見てくる男性。
 歳の頃は三十くらいか。
 弱い四百の儂が言うのもあれじゃが、おっさんじゃな。


「なんじゃ、儂の顔に何か付いているか?」

「あ、いや… ちょっと驚いてな」

「はて、そんな驚くようなことがあったかのぅ?」

「…なぁ、あんた見た目の割に随分と古臭い口調だって言われないか?」

「…」


 なるほどのぅ。
 すっかり忘れておったわい。

 さすがにこの見た目で爺くさい口調は違和感があったわな。


「これは、あれじゃ。儂の爺様の真似だ」

「そうか。でもその真似はやめた方がいいと思うぞ。で、俺に何か用か?」

「そうじゃ… そうだ。この村にあるんじゃ…     あるんだ。あの大樹について聞きたい」

永樹えいじゅのことか?」


 永樹?

 顎に手を当て考える仕草をとる。

 永樹、永樹、永樹…

 まさか…


「のぅ… なぁ、永樹とはまさかとは思うが魔力を吸い込む樹で合ってるかのぅ…?」

「なんだ、知ってるじゃんか。その永樹だ。おかげでここら一帯の魔力は吸われて作物の育ちも悪くてたまんねったらない…」

「切ればいいじゃろ…だろ?」

「無理だ。あれは再生能力があって生半可な攻撃じゃすぐに再生しちまう」

「再生じゃと…? ちょっと待ってくれ。永樹のことについて儂…俺は聞いてるんだが?」

「何言ってるんだ? 俺は永樹に関して喋ってるだろうが」


 はい?

 永樹にそんな能力なんてないぞ?
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