異世界でカイゼン

soue kitakaze

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第167話 太守となる?!

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「神もワシぐらいになるとなぽりぽり、食事など必要なくてなぽちぽち、毎日が退屈なのじゃよざくざくざく」

 そう言いながら、さっきからポテチを食べ続けているアメノミナカヌシノミコトである。まったく手が止まる様子はない。

「そうですわねぽりぽり。私だって食べなくてもぽり、ひと月やふた月は平気ですわよぽりり」

 SM嬢、お前もか。

「神というのは修行が進むと、そうなるものなのじゃよぽっりぽりぽーりぽり」

 思い切り食べてんじゃねぇか! どの辺の修行が進んだんだよ。さっきからオウミが何往復してると思ってんだよ。商売ものを食い散らかしやがってからに。

「「いやぁ。これはうまいな!」」

 そこで褒められても嬉しくねぇよ!

「次からは有料にするからな」
「「えええっ!?」」

 なんだその俺がイケナイことを言ったかのような反応は。いつまでもあると思うな仕事とポテチ。

「来年、ジャガイモがたっぷり収穫できたらまた持ってきてやるから、その辺にしておけ。今はまだ生産量が少ないんだよ」

「そうなのか、ぽりぽり。それはとても残念ぽりぽりざぁぁぁー」
「ああっ、袋に残った最後の粉を一気に食べましたわね!! 私も狙っていたのにもう、アメノミナカヌシノミコト様ったら意地汚いですわよ」

 どっちもどっちである。

 話し合いの後、人を派遣するタイミングとか人数とか地域とか、いろいろ細かい取り決めを行った。

 もちろんそれには俺は参加していない。もう俺の仕事は終わったのだ。

 ときどき助言を求められたのはレンチョンだった。実務ではとても優秀な男なのだ。どんな質問にも滑らかに答えていた

 それでいてトヨタ家の利益を損なうことだけは絶対言わないのだから、そうとうなくせ者である。どこかのプロ野球チームの元木大介のようである。

「名前でちゃってるノだ?!」
「誰がくせ者ですか!」

「ちゃっかりこの宮殿のリフォームの見積もりを提出していたじゃないか」
「ええ、ここはあまりに古いですからね。いい加減に改築しないと、地震でもきたら危険ですよ、と言ったら一発でした。2,800万の受注をゲットです」

 ふぁあ!? 俺のいないところでそこまでやってたのか?!

「それでもちょっとした補強と、この謁見室を改築するだけですけどね。ここはまだまだ宝の山です」
「エースも喜ぶことであろう。しかし、ここに支払い能力はあるのか?」

「我々の2,000万の献金をあてがっても足りませんし、でもどのみち、それは無理でしょう」
「なんでまた?」

「現状ではそれも貴族報酬用として予算計上されているようですから」
「献金を予算に入れてどうすんだよ。なくなったら即穴が開くじゃねぇか」

「現在ではとても無理ですが、財政再建されれば問題ないと考えてます。そもそも7カ国を外したとはいえ、この国の税収が100億なんてレベルなはずないのですよ。その2倍、もしかすると5倍くらいはあると私は見ています。ミノウ様の決算書が有効になれば、そのぐらいの収入にはなるでしょう。それなら支払い能力はうはうはですよ」

 うはうはですってよ奥さん。怖いですねー。

「その上にユウさんのアイデアで、貴族への報酬見直し、地域投資による税収増も見込まれます。来年度以降の支払いに関しては問題はないかと思われます。ウチとしては、オワリ国の監査員をまかせされたことがなにより大きいですけどね」

 監査員になってなにをする気でしょうね?

「好き勝手にできる、という意味で」

 正直だな、おい!?

「ところでユウ。まだ帰らないノか?」
「どうしたもんかな。俺を呼び出したやつがいなくなっちゃったからなぁ。帰る機会を失ってしまったんだ。オウミは帰りたいのか?」

「うむ、ここの好素はあまり質が良くないノだ。早くミノに帰りたいノだ」
「お前の帰るところはニオノウミだろうが。でも、そんなにひどいのか、ここは」

「ひどいノだ。ホッカイは量は少なかったが、それほどまずいわけではなかったノだ。ここはそれがひどいノだ。もう嫌になったノだ」
「少ない、ではなくてまずいのか」

「そうなノだ。量が少ないのは人口が少ないから致し方ないノだが、ここの好素は質も悪いのだ。そうとう悪政を続けてきたノだろう。けしからんノだ」

「ここの統治は、誰がやってたのか分かるか?」
「おそらくは、誰も」

「はぁ? 誰もってことはないだろ。じゃあ、税金はどうしてたんだ?」
「貢ぎ物を強制徴収していたノであろうな。民はそうとう疲弊しているノだ。好素の質で分かるノだ」

「本来ならそれはオオクニの仕事なのかな?」
「それはそうなノだ。実務はタケチャンだろうけど」

「おい、タケ。お前はいつもなにをして過ごしているんだ?」
「あのチャンまで抜けたようなのですけど、もう呼び捨てですか。私は来客がなければ、ひたすら剣を振ってます」

 お前はハルミか。

「じゃあ、この国の状況がどうなっているのか、全然知らないと」
「ええ、それは私の仕事じゃありませんから」
「そういえばお前は武官であったな。それじゃ文官はどこにいる?」

「えっと、今は、さて、どこに行ったものやら」
「逃げられたのか?」
「なにしろ給料が出ませんので、今残っているのは、私の他は少数の魔物ぐらいです。かつては人間も大勢働いていましたが、今はひとりもいません」

 日本を統べる神に、使えるものが武官ひとりかよ。

「どうしよう、オウミ。俺、本気でここを乗っ取りたくなったぞ」
「うむ、そういうことなら協力するノだ」

「あの、そういう話は、なるべく我のいないところでして欲しいのですけど」

「レンチョン、その場合、最初にすべきはなんだろう?」
「そうですね。まずそこにいるタケチャンをふん縛ることですかね?」

「だからそいうことは止めわぁぁぁぁぁぁぁ」
「完了なノだ」
「弱いなおい!」

 武官とはいったい?

「ぎゃぁぁぎゃぁぁぎゃぁぁ」
「これで首長のオオクニはいない、唯一の戦力であるタケは拘束した。次は?」

「そうですね。実権を握るにはアメノミナカヌシノミコト様の承認が必要でしょうね」
「おーい、アマチャン!」

「ほいよ、呼んだかのぽりぽり」
「まだ食ってんのか、どこにあったんだよそれ」

「オウミに持って来させたのじゃ、ぽれぽりぽれぽり」
「俺の魔王を勝手に使うなよ。オウミも黙って使われてんじゃねぇよ!」

「すまんノだ。しかし、創造神には逆らえないノだ」
「お前をニオノウミの魔王にしてくれた恩人だからか?」
「いや、力で勝てないからなノだ」

「我々の上下というのはすべて力で決まるのじゃよ、ユウ。ところでなんでタケチャンは縛られておるのかの?」

「あらら。言ってくだされば私がしましたのに。でも、両手を縛っただけでは不十分ですわ。これはこうして、こうして、さらにこうなって、こうしてこう。どう、良いできでしょう?」

 そこには全身を亀甲縛りにされたタケチャンがいた。ものの1分とかからない早業であった。すげー。

「なんなノだ、あれ。我はあんなの見たことないノだ。ただの縄がどうしてあんな複雑な模様を作るノだ。ちょっと観察してくる」

「やめとけ! お前にはまだ早い」
「早いノか?! どうして??」

 あともう1,400年待て。その頃には時代も変わるだろう。

「こ、こんな、こんな辱めを、受けるぐらいなら」
「あらタケチャン、いったいどうするのかしら?」
「服を全部脱がしてもらいたい」

 やかましいわ!! 変態ばっかりか、ここは。

「だって、服はこれしかないのにシワになっちゃうぅ。あ、あぁあぁ? 動くとなんか縄がどんどん締まる気がするのですけど、なんですかこれ」
「だんだん縄が身体に馴染んで行くような縛り方ができるようになれば、一人前ですのよ」

 なんの一人前ですかね?

「あら。あららら。あぁん、ちょっと、あの、ちょっと、ヤズヤ様 痛いっぃぃぃ」
「誰が青汁メーカーですか。私の名前を間違えた罰です。これをこうしてぎゅっと」

「あたたた、痛痛い痛たたたた。そこをひっぱらないで、ちょっとちょっと、ちょっとした冗談だったのですがぁぁぁ、スセリさまぁぁぁぁ。お股が裂けそうっ」
「しばらくそうしてなさい」

「ところで、どうしてタケチャンは縛られておるのかの その2」
「この国を俺がもらおうかと思ってな。アマチャン、承認してくれ」

「ちょっと待ってくださる。さきほど私が代行になるという話をしたばかりですわよ」
「それはニホン国の首長の話だ。このイズモ国の統治は現在誰もやっていない、そうだろ?」

「「あっ?!」」

 今になって気づいたんかい!! どんだけ抜けてるんだよ。うっかり神って呼んでやろう。

「そういうことだから、ここの民が疲弊しているんだよ。全国を見るのはもちろんだが、自分の足下を見ないでどうするよ」
「そうでしたわね。すっかり失念をしておりましたわ。どうしましょう、アメノミナカヌシノミコト様」

「ワシもうっかりしておったぽりぽり。じゃあ、このポテチ17袋と交換でお主にまかせよう」
「じゃあ、私にはそのユウコさんを縛る権利をくださる?」

「ちょっと、どうしてそこで私の名前が出てくるんですか!」
「ふざけんな!! こんなダメな経営しておいていまさら交換条件を出せた義理か。俺が建て直してやるって言ってんだぞ、ありがたく思いやがれ!」

「そ、そうか、それはすまん」
「あら、残念だわ」

「ユウコならときどき貸してやっても良いけどな」
「ユ、ユウ様、お願い、見捨てないで、そんなこと嫌だから、絶対に拒否しますからね。SMダメ。絶対!」

 ユウ様になってんぞ。しかしユウコ、お前だんだんいいキャラになってきたなぁ。これからの成長が楽しみだ。変態的な意味で。

「それだけボリュームがあって、縛りがいのある女の子はなかなかいませんわよ」
「そうかもしれない。俺もちょっと見てみたい」
「嫌ですってば!!」

「人間に管理をまかせるのは始めてじゃが、お主なら大丈夫であろう。よろしく頼む。ほな、よろしく!」

 アマチャンがそんな呪文を唱えると(呪文かよ、あれ)、俺は正式にイズモ国の……なんだろ? 太守とでもいうのかな? に就任することになった。


「一国の太守となったノか。男爵どころではないノだ。どエラい出世ではないか。我とほぼ同格であるノだ」
「からかうなよ。いつまでもやる気はない。軌道に乗ったらオオクニに返してやるつもりだ」

「え? 返しちゃうノか?」
「でないと、やつがあまりに不憫だろ? 首長の座は追われ、この国の統治権さえも奪われ、妻にはむちで打たれ」

「最後のは関係ないと思うノだ。それはまあ、そうなノだが。お主がそんな優しいことを言うとは意外すぎるノだ」

「やかましいよ。ほんとのことを言えば、俺が欲しいの利益のみだ。ここの特産品の開発や流通の構築をするのに、太守という権力があったほうが簡単だと思っただけだ。利益が出せるようになったら、おさらばするよ」
「なるほど、それでこそユウなノだ」

「それから、魔王のいる地域も普通に徴税して良いのではないかな、という案もあったのだが、とりあえず黙っておいた」
「そ、そ、それを言ったら絶交なノだ!!」

「わはは。動揺してるな。だが、それは俺の利益に反することだ。損することなんか俺が言うと思うか?」
「それだけは信頼しているノだ」
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