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第280話 イリヒメの助言
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「どうしてだろうな?」
だぁぁぁぁぁぁぁぁ。皆がコケた音である。
これだけウソを積み重ねてまで誤魔化そうとしているのは。に続くセリフがそれだった。
これでコケなければ、いつコケるときがあるのかと。
「そ、そ、それなら、分かっているようなこと言わないでくださいよ!」
「いや、分かっているよ。ただ、なんのためにか、というのが分からんのだ」
「分かっているけど分からないノか?」
「つまり、どういうことヨ?」
「それはだな、分かっていることもあるが、分かっていないということゾヨ」
「ますます分からんノだが」
「お前ら、ない頭で考えるのは止めた方がいいぞ」
「「「そうするノだゾヨヨ」」」
えっと。ユウさんの言いかけたことは、シロトリさんが誤魔化している張本人だということだろう。ということは。
「この水晶をガメたのはシロトリさんたちなのですね」
「それは間違いない。分からないのは、その目的だ」
「シロトリ。どういうことだ!」
「だからナガタキは分かってるんだろ? 今さら取り繕うな!」
「ほりゃりゃらほいのほーのほひ?」
「誤魔化し方までワンパターンかよ。この水晶を盗んでは金に換えていた? のは、お前の指図だろ」
「ほりゃりゃらほいのほーのほひ?」
「やかましいわ!! 誰に借金をしたんだ?」
「いえ、借金はしていません。うちは裕福なので。ナガタキ様、もうすべて打ち明けましょう」
「ほりゃりゃらほいのほーの……ほひ」
ちょっとだけ変わった?
「俺の推定を話すぞ。おそらく5年ほど前。お前らは偶然ここに来た。そのときはホシミヤにお参りに来ただけだったかも知れない。しかしナガタキが遊び半分でアレをおかしな触り方をしたら、ここに飛ばされた。違うか?」
「まったくその通りです。あの、イズモ公。すべてお話しいたしますので、お願いがあります」
「こっちは迷惑をかけられた側だ。お願いされる筋合いはないぞ」
(ユウさん、珍しく怒ってる?)
(ボクが強く咬みすぎたモん?)
(あんたは関係ないから黙っててね)
「この利権をすべてあなたに差し上げます」
「分かった。話を聞こう」
利権と聞いたとたんに豹変した?! でも、利権ってこの水晶を売っているということかしら。
「ちょっとちょっと! シロトリ! そんなことしたら!」
「ナガタキは黙ってろ!! シロトリ、話を続けろ」
「ナガタキ様は幼少より身体が弱く、熱を出して寝ている日のほうが多いぐらいの方でした」
「そうだったの?」
「あ、うん、そうなのスクナ。それはこの魔力のせいだったんだけどね。そのときは分からなかったの」
「魔力のせい?」
「ハクサン家は神の家系なのに、私の体内には魔力があって、それが私の中でケンカしていたの」
「はた迷惑なケンカね」
「ケンカ始めると分かるのよ。やんのかこらぽかすか、あたいにケンカ売ってんのかぼけかすこのやろ、って。それだけで疲れちゃって熱が出るの」
どこかで見たことがあるような?
「いまは元気になっているようだな」
「はい。しかし、その頃は熱の原因も分からず、ニホン中から医者や魔法師、忍者、祈とう師を呼び、くっそ高いクスリを処方してもらい忍術をかけ祈祷をさせました」
「忍術は関係ないと思うのだが」
「そのぐらい切羽詰まっていたという比喩的表現です」
「比喩かよ! いいから事実だけを言えよ」
「でもどんな治療もさしたる効果はなく、途方に暮れていたある日。イリヒメ様がお見舞いにやって来てくれました」
「おっと、そろそろ役者がそろってきたな」
「え? あ、はい。ナガタキ様の病気のことを聞き、医療の心得があると言って診てくださったのです。イリヒメ様がおっしゃることには、体内にある魔力の暴走を抑える必要がある、とのことでした」
「そのとき魔力があることが分かったのか?」
「あるんじゃないかと予測はしていましが、そのとき確証を得たということです。しかし、それを制御する方法を私たちは知りませんでした。溺れたときの藁も同然にイリヒメ様の見立てに従い、魔力を抑える方法というのを試してみようということになりました」
「それがここと関係あるのか?」
「いえ、ここではありません。イリヒメ様はただ、あちらのダンジョンの中にいろと指示をされたのです」
「そっちか。中でいったいなにをするんだ?」
「入り口のアレをナニすればダンジョンに入れるということを、イリヒメから教わりました。そしてダンジョンに週に2回。1時間だけ中にいればいいと」
「あのダンジョンの中にただいるだけの治療……好素か?」
「ええ。それはあとから分かったことです。好素を口や皮膚から吸収することで、体内にある魔力を身体に馴染ませたのです」
「魔力を押さえつけるのではなくて、馴染ませるのか」
「ええ。暴走する魔力を押さえつけるのはとても無理だから、身体に馴染ませろと。イリヒメ様はそうおっしゃってました。それが魔力を制御することに繋がると」
「実際にその日から私はみるみる健康を取り戻したの。熱がない身体がどんなに貴重か、私は実感したわ」
「じゃあ、イリヒメは救いの神だったわけだ」
「その通りです。それでめでたしめでたしとなれば良かったのですが……」
「この裏庭の話に繋がるわけだな」
だぁぁぁぁぁぁぁぁ。皆がコケた音である。
これだけウソを積み重ねてまで誤魔化そうとしているのは。に続くセリフがそれだった。
これでコケなければ、いつコケるときがあるのかと。
「そ、そ、それなら、分かっているようなこと言わないでくださいよ!」
「いや、分かっているよ。ただ、なんのためにか、というのが分からんのだ」
「分かっているけど分からないノか?」
「つまり、どういうことヨ?」
「それはだな、分かっていることもあるが、分かっていないということゾヨ」
「ますます分からんノだが」
「お前ら、ない頭で考えるのは止めた方がいいぞ」
「「「そうするノだゾヨヨ」」」
えっと。ユウさんの言いかけたことは、シロトリさんが誤魔化している張本人だということだろう。ということは。
「この水晶をガメたのはシロトリさんたちなのですね」
「それは間違いない。分からないのは、その目的だ」
「シロトリ。どういうことだ!」
「だからナガタキは分かってるんだろ? 今さら取り繕うな!」
「ほりゃりゃらほいのほーのほひ?」
「誤魔化し方までワンパターンかよ。この水晶を盗んでは金に換えていた? のは、お前の指図だろ」
「ほりゃりゃらほいのほーのほひ?」
「やかましいわ!! 誰に借金をしたんだ?」
「いえ、借金はしていません。うちは裕福なので。ナガタキ様、もうすべて打ち明けましょう」
「ほりゃりゃらほいのほーの……ほひ」
ちょっとだけ変わった?
「俺の推定を話すぞ。おそらく5年ほど前。お前らは偶然ここに来た。そのときはホシミヤにお参りに来ただけだったかも知れない。しかしナガタキが遊び半分でアレをおかしな触り方をしたら、ここに飛ばされた。違うか?」
「まったくその通りです。あの、イズモ公。すべてお話しいたしますので、お願いがあります」
「こっちは迷惑をかけられた側だ。お願いされる筋合いはないぞ」
(ユウさん、珍しく怒ってる?)
(ボクが強く咬みすぎたモん?)
(あんたは関係ないから黙っててね)
「この利権をすべてあなたに差し上げます」
「分かった。話を聞こう」
利権と聞いたとたんに豹変した?! でも、利権ってこの水晶を売っているということかしら。
「ちょっとちょっと! シロトリ! そんなことしたら!」
「ナガタキは黙ってろ!! シロトリ、話を続けろ」
「ナガタキ様は幼少より身体が弱く、熱を出して寝ている日のほうが多いぐらいの方でした」
「そうだったの?」
「あ、うん、そうなのスクナ。それはこの魔力のせいだったんだけどね。そのときは分からなかったの」
「魔力のせい?」
「ハクサン家は神の家系なのに、私の体内には魔力があって、それが私の中でケンカしていたの」
「はた迷惑なケンカね」
「ケンカ始めると分かるのよ。やんのかこらぽかすか、あたいにケンカ売ってんのかぼけかすこのやろ、って。それだけで疲れちゃって熱が出るの」
どこかで見たことがあるような?
「いまは元気になっているようだな」
「はい。しかし、その頃は熱の原因も分からず、ニホン中から医者や魔法師、忍者、祈とう師を呼び、くっそ高いクスリを処方してもらい忍術をかけ祈祷をさせました」
「忍術は関係ないと思うのだが」
「そのぐらい切羽詰まっていたという比喩的表現です」
「比喩かよ! いいから事実だけを言えよ」
「でもどんな治療もさしたる効果はなく、途方に暮れていたある日。イリヒメ様がお見舞いにやって来てくれました」
「おっと、そろそろ役者がそろってきたな」
「え? あ、はい。ナガタキ様の病気のことを聞き、医療の心得があると言って診てくださったのです。イリヒメ様がおっしゃることには、体内にある魔力の暴走を抑える必要がある、とのことでした」
「そのとき魔力があることが分かったのか?」
「あるんじゃないかと予測はしていましが、そのとき確証を得たということです。しかし、それを制御する方法を私たちは知りませんでした。溺れたときの藁も同然にイリヒメ様の見立てに従い、魔力を抑える方法というのを試してみようということになりました」
「それがここと関係あるのか?」
「いえ、ここではありません。イリヒメ様はただ、あちらのダンジョンの中にいろと指示をされたのです」
「そっちか。中でいったいなにをするんだ?」
「入り口のアレをナニすればダンジョンに入れるということを、イリヒメから教わりました。そしてダンジョンに週に2回。1時間だけ中にいればいいと」
「あのダンジョンの中にただいるだけの治療……好素か?」
「ええ。それはあとから分かったことです。好素を口や皮膚から吸収することで、体内にある魔力を身体に馴染ませたのです」
「魔力を押さえつけるのではなくて、馴染ませるのか」
「ええ。暴走する魔力を押さえつけるのはとても無理だから、身体に馴染ませろと。イリヒメ様はそうおっしゃってました。それが魔力を制御することに繋がると」
「実際にその日から私はみるみる健康を取り戻したの。熱がない身体がどんなに貴重か、私は実感したわ」
「じゃあ、イリヒメは救いの神だったわけだ」
「その通りです。それでめでたしめでたしとなれば良かったのですが……」
「この裏庭の話に繋がるわけだな」
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