異世界でカイゼン

soue kitakaze

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第286話 責任はユウ?

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「サ、サ、サカイの商人ですって?!」
「はい。それがイッコウの引き取り先です」
「それ、なんて信長の野望?」

「スクナさんは年代的にそっちなのですね」
「あ、しまった。そんなことはともかく、それなら隠す必要なんかないでしょうが」

「禁則事項です」
「シロトリさんは年代的にそっちの人!」
「私にはカミカクシの知り合いが多いので、いろいろと情報を仕入れています」

 そんなものを仕入れるヒマがあったら、ソロバンでも習いなさいよ。

「ともかく、カント様にイッコウをサカイの商人のところに運んでもらってそこで」
「売りさばいたと、いうわけね」
「はい」

「どうやって運んだの?」
「イッコウをカゴに入れて運びます。標準のゲージで5匹ずつが限度ですね」
「え? 転送とかじゃないの?」
「サカイにはなんの伝手もないので、ゲートは作れません。長距離輸送のできる魔法使いもいないので、それしかないのですよ。おかげで手数料が高くついてしまって」

「ああ、愚痴はいいから。ここからサカイまでは直線で250kmぐらいかしら。魔スーパーマンなら片道3時間ちょっとぐらいね」
「2時間ごとに30分の休憩が必要ですし、高い山は迂回する必要があるそうで。片道4時間で契約させられました」
「なにその長距離運転手?! でも、伝書ブタならもっと安いのでは?」

「伝書ブタで生き物は送れませんからねぇ」
「あら、そうなのね」

「だから高い運賃を支払ってでも、カントさんと契約するしかなかったのです」
「契約?」

「カント様は、サカイで雑貨屋を営む社長なのですが、スーパー運送という運送会社も経営しているのです。長距離輸送はなり手が少ないそうで、社長自らチャーター便を引き受けてくださいました」

「こ、この世界ではスーパーマンが雑貨屋や運送会社を経営しているの?」
「違いますよ。魔スーパーマンです。それとここではなくてサカイです」

「そんなのどっちでもいいから! スーパーマンってあっちの世界では正義の味方だったでしょ。もっと他にその能力を生かせる仕事がないのかなって」

「チャーター便はかなり危険を伴うので、腕に自信がないとできないそうですよ。暴力的な意味で」
「運ぶだけなのに?」

 休憩まできっちり取るくせに?

「天候が荒れることもあれば、魔物もでます。空の魔物は強いです。ここの流通をなめない方がいいです」

「そうなのね。私の知らないこと、まだまだいっぱいあるなぁ。で、イリヒメに相談して、サカイの商人であるカントさんを紹介してもらったと。そしたらカントさんは、運搬から販売まで引き受けてくれた、と。そういうことかしら」

「ええ。そうです。イリヒメへの紹介料がまた高くてあぎゃごごがららぎゃぎゃ?」

 簡単にひっかかりおった。やっぱりこの人はちょろい。それと誤魔化すのヘタ。

「それはもう話の流れで分かるわよ。黙っててあげるから、なにもかも話しちゃいなよ?」
「どこかの芸能事務所社長ですか。そうはいきませんよ。話はここまでです」

「待って。ということは、こちらの人とカントさんとの付き合いは浅いってことよね?」
「はい、まだ1週間ほど。7往復ぐらいしてもらっただけですね」
「それにしては、そのエロ姫とはずいぶんと打ち解けてたようだったけど?」

「誰がエロ姫だ!! この貧乳っ子」
「やかましい!! 発展途上胸と言えとあれほど」
「ストップ!! そこまでです。また高価な茶碗などを割られたらかないません。その辺にしてください」

「私は人たらしだと最初に言っただろうが。誰とでもすぐに仲良くなれるスキルがあるんだよ」
「へぇ、そうですかー。そのスキル、私にはちっとも効かないようね。色仕掛けでもしてんじゃないの」
「この私に色気などあるかぁぁ!!」

「ないわね。これは失礼ずずっ」
「こ、この、なにを言わせるんだ! この性悪女めぇぇぇ」

 スクナの1本勝ちである。

「サカイってどんな土地なのですか?」
「もう言いません……あ、サカイのことですか。それならいくらでもお話しましょう」

 乗ってきた乗ってきた。なんでもいいから話してもらおう。

「カンサイにもヤマトにも近いんですよね」
「そうです。でもそれよりも、もっと大きいのは、良港があるということですね」
「港ならあちこちにありそうだけど」

「サカイは瀬戸内海航路の突き当たりなのですよ。そこで荷を下ろせば食の街・ヤマトにも、商人の街・カンサイにも、簡単に運ぶことができるのです」
「あっ。そういう立地なのね」

「ホッカイ国のコンブとか木材とかも、たくさん運ばれて来るそうですよ」
「ホッカイ国からも?!」
「ええ。遠いようでも案外近いのです。この世界での流通は船が担っています。港があるかないかで、貧富の差が生まれるほどです」

「だからサカイは繁盛するのね」
「そうです。それに引き換えヒダ国ときたら、山と森と川ぐらいしかありません。ミノ国は一大消費地であるオワリが隣にあることで、ずいぶん得をしているのですよ」

 自然が豊かとも言えるんだけどね。それは近代国家になった日本でのことだ。こちらでは貧困の象徴でしかない。

「また愚痴になってますよー」
「あ、そうでした。それではこれで」

「それで、決算はなんとかなったのですか?」
「……」

 なってないご様子。

「サカイにイッコウを売って、決算のかさ上げをして、来年以降はともかく今年だけはなんとかなった?」
「……」

 なってないご様子。その理由はなんだろう。

「イリヒメへの手数料が思ったより高かったとか?」
「それもあるのですが」
「運送費が高くついた?」
「それもあるのですが」

 まだ他にあったっけ?

「もうぶっちゃけますけど」
「それ2回目ですよ?」
「そこでツッコまないでください。すべてはイズモ公が原因なのですよ!!」

「はぁ?!」
「だからスクナさんは座敷牢に入れられているのです」
「はぁ?!」

 だめだ。話が飛びすぎて意味が分からない。
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