17 / 336
第17話 安いもんだろ?
しおりを挟む
ストックオプションだよ。止めろと言いかけて出たくしゃみみたいに言うな。おかしな短縮形にしやがって。でもこのじじい、本当に知らないで言っていたのか?
「株をもらうのとはちょっと違う。株を売る権利をもらうということだ。そうだろ?」
「あ、あー、ああ。まぁ、そういうこともある、かな?」
かな? じゃねぇよ。その分だとほとんど知らずに言ってるのだろうなぁ。まぁ、努力は認めてやろう……まてよ?
「アチラは何株もらった?」
「あ、僕は500株です」
「お、おい。そりゃ、アチラは最初からここの丁稚だからな」
「ハルミとミヨシは?」
「私たちは2,000株ずつよ」
「そ、そりゃ、この子らは孫だからな」
「じゃあ、ソウ。この会社の発行済株式数はいくつだ?」
「125万株だよ? 社長が8割、僕が1割ぐらい持っている」
「ソウ、そこまでバラすことはないのだぞ……」
「ふぅん、じじい。それで俺をたった100株で買収しようというのか?」
ぴゅ~~。
口笛吹いて誤魔化そうとすんな。
「125万株で株価が12円か。1,500万の資本金ということだな」
(……だから黙ってろって言ったのに。こいつはものを知りすぎておる。扱いづらいったらありゃしない)
「なんか言ったかぁ?」
「い、いや、別に、なにも言っとらんよ。じゃあ、ハルミたちと同じで2,000株でどうだ」
ふむ。2,000株だと24,000円か。ぺろりんキャンディに換算して……いやまて、なんでそんなもんに換算せにゃならんのだ。
じじいは100万株、ソウは12万株ぐらい持っている。それなら俺は?
「10万株もらおうか」
「ば、ば、バカを申せ。そげんこつしたら、会社の経営ば乗っ取られるではありんせんかやろうですやんけ」
「社長、あちこちの方言やら花魁言葉やらが混ざってる」
「たった10万株で乗っ取れるわけないだろ。8割も持ってんだから1割ぐらい寄こせってことだ。それでもソウより少なくしたのは、これでも遠慮したからだぞ?」
ぐぬぬぬぬぬ、ぬぬぬぬぬぬぬぬ、ぬぬぬぬぬぬぬ。
ぬが長げぇよ。ってか、その程度に2回も息継ぎが必要か。心肺能力落ちてんぞ。
「ソウ。少し現実的な話をしよう。例のめっきだが、うまくいったら1本いくらになる?」
「1本1万で請け負っている。どこでもできないと聞いて社長がふっかけたんだ」
「悪くはないな。しかし、それ10万にしよう」
えええっ!!
「それは、1本で終わりか? もっと需要があるんじゃないか?」
「ああ、まだあるようなことを言ってたな。うまくいけば、追加で10本や20本は出してくれるかもしれない。しかし、その値段では」
「よそではできないんだろ? 納品のときに俺も立ち会うから、交渉してみよう。10万でもいけると思う。2本目以降はもう少し安くしてやろう。8万とかな」
「そ、それでも8万って、どんだけ強気だよ」
「強気ではない、安売りするなと言ってるんだ。この世界にふたつとない技術なんだろ?」
「それはそうだが。それもできたらの話だ」
「俺はできたらの話をしてるんだよ」
ぐぬぬぬぬぬぬぬ、ぬ?
じじい、それはもういいから。
「つぎに刀だが」
ハルミがきらきらした目でこちらを見る。
「工房には、鉄を溶かす窯があるのか?」
「ああ、ある。刀を作るぐらいだからな。溶かさないことには打つことはできん」
ほほぉ。それは好都合。後で工程を見せてもらおう。
「この工房には刀工がいると聞いたが?」
「ああ、3人いる。1人は国指定の一級刀工技術者だ」
国指定だと? ここ、なんて国?
「ユウ、私の剣を作ってくれるのか?!」
「その前に、いろいろ確認してからな。そんなに慌てる……そうだ、ハルミ。どこかで剣をアピールする場とか、コンテスト的なものはないか?」
「剣をアピールではないが、剣技を競う競技会なら来月にあるぞ。この街を挙げてやるお祭りの一大イベントだ」
「それだ!!! ハルミは出るだろ? てか、出ろ。そこでウチの刀を見てもらえ」
「う、うん。出るつもりだよ。間に合うのか、それまでに、私の剣……刀か、できるのか?」
「作ろう。昨日も言ったが硬い鉄と柔らかい鉄を組み合わせたやつだ。剣ではなく刀だから、片刃だ。慣れてもらわないといけないが大丈夫か?」
「わかった。練習する。それはなんでも切れる剣……刀なんだよな?」
「ああ、もちろんそうだ。鉄だって切れるぞ」
ええええっ!!!?!?!
「うそ……鉄が鉄を切るのか。。。それを私が……切って良いのか、使って良いのか。持ってて良いのかぁぁぁぁ!!」
だから抱きついてくるなっての、暑苦しい。あ、ミヨシがなかまになりたそうにこちらをみている。
「刀ができたら、そこで宣伝をしよう。こちらは1本100万だ」
「ひゃ、ひゃ、ひゃく……」
ひゃくしょん大魔王? いいから、それぐらいで売れるから。
「それからもっと需要があるのが包丁だ。こちらはクロムさえ手に入れば比較的簡単だ。いくつか試験は必要だが、それほど時間はかからずにできる」
「ユウさん、まじ神様です。俺はもう一生ついてゆきますよ」
「私も!!」
アチラにミヨシが混じった。もう、お前ら俺の手下な。
「あ、確認を忘れていたが、鋼は作れるんだよな?」
「それはもちろん。鋼じゃなければ剣はできないからな。ただ、需要が減ってしまって、今は窯を稼働させることもめったになくなってしまっただけだ」
「それなら良い。窯はこれからフル稼働になるぞ。覚悟しておいてくれ。それでどんどん包丁と小刀を作ろう。錆びることもなく切れ味抜群の包丁だ。これらは1本5万から10万だ」
どひぇぇぇぇぇぇぇ。
「これでどうだ、じじい。10万株でも安いもんだろ?」
「株をもらうのとはちょっと違う。株を売る権利をもらうということだ。そうだろ?」
「あ、あー、ああ。まぁ、そういうこともある、かな?」
かな? じゃねぇよ。その分だとほとんど知らずに言ってるのだろうなぁ。まぁ、努力は認めてやろう……まてよ?
「アチラは何株もらった?」
「あ、僕は500株です」
「お、おい。そりゃ、アチラは最初からここの丁稚だからな」
「ハルミとミヨシは?」
「私たちは2,000株ずつよ」
「そ、そりゃ、この子らは孫だからな」
「じゃあ、ソウ。この会社の発行済株式数はいくつだ?」
「125万株だよ? 社長が8割、僕が1割ぐらい持っている」
「ソウ、そこまでバラすことはないのだぞ……」
「ふぅん、じじい。それで俺をたった100株で買収しようというのか?」
ぴゅ~~。
口笛吹いて誤魔化そうとすんな。
「125万株で株価が12円か。1,500万の資本金ということだな」
(……だから黙ってろって言ったのに。こいつはものを知りすぎておる。扱いづらいったらありゃしない)
「なんか言ったかぁ?」
「い、いや、別に、なにも言っとらんよ。じゃあ、ハルミたちと同じで2,000株でどうだ」
ふむ。2,000株だと24,000円か。ぺろりんキャンディに換算して……いやまて、なんでそんなもんに換算せにゃならんのだ。
じじいは100万株、ソウは12万株ぐらい持っている。それなら俺は?
「10万株もらおうか」
「ば、ば、バカを申せ。そげんこつしたら、会社の経営ば乗っ取られるではありんせんかやろうですやんけ」
「社長、あちこちの方言やら花魁言葉やらが混ざってる」
「たった10万株で乗っ取れるわけないだろ。8割も持ってんだから1割ぐらい寄こせってことだ。それでもソウより少なくしたのは、これでも遠慮したからだぞ?」
ぐぬぬぬぬぬ、ぬぬぬぬぬぬぬぬ、ぬぬぬぬぬぬぬ。
ぬが長げぇよ。ってか、その程度に2回も息継ぎが必要か。心肺能力落ちてんぞ。
「ソウ。少し現実的な話をしよう。例のめっきだが、うまくいったら1本いくらになる?」
「1本1万で請け負っている。どこでもできないと聞いて社長がふっかけたんだ」
「悪くはないな。しかし、それ10万にしよう」
えええっ!!
「それは、1本で終わりか? もっと需要があるんじゃないか?」
「ああ、まだあるようなことを言ってたな。うまくいけば、追加で10本や20本は出してくれるかもしれない。しかし、その値段では」
「よそではできないんだろ? 納品のときに俺も立ち会うから、交渉してみよう。10万でもいけると思う。2本目以降はもう少し安くしてやろう。8万とかな」
「そ、それでも8万って、どんだけ強気だよ」
「強気ではない、安売りするなと言ってるんだ。この世界にふたつとない技術なんだろ?」
「それはそうだが。それもできたらの話だ」
「俺はできたらの話をしてるんだよ」
ぐぬぬぬぬぬぬぬ、ぬ?
じじい、それはもういいから。
「つぎに刀だが」
ハルミがきらきらした目でこちらを見る。
「工房には、鉄を溶かす窯があるのか?」
「ああ、ある。刀を作るぐらいだからな。溶かさないことには打つことはできん」
ほほぉ。それは好都合。後で工程を見せてもらおう。
「この工房には刀工がいると聞いたが?」
「ああ、3人いる。1人は国指定の一級刀工技術者だ」
国指定だと? ここ、なんて国?
「ユウ、私の剣を作ってくれるのか?!」
「その前に、いろいろ確認してからな。そんなに慌てる……そうだ、ハルミ。どこかで剣をアピールする場とか、コンテスト的なものはないか?」
「剣をアピールではないが、剣技を競う競技会なら来月にあるぞ。この街を挙げてやるお祭りの一大イベントだ」
「それだ!!! ハルミは出るだろ? てか、出ろ。そこでウチの刀を見てもらえ」
「う、うん。出るつもりだよ。間に合うのか、それまでに、私の剣……刀か、できるのか?」
「作ろう。昨日も言ったが硬い鉄と柔らかい鉄を組み合わせたやつだ。剣ではなく刀だから、片刃だ。慣れてもらわないといけないが大丈夫か?」
「わかった。練習する。それはなんでも切れる剣……刀なんだよな?」
「ああ、もちろんそうだ。鉄だって切れるぞ」
ええええっ!!!?!?!
「うそ……鉄が鉄を切るのか。。。それを私が……切って良いのか、使って良いのか。持ってて良いのかぁぁぁぁ!!」
だから抱きついてくるなっての、暑苦しい。あ、ミヨシがなかまになりたそうにこちらをみている。
「刀ができたら、そこで宣伝をしよう。こちらは1本100万だ」
「ひゃ、ひゃ、ひゃく……」
ひゃくしょん大魔王? いいから、それぐらいで売れるから。
「それからもっと需要があるのが包丁だ。こちらはクロムさえ手に入れば比較的簡単だ。いくつか試験は必要だが、それほど時間はかからずにできる」
「ユウさん、まじ神様です。俺はもう一生ついてゆきますよ」
「私も!!」
アチラにミヨシが混じった。もう、お前ら俺の手下な。
「あ、確認を忘れていたが、鋼は作れるんだよな?」
「それはもちろん。鋼じゃなければ剣はできないからな。ただ、需要が減ってしまって、今は窯を稼働させることもめったになくなってしまっただけだ」
「それなら良い。窯はこれからフル稼働になるぞ。覚悟しておいてくれ。それでどんどん包丁と小刀を作ろう。錆びることもなく切れ味抜群の包丁だ。これらは1本5万から10万だ」
どひぇぇぇぇぇぇぇ。
「これでどうだ、じじい。10万株でも安いもんだろ?」
11
あなたにおすすめの小説
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
鬼死回生~酒呑童子の異世界転生冒険記~
今田勝手
ファンタジー
平安時代の日本で魑魅魍魎を束ねた最強の鬼「酒呑童子」。
大江山で討伐されたその鬼は、死の間際「人に生まれ変わりたい」と願った。
目が覚めた彼が見たのは、平安京とは全く異なる世界で……。
これは、鬼が人間を目指す更生の物語である、のかもしれない。
※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ネオページ」でも同時連載中です。
異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる