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第37話 楽しいご飯の時間
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「じゃあ、みんなにも紹介するよ。これが先日俺の眷属となったオウミだ」
「よっ! よろしくなノだ」
え? は? ほ? へ?
どうしてみんな同じ反応になるんですかね? 血が繋がっていないのに遺伝子は繋がってんのか、それとも風土病かなにかか。
じじいもコウセイさんもヤッさんもその弟子たちふたり(いずれ紹介する……かも)も、呆然と俺の手元を見ている。
あれ、ソウだけがいないな。出かけているのかな。
最初に紹介したミヨシとアチラは逃げ腰だし、ハルミはまだ心がどこかに行ったままだし、他の連中も推して知るべしである。
お前ら、紹介したんだから挨拶ぐらいせんかい。不意に現れたのだから、驚くなとは言わないが。
あれ。デジャブ?
「何はともあれ、こいつにも飯を食わせてやってくれ。オウミは嫌いなものがあったらミヨシに言え。なんとかしてくれるだろ」
…………
「さ、さあ、楽しいご飯の時間……おーい、お前ら帰ってこーーい」
…………
誰も返事さえしねぇ。
「なあ、オウミ。魔王ってのはそんなに珍しいのか?」
「魔王を珍鳥みたいに言うな。そりゃ珍しいだろ。魔王はニホンに7人しかいないノだから」
「ふぅん。するとこの地にはミノウとオウミ、ふたり魔王がいるということになるな。お前のもともといた土地はどうなってるわけ?」
「そ、そ、その義は」
「義?」
「情報漏洩不許可法度事項なノだ」
「なんでだよ!」
こんな難しい単語を咬まずに言いやがった。言い慣れてやがる。ますます分からん。
「いいからご飯を食べるノだ。我は肉が良いのだ、肉が」
はっ、と我に返ったのはミヨシだった。はい、じゃあこちらを召し上がれと、差し出したのはこんがり焼かれた分厚いステーキ? であった。
「今までこんなの見たことなかったぞ?」
「今朝たまたま近所の漁師さんが来て、野牛を仕留めたのでお裾分けって言ってくれたのよ。普段はお肉なんて高くて手がでないけど、これもオウミ様のご加護ね、きっと」
へぇ、ここ野牛がいるんだ。ご加護かどうかは知らんけど、オウミ良かったじゃないか……こらこら、よだれよだれ。よだれを拭け。俺のこれしかない作務衣を汚すな。
「じゅるる。あぁ、すまんノだ。我も久しぶりの肉なのでな。ではいただくノだ。がぶっ」
ちっさ! オウミがかぶりついたところの歯形、ちっさ。
「うんうん、うまいうまいうまい。うまいぞ、ミヨシ」
「そうですか、それは良かったです」
ここまでの会話を聞いて、ようやく皆も動き始めた。
「わ、我々も食べましょうよ。今日は牛肉もあるけどそこの川でウナギも捕ってきたぞ。ユウ、好きだって言ってたな?」
コウセイさんは漁もするのか。てか、意識的にオウミから目を逸らしているように見えるけど、そういう作戦なのか。目に入らなければとりあえずは怖くないみたいな。オウミはお化けか。
そんなことよりもだ!
「おぉぉ!! ウナギかぁ。しかもひつまぶしじゃねぇか!! 俺の大好物だよ大好物、がぶっ」
「ちっさ。お主の歯形、ちっさいノだ。けらけらけら」
「や、やかましいわ。大きくかじったらすぐにうなぎがなくなっちゃうだろが。もったいないから少しずつ食べるんだよ。それがウナギの醍醐味だ」
「もともと小さく刻んであるのだから、その1切れを3等分して食べるとか、どんな醍醐味なノだ」
「あれ? ユウ。おかわりはいくらでもあるわよ? 今日は70匹ほど捕れたので、野牛をくれた人にお返ししたぐらいだから」
パネェっす! ミノウ様のご加護パネェっす。前の世界では高級品だったのに、ここでは一度に70匹だと! もう俺、この世界に骨を埋める。
「あれ、もしかしてお前のおかげでもあるのか?」
「むぐむぐむぐむ?」
「分かった、食べてからでいい。しかしその体格で良く食えるものだな。もう2皿めか。お前、肉以外は食わないのか?」
「ぶぐむむぐむぐぐむふ」
「悪かった」
最初に出会ったときは好素がなんたらとか言っていたようだったが、普通に肉を食ってんじゃねぇか。あれも作り話かな?
「ふぃぃぃ。食った食った食った。ミヨシは料理上手なノだ。すぐにでも嫁に行けるノだ」
「あら、オウミ様ったら、うふふふ。では、デザートにナツメをどうぞ」
「お、見たことない果物なノだ。これはこちらの特産品か?」
「さて、どうでしょうか。こちらでは年中採れる果物ですけど」
「ふむ、年中採れる果物など存在はしない。これはミノウのやつがなにかやったな」
「なにかおっしゃいまして?」
「いや、なんでもない。さくさくさく、うまい! さくさく」
ミヨシのやつ、もうすっかりオウミを手なずけている。その料理の腕だか手腕だか恐るべし。
「お前がナツメを食べてるとこ」
「さくさく、ふむ?」
「まるでかまくらを掘ってる小学生みたい」
「やひゃはふぃぃぃぃふぁ」
「あらら、オウミ様。ナツメの汁でお顔が汚れましてよ。ほら、お顔を拭いて」
「きゅぅぅぅ」
ミヨシに羽根をつかまれとる笑。
「ふきふきふき。ナツメはもう少し小さく切ったほうがいいですわね。ふきふき」
「むほむほむほ。ミヨシは拭くのも上手なノだな」
「ふきふきふき」
「むほむほむほ。もう良いぞミヨシ。続きを食べるノだ」
「まだ食うのか! そのちっこい身体のどこに入って行くんだよ」
「さくさくさく。我が知るわけなかろう。うまいうまいさくさく」
「いくらでも召し上がれ。たくさん食べる人、私好きですよ」
あれ? ミヨシは俺のときもそんなことを言ってたな。
なんだろう、ミヨシをオウミに盗られたようなこの気分は。ぐぬぬぬ。
そこへ、遅れてソウがやってきた。
「みんな、ニュースだニュース…… え? は? ほ? へ?」
もうそれは読者も飽きてるから、話を進めなさいって。
「よっ! よろしくなノだ」
え? は? ほ? へ?
どうしてみんな同じ反応になるんですかね? 血が繋がっていないのに遺伝子は繋がってんのか、それとも風土病かなにかか。
じじいもコウセイさんもヤッさんもその弟子たちふたり(いずれ紹介する……かも)も、呆然と俺の手元を見ている。
あれ、ソウだけがいないな。出かけているのかな。
最初に紹介したミヨシとアチラは逃げ腰だし、ハルミはまだ心がどこかに行ったままだし、他の連中も推して知るべしである。
お前ら、紹介したんだから挨拶ぐらいせんかい。不意に現れたのだから、驚くなとは言わないが。
あれ。デジャブ?
「何はともあれ、こいつにも飯を食わせてやってくれ。オウミは嫌いなものがあったらミヨシに言え。なんとかしてくれるだろ」
…………
「さ、さあ、楽しいご飯の時間……おーい、お前ら帰ってこーーい」
…………
誰も返事さえしねぇ。
「なあ、オウミ。魔王ってのはそんなに珍しいのか?」
「魔王を珍鳥みたいに言うな。そりゃ珍しいだろ。魔王はニホンに7人しかいないノだから」
「ふぅん。するとこの地にはミノウとオウミ、ふたり魔王がいるということになるな。お前のもともといた土地はどうなってるわけ?」
「そ、そ、その義は」
「義?」
「情報漏洩不許可法度事項なノだ」
「なんでだよ!」
こんな難しい単語を咬まずに言いやがった。言い慣れてやがる。ますます分からん。
「いいからご飯を食べるノだ。我は肉が良いのだ、肉が」
はっ、と我に返ったのはミヨシだった。はい、じゃあこちらを召し上がれと、差し出したのはこんがり焼かれた分厚いステーキ? であった。
「今までこんなの見たことなかったぞ?」
「今朝たまたま近所の漁師さんが来て、野牛を仕留めたのでお裾分けって言ってくれたのよ。普段はお肉なんて高くて手がでないけど、これもオウミ様のご加護ね、きっと」
へぇ、ここ野牛がいるんだ。ご加護かどうかは知らんけど、オウミ良かったじゃないか……こらこら、よだれよだれ。よだれを拭け。俺のこれしかない作務衣を汚すな。
「じゅるる。あぁ、すまんノだ。我も久しぶりの肉なのでな。ではいただくノだ。がぶっ」
ちっさ! オウミがかぶりついたところの歯形、ちっさ。
「うんうん、うまいうまいうまい。うまいぞ、ミヨシ」
「そうですか、それは良かったです」
ここまでの会話を聞いて、ようやく皆も動き始めた。
「わ、我々も食べましょうよ。今日は牛肉もあるけどそこの川でウナギも捕ってきたぞ。ユウ、好きだって言ってたな?」
コウセイさんは漁もするのか。てか、意識的にオウミから目を逸らしているように見えるけど、そういう作戦なのか。目に入らなければとりあえずは怖くないみたいな。オウミはお化けか。
そんなことよりもだ!
「おぉぉ!! ウナギかぁ。しかもひつまぶしじゃねぇか!! 俺の大好物だよ大好物、がぶっ」
「ちっさ。お主の歯形、ちっさいノだ。けらけらけら」
「や、やかましいわ。大きくかじったらすぐにうなぎがなくなっちゃうだろが。もったいないから少しずつ食べるんだよ。それがウナギの醍醐味だ」
「もともと小さく刻んであるのだから、その1切れを3等分して食べるとか、どんな醍醐味なノだ」
「あれ? ユウ。おかわりはいくらでもあるわよ? 今日は70匹ほど捕れたので、野牛をくれた人にお返ししたぐらいだから」
パネェっす! ミノウ様のご加護パネェっす。前の世界では高級品だったのに、ここでは一度に70匹だと! もう俺、この世界に骨を埋める。
「あれ、もしかしてお前のおかげでもあるのか?」
「むぐむぐむぐむ?」
「分かった、食べてからでいい。しかしその体格で良く食えるものだな。もう2皿めか。お前、肉以外は食わないのか?」
「ぶぐむむぐむぐぐむふ」
「悪かった」
最初に出会ったときは好素がなんたらとか言っていたようだったが、普通に肉を食ってんじゃねぇか。あれも作り話かな?
「ふぃぃぃ。食った食った食った。ミヨシは料理上手なノだ。すぐにでも嫁に行けるノだ」
「あら、オウミ様ったら、うふふふ。では、デザートにナツメをどうぞ」
「お、見たことない果物なノだ。これはこちらの特産品か?」
「さて、どうでしょうか。こちらでは年中採れる果物ですけど」
「ふむ、年中採れる果物など存在はしない。これはミノウのやつがなにかやったな」
「なにかおっしゃいまして?」
「いや、なんでもない。さくさくさく、うまい! さくさく」
ミヨシのやつ、もうすっかりオウミを手なずけている。その料理の腕だか手腕だか恐るべし。
「お前がナツメを食べてるとこ」
「さくさく、ふむ?」
「まるでかまくらを掘ってる小学生みたい」
「やひゃはふぃぃぃぃふぁ」
「あらら、オウミ様。ナツメの汁でお顔が汚れましてよ。ほら、お顔を拭いて」
「きゅぅぅぅ」
ミヨシに羽根をつかまれとる笑。
「ふきふきふき。ナツメはもう少し小さく切ったほうがいいですわね。ふきふき」
「むほむほむほ。ミヨシは拭くのも上手なノだな」
「ふきふきふき」
「むほむほむほ。もう良いぞミヨシ。続きを食べるノだ」
「まだ食うのか! そのちっこい身体のどこに入って行くんだよ」
「さくさくさく。我が知るわけなかろう。うまいうまいさくさく」
「いくらでも召し上がれ。たくさん食べる人、私好きですよ」
あれ? ミヨシは俺のときもそんなことを言ってたな。
なんだろう、ミヨシをオウミに盗られたようなこの気分は。ぐぬぬぬ。
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「みんな、ニュースだニュース…… え? は? ほ? へ?」
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