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第136話 ツッコみ役?
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ばくばくばくくるりんぱっ、うぅぅむばくばく。むしゃむしゃもぐくるりんぱっ。もぐもぐお代わり!
「食べるかコマ回すかうなるか、どれかにするノだ」
「なんかうっとおしいのだヨ」
徹夜でコマシていたお前らに言われたくねぇよばくばくもぐ。しかし、この料理は珍しいのか、ここの連中にも大受けである。
カンキチなんかもう7杯目だぞ。その小鳥の身体のどこにそれだけ入って行くんだ?
「それを言ったら我らも同じなノだ」
「良いではないか、良いではないか ヨ」
考えてはいけない質量保存の法則もぐもぐくるりんぱっ。回る、動く。穴に入る。もぐりんぱっ。なかなか単純すぎて難しい。そこにユウコがやってきた。
「ユウさん。来客だよ」
「もが? ふももももはへ?」
「えっと、侯爵様のご紹介だとかで」
「ふぉぉ。ひょっとへっほいへほいのほいのへのほのほ」
「うん、分かった。下に応接室があるからそこに案内しておくね」
「ユウコ。あんたなんでそれで会話ができてんの?」
「え? モナカには分からないの?」
「所長の言葉らしいものはひとつもなかったと思うのだけど」
「そこは、ほら。エルフの心意気で」
「便利な心意気ね、それ!」
実は最後のほうは俺も適当なことを言っていただけなのだが、ユウコは最適な判断をしてくれた。これも毎日あのおっぱいを揉んでいる成果なのである。
「所長、毎日ですって?!」
「あ、ひや、はれほれひれはれ?」
「それ、誤魔化してるだけですよね。ミヨシさんに報告しおきますからね」
れ・みぜらぶる!
しかし、こんなところまで誰だろう。エースの紹介ってことは本土から来たということだが、この雪の中どうやってあの海を渡ったのだろう。それとも魔的な誰かなのか?
どちらにしても、男だったら雪に埋めてやろう。
「やぁ、あんたがユウさんかい? 俺はグースというものだ。エースさんから話は聞いていると思うが」
「お帰りください。帰りにその辺に埋まってください」
「そのエースさんに……なんでだよ!!!」
「もう男キャラはいらない」
「作品的に?」
「いや、俺の好み的に」
「わがままいってんじゃねぇよ! 黙って俺を使えよ!」
「いらんと言って……使う? ってなにに?」
「俺んちはもともと商家だ。聞くところによれば、あんたは自分の作った商品の販路がなくて困っているそうじゃないか」
ああ、あれか。俺が流通のことを教えてくれとタンザクに願い事を書きこ……してないしてない。相談をしたのだが、手紙を送るといってこいつを送ってきたのか。
「レクサスだと思うがな。あ、手紙なら預かってるぞ。これだ」
差し出された手紙を読む。いろいろこいつに聞け。そんだけかよ!
「というわけだ。俺にあんたの作ったものを販売させてくれ。聞くところによれば、相当に珍しいものを作るそうじゃないか」
あ、ああ。そうか。商人か。そうだ、商人なら販路も流通もお得意なわけだな。それでカチコチがをこいつ派遣してくれたわけか。
「その通り。そのカチコチ……レクサスのことだよな? から聞いた話では、その流通を一手に握れば、俺にとっても一生の仕事になるとのことだ。そのために命がけでここまで来たんだ。ぜひやらせてくれ」
「命がけ?」
「ああ、この季節のホッカイ航路は荒れるからな、来るだけで命がけだ」
「なんと、船で来たのか? ここまで? この季節にか?」
「ああ、途中で何度も引き返したり、予定外の港に立ち寄ったり。嫌がる船頭を脅したりなだめすかしたりして、ようやく到着したよ」
「そ、それは大変だったな」
「まあ、慣れているけどな。俺はアイゾウ家ではいらない子扱いされてるからな」
「アイゾウ家って、トヨタ家となんか関係があるのか?」
「うちはもともとトヨタの分家だ。10代くらい前に別れた異母兄弟であったらしい。俺はその次男坊として生まれた。早い話が部屋住みだ」
「部屋住みってなんだ?」
「長男が死んだときのためのスペアだよ。そのためだけに生きているようなものだ」
「気楽で良いじゃないか」
「良いことあるか! 俺がなにをしようとしても反対されるんだぞ。金がかかるからダメ、危険だからダメ、リスクが高すぎる、面倒くさい、猫がアクビした。そんな理由で反対されるんだ」
「ひとつ真剣に意味のなさげなものがあったが、お前の立場はなんとなく分かった」
「たまに事業がうまくいきそうになると、あいつはこの家を乗っ取ろうとしているって評判が立ち、その事業を俺から取り上げちゃうんだよ」
「そ、それはひどいな」
「ああ、だから俺は放蕩息子になろうと決めたんだ」
「ああ、あの山梨名物の」
「それはほうとうだ! 誰が白味噌煮込みうどんの話をしてるんだよ。飲む打つ買うの3拍子そろったダメ息子だよほっとけよ」
「でも、金もらって遊んで暮らせるんだからいい身分じゃないか?」
「ああ、小遣いならもらえる。しかし、あんたには分からんかもしれないが、小遣い程度の金しかなくて、どこでなにをして遊ぶんだ?」
「コマを回したり?」
「子供じゃねぇよ。普通なら遊郭とかへ行くのだろうが、そういうとこだけはトヨタの家系は厳しくてな」
「金があるくせに厳しいのか?」
「ああ厳しいな。その昔、当主が熱を入れた遊女に、家を乗っ取られそうになったことがあってな」
「じゃあ、近所の子供たちを集めて、いくさごっこをするとか」
「戦国時代かよ。小さい頃はよく遊んだが、この年になるともうみんな働いていて、相手がいないんだよ」
「グースはいまいくつなんだ?」
「今年で24になる。ちなみに厄年だ。ユウは12才だそうだが、中身はもっとおっさんだろ?」
「おっさん言うな。そうか。俺がカミカクシだってことも聞いているのか。なら隠すことはないか。ここに来る前の年齢は40才だ」
「なるほどな。だからそんな偉そうな……威厳ある話し方なわけだ。俺は気に入ったぞ。ぜひ、使ってくれ」
「いま、偉そうなって言った?」
「言ってない」
「ま、まあいい。グースが流通に詳しいのなら、こちらもぜひお願いしたい。よろしく頼む」
こちらに来て、初めて「気が合う」やつと出会った気がする。話しぶりは軽快で嫌味がない。さらさらヘアーに痩せ型長身。エースのようにがっちりはしていないが、すらっとした体型はアイドル歌手を思わせる。
ざっくばらんな話し方も好ましい。なにより、打てば響くそんな感じがツッコみ役として最適だ。
「俺、ツッコみ役で評価されたのか?」
「第一印象の話だよ」
「それ、フォローになってないよね?!」
「ところで、倉庫はあるか?」
「物置小屋か? 大きさにもよるが、どのくらいの広さがいる?」
「この国に関してだけでも、トウモロコシ100トン、ジャガイモ150トン 甜菜150トンの倉庫が必要だ」
「ちょっ。そ、そんなにたくさん?!」
「これからどんどん増やして行くつもりだよ?」
「ちょっと待ってよ。そんなに作ったら相場が暴落する。俺もタダでは済まない」
「需要があればいいんだろ?」
「そりゃそうだが、どうするんだ?」
「おい、モナカ。ポテチと爆裂コーンを持ってきてくれ」
「はい、こちらにあります。召し上がれ」
「これが、なんだって?」
「まあ、食べて見ろ。そうすりゃ分かる」
「食えと言われれば食うけどね。これなんか、木の板みたいだけど、あ、軽い」
ぱりっ。え? という顔をした。
「なんだこれ? うまい! ぱりぽりぱりぱりぽりぽり。お代わり!」
そうなるだろうなとは思っていたが。
「うまいだろ?」
「ああ、これはいける。これは売れるぞ。いくらでも売れる。で、お代わりは?」
「まあそれはそれとして、こっちも食べて見ろ」
「これは、あちこちに茶色い斑点があって見た目がちょっとなぁ。でも、ぱくっ。……お?」
「それもいけるだろ?」
「ぱくぱくぱくぱくぱく。お代わり!」
お前はそればっかりか。
「どうして、どうしたらこんなにうまいものができるんだ? しかもこんな最果ての地で!?」
「最初のがジャガイモが原料で、次がイエローコンが原料だ」
「ジャガイモの味だったのか。そうは思えん……あれ? イエローコーンってあの雑草の?」
「その通り。だから原料はただ同然で手に入る。とはいっても、これからはたくさん作るからその費用はかかるけどな。これらの原料を保管する倉庫が欲しいんだ。あてはあるか?」
「いまは分からんとしか言えない。この近くに必要なんだな?」
「ああ、これは加工して出荷するからそのときには嵩は減るが、原料は加工工場に集める必要がある。そのための倉庫だ」
「分かった。アイゾウ家の人脈を総動員して探してみよう。なるほど、エースさんの言った通りか」
「ん?」
「あ、いや、なんでもない。それで、作ったこれはどうするんだ?」
「それは船でエチ国に運んで、あ、そうだ。そこにも倉庫は必要だな。そこまで大きくなくてもいいが。そこから全国に販売したいのだが」
「ふむ。この商品を売るなら、ヤマトまで運んだほうがいいな」
「ヤマトってニオノウミの向こうだろ? 船で運べるのか」
「いや、船はツルガまででいいだろう。そこから陸路と船便でヤマトまで運ぶ」
「そこだと売れるのか?」
「ああ、あそこは食通の国でな、それに新しもの好きでもある。しかも人口が多い。食べ物を売るならヤマトと、商人の間では常識だ」
「そうなのか。知らなかった。グースがいてくれて助かったよ。じゃあ、そこに流通倉庫を用意してくれ。なければ倉庫を建てよう。費用はどのくらいかかると思う?」
「まあ、そんなに焦らないでくれ。どうせ、春まで船は出ないだろ? 俺もそこまではここにいる。まずは、こちらの原料倉庫を確保するように動いてみる」
「そうだな、それはまかせた。費用が必要なら言ってくれ」
「よし、それなら早速行ってくる」
「あ、ちょっと待った」
「まだなにか用事か?」
「ああ、どうせあちこちに行くなら、これをサンプルとして置いてきてくれ。子供のたくさんいるところならどこでもいい」
そう言って、イテコマシのふたり用を10セット渡した。こんなものニーズあるかなぁと不審そうにしていたので、こちらのゲーム大会に参加させてやった。
「じゃ、次に来るときは改良した自分のコマを持ってきます!!」
と言って出ていった。大変気に入ったようである。
腰の軽いやつである。俺と違って足腰もしっかりしていて、雪をこぎながら歩くのもさほど苦にならないそうだ。これで、俺の苦手な営業をする人材ができた。販路も流通もまかせられる。俺はもう作ることだけに集中すればいい。
「最初から作ることに集中していたようだったノだが?」
「食べるかコマ回すかうなるか、どれかにするノだ」
「なんかうっとおしいのだヨ」
徹夜でコマシていたお前らに言われたくねぇよばくばくもぐ。しかし、この料理は珍しいのか、ここの連中にも大受けである。
カンキチなんかもう7杯目だぞ。その小鳥の身体のどこにそれだけ入って行くんだ?
「それを言ったら我らも同じなノだ」
「良いではないか、良いではないか ヨ」
考えてはいけない質量保存の法則もぐもぐくるりんぱっ。回る、動く。穴に入る。もぐりんぱっ。なかなか単純すぎて難しい。そこにユウコがやってきた。
「ユウさん。来客だよ」
「もが? ふももももはへ?」
「えっと、侯爵様のご紹介だとかで」
「ふぉぉ。ひょっとへっほいへほいのほいのへのほのほ」
「うん、分かった。下に応接室があるからそこに案内しておくね」
「ユウコ。あんたなんでそれで会話ができてんの?」
「え? モナカには分からないの?」
「所長の言葉らしいものはひとつもなかったと思うのだけど」
「そこは、ほら。エルフの心意気で」
「便利な心意気ね、それ!」
実は最後のほうは俺も適当なことを言っていただけなのだが、ユウコは最適な判断をしてくれた。これも毎日あのおっぱいを揉んでいる成果なのである。
「所長、毎日ですって?!」
「あ、ひや、はれほれひれはれ?」
「それ、誤魔化してるだけですよね。ミヨシさんに報告しおきますからね」
れ・みぜらぶる!
しかし、こんなところまで誰だろう。エースの紹介ってことは本土から来たということだが、この雪の中どうやってあの海を渡ったのだろう。それとも魔的な誰かなのか?
どちらにしても、男だったら雪に埋めてやろう。
「やぁ、あんたがユウさんかい? 俺はグースというものだ。エースさんから話は聞いていると思うが」
「お帰りください。帰りにその辺に埋まってください」
「そのエースさんに……なんでだよ!!!」
「もう男キャラはいらない」
「作品的に?」
「いや、俺の好み的に」
「わがままいってんじゃねぇよ! 黙って俺を使えよ!」
「いらんと言って……使う? ってなにに?」
「俺んちはもともと商家だ。聞くところによれば、あんたは自分の作った商品の販路がなくて困っているそうじゃないか」
ああ、あれか。俺が流通のことを教えてくれとタンザクに願い事を書きこ……してないしてない。相談をしたのだが、手紙を送るといってこいつを送ってきたのか。
「レクサスだと思うがな。あ、手紙なら預かってるぞ。これだ」
差し出された手紙を読む。いろいろこいつに聞け。そんだけかよ!
「というわけだ。俺にあんたの作ったものを販売させてくれ。聞くところによれば、相当に珍しいものを作るそうじゃないか」
あ、ああ。そうか。商人か。そうだ、商人なら販路も流通もお得意なわけだな。それでカチコチがをこいつ派遣してくれたわけか。
「その通り。そのカチコチ……レクサスのことだよな? から聞いた話では、その流通を一手に握れば、俺にとっても一生の仕事になるとのことだ。そのために命がけでここまで来たんだ。ぜひやらせてくれ」
「命がけ?」
「ああ、この季節のホッカイ航路は荒れるからな、来るだけで命がけだ」
「なんと、船で来たのか? ここまで? この季節にか?」
「ああ、途中で何度も引き返したり、予定外の港に立ち寄ったり。嫌がる船頭を脅したりなだめすかしたりして、ようやく到着したよ」
「そ、それは大変だったな」
「まあ、慣れているけどな。俺はアイゾウ家ではいらない子扱いされてるからな」
「アイゾウ家って、トヨタ家となんか関係があるのか?」
「うちはもともとトヨタの分家だ。10代くらい前に別れた異母兄弟であったらしい。俺はその次男坊として生まれた。早い話が部屋住みだ」
「部屋住みってなんだ?」
「長男が死んだときのためのスペアだよ。そのためだけに生きているようなものだ」
「気楽で良いじゃないか」
「良いことあるか! 俺がなにをしようとしても反対されるんだぞ。金がかかるからダメ、危険だからダメ、リスクが高すぎる、面倒くさい、猫がアクビした。そんな理由で反対されるんだ」
「ひとつ真剣に意味のなさげなものがあったが、お前の立場はなんとなく分かった」
「たまに事業がうまくいきそうになると、あいつはこの家を乗っ取ろうとしているって評判が立ち、その事業を俺から取り上げちゃうんだよ」
「そ、それはひどいな」
「ああ、だから俺は放蕩息子になろうと決めたんだ」
「ああ、あの山梨名物の」
「それはほうとうだ! 誰が白味噌煮込みうどんの話をしてるんだよ。飲む打つ買うの3拍子そろったダメ息子だよほっとけよ」
「でも、金もらって遊んで暮らせるんだからいい身分じゃないか?」
「ああ、小遣いならもらえる。しかし、あんたには分からんかもしれないが、小遣い程度の金しかなくて、どこでなにをして遊ぶんだ?」
「コマを回したり?」
「子供じゃねぇよ。普通なら遊郭とかへ行くのだろうが、そういうとこだけはトヨタの家系は厳しくてな」
「金があるくせに厳しいのか?」
「ああ厳しいな。その昔、当主が熱を入れた遊女に、家を乗っ取られそうになったことがあってな」
「じゃあ、近所の子供たちを集めて、いくさごっこをするとか」
「戦国時代かよ。小さい頃はよく遊んだが、この年になるともうみんな働いていて、相手がいないんだよ」
「グースはいまいくつなんだ?」
「今年で24になる。ちなみに厄年だ。ユウは12才だそうだが、中身はもっとおっさんだろ?」
「おっさん言うな。そうか。俺がカミカクシだってことも聞いているのか。なら隠すことはないか。ここに来る前の年齢は40才だ」
「なるほどな。だからそんな偉そうな……威厳ある話し方なわけだ。俺は気に入ったぞ。ぜひ、使ってくれ」
「いま、偉そうなって言った?」
「言ってない」
「ま、まあいい。グースが流通に詳しいのなら、こちらもぜひお願いしたい。よろしく頼む」
こちらに来て、初めて「気が合う」やつと出会った気がする。話しぶりは軽快で嫌味がない。さらさらヘアーに痩せ型長身。エースのようにがっちりはしていないが、すらっとした体型はアイドル歌手を思わせる。
ざっくばらんな話し方も好ましい。なにより、打てば響くそんな感じがツッコみ役として最適だ。
「俺、ツッコみ役で評価されたのか?」
「第一印象の話だよ」
「それ、フォローになってないよね?!」
「ところで、倉庫はあるか?」
「物置小屋か? 大きさにもよるが、どのくらいの広さがいる?」
「この国に関してだけでも、トウモロコシ100トン、ジャガイモ150トン 甜菜150トンの倉庫が必要だ」
「ちょっ。そ、そんなにたくさん?!」
「これからどんどん増やして行くつもりだよ?」
「ちょっと待ってよ。そんなに作ったら相場が暴落する。俺もタダでは済まない」
「需要があればいいんだろ?」
「そりゃそうだが、どうするんだ?」
「おい、モナカ。ポテチと爆裂コーンを持ってきてくれ」
「はい、こちらにあります。召し上がれ」
「これが、なんだって?」
「まあ、食べて見ろ。そうすりゃ分かる」
「食えと言われれば食うけどね。これなんか、木の板みたいだけど、あ、軽い」
ぱりっ。え? という顔をした。
「なんだこれ? うまい! ぱりぽりぱりぱりぽりぽり。お代わり!」
そうなるだろうなとは思っていたが。
「うまいだろ?」
「ああ、これはいける。これは売れるぞ。いくらでも売れる。で、お代わりは?」
「まあそれはそれとして、こっちも食べて見ろ」
「これは、あちこちに茶色い斑点があって見た目がちょっとなぁ。でも、ぱくっ。……お?」
「それもいけるだろ?」
「ぱくぱくぱくぱくぱく。お代わり!」
お前はそればっかりか。
「どうして、どうしたらこんなにうまいものができるんだ? しかもこんな最果ての地で!?」
「最初のがジャガイモが原料で、次がイエローコンが原料だ」
「ジャガイモの味だったのか。そうは思えん……あれ? イエローコーンってあの雑草の?」
「その通り。だから原料はただ同然で手に入る。とはいっても、これからはたくさん作るからその費用はかかるけどな。これらの原料を保管する倉庫が欲しいんだ。あてはあるか?」
「いまは分からんとしか言えない。この近くに必要なんだな?」
「ああ、これは加工して出荷するからそのときには嵩は減るが、原料は加工工場に集める必要がある。そのための倉庫だ」
「分かった。アイゾウ家の人脈を総動員して探してみよう。なるほど、エースさんの言った通りか」
「ん?」
「あ、いや、なんでもない。それで、作ったこれはどうするんだ?」
「それは船でエチ国に運んで、あ、そうだ。そこにも倉庫は必要だな。そこまで大きくなくてもいいが。そこから全国に販売したいのだが」
「ふむ。この商品を売るなら、ヤマトまで運んだほうがいいな」
「ヤマトってニオノウミの向こうだろ? 船で運べるのか」
「いや、船はツルガまででいいだろう。そこから陸路と船便でヤマトまで運ぶ」
「そこだと売れるのか?」
「ああ、あそこは食通の国でな、それに新しもの好きでもある。しかも人口が多い。食べ物を売るならヤマトと、商人の間では常識だ」
「そうなのか。知らなかった。グースがいてくれて助かったよ。じゃあ、そこに流通倉庫を用意してくれ。なければ倉庫を建てよう。費用はどのくらいかかると思う?」
「まあ、そんなに焦らないでくれ。どうせ、春まで船は出ないだろ? 俺もそこまではここにいる。まずは、こちらの原料倉庫を確保するように動いてみる」
「そうだな、それはまかせた。費用が必要なら言ってくれ」
「よし、それなら早速行ってくる」
「あ、ちょっと待った」
「まだなにか用事か?」
「ああ、どうせあちこちに行くなら、これをサンプルとして置いてきてくれ。子供のたくさんいるところならどこでもいい」
そう言って、イテコマシのふたり用を10セット渡した。こんなものニーズあるかなぁと不審そうにしていたので、こちらのゲーム大会に参加させてやった。
「じゃ、次に来るときは改良した自分のコマを持ってきます!!」
と言って出ていった。大変気に入ったようである。
腰の軽いやつである。俺と違って足腰もしっかりしていて、雪をこぎながら歩くのもさほど苦にならないそうだ。これで、俺の苦手な営業をする人材ができた。販路も流通もまかせられる。俺はもう作ることだけに集中すればいい。
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