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始
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時間とはなにか。
何も空間と関係しているだとか、電気と磁力の関係だとか頭の痛くなる物理学的観点で問うているわけではない。
自分にとって時間とはなにか。
それは恐らく、自分の精神が潤っているかによって意見が分かれてくるだろう。
楽しい時間や刺激的な時間ほど時は短く、退屈で嫌な時間ほど長く感じるはずだ。
そう、時間とはなにかと問えばその人の現在の心理が覗けることとなる。
そして、時間の話なんざするなとその程度のことで激昂するのは恐らく俺を含めた少人数だろう。
「・・・え」
・・・
「・・・ねえ」
ん?
「ねえってば」
「うん、そうだね」
「は?なにが?」
おっと、失敗したようだ。こういう場合はこれ以上下手にごまかさない方がいい。
「ああ、ごめん。少し考えてた」
まあ正確には何も考えていなかった、だが。
「・・・それで、時間なんだけど」
俺はちらりとカウンターの向こうにある古臭い振り子時計に目をやる。
「ああ、もう4時か」
最近酒に弱くなったようだ。俺は数件飲み屋を回った後に必ずこのバーへと足を運ぶ。
「じゃあ、会計」
「ん」
いつものバーテンへと告げると、俺から背を向けて電卓を打ち始めた。
「はい、どうぞ」
本日の体へ入ったアルコールの値段が書かれた紙きれを渡される。
「しかし、今日も大繁盛だったな」
「うるさい」
今回はこの座るたびに足が唸る椅子に4時間ほど座っていたが、電卓を打つ音も紙を千切る音も耳に入らなかった。
「あんたみたいな変人ばかりが寄ってくるから繁盛しないのよ」
「類は友を呼ぶって言うしな」
そう、このバーの常連は変なのしかいない。別に嫌な奴らってわけではない。変なのだ。
「じゃあ、また」
「ええ、じゃあね」
そうして俺は椅子に掛けてあったコートを羽織りながら扉を開ける。外の冷気に晒され、思わず顔を顰めながらこのうす暗い路地をあっちへ、こっちへと曲がりながら大通りへと進む。
流石にこの時間であれば、日中客で賑わう観光地といえど人間は少なかった。
「冬は長くていいな」
月を見ながら俺は酒に酔った頭でつぶやいた。
何も空間と関係しているだとか、電気と磁力の関係だとか頭の痛くなる物理学的観点で問うているわけではない。
自分にとって時間とはなにか。
それは恐らく、自分の精神が潤っているかによって意見が分かれてくるだろう。
楽しい時間や刺激的な時間ほど時は短く、退屈で嫌な時間ほど長く感じるはずだ。
そう、時間とはなにかと問えばその人の現在の心理が覗けることとなる。
そして、時間の話なんざするなとその程度のことで激昂するのは恐らく俺を含めた少人数だろう。
「・・・え」
・・・
「・・・ねえ」
ん?
「ねえってば」
「うん、そうだね」
「は?なにが?」
おっと、失敗したようだ。こういう場合はこれ以上下手にごまかさない方がいい。
「ああ、ごめん。少し考えてた」
まあ正確には何も考えていなかった、だが。
「・・・それで、時間なんだけど」
俺はちらりとカウンターの向こうにある古臭い振り子時計に目をやる。
「ああ、もう4時か」
最近酒に弱くなったようだ。俺は数件飲み屋を回った後に必ずこのバーへと足を運ぶ。
「じゃあ、会計」
「ん」
いつものバーテンへと告げると、俺から背を向けて電卓を打ち始めた。
「はい、どうぞ」
本日の体へ入ったアルコールの値段が書かれた紙きれを渡される。
「しかし、今日も大繁盛だったな」
「うるさい」
今回はこの座るたびに足が唸る椅子に4時間ほど座っていたが、電卓を打つ音も紙を千切る音も耳に入らなかった。
「あんたみたいな変人ばかりが寄ってくるから繁盛しないのよ」
「類は友を呼ぶって言うしな」
そう、このバーの常連は変なのしかいない。別に嫌な奴らってわけではない。変なのだ。
「じゃあ、また」
「ええ、じゃあね」
そうして俺は椅子に掛けてあったコートを羽織りながら扉を開ける。外の冷気に晒され、思わず顔を顰めながらこのうす暗い路地をあっちへ、こっちへと曲がりながら大通りへと進む。
流石にこの時間であれば、日中客で賑わう観光地といえど人間は少なかった。
「冬は長くていいな」
月を見ながら俺は酒に酔った頭でつぶやいた。
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