「  」

寿

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変な女

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今日も俺はこの古臭いバーで飲んでいた。いつも通りの酒、バーテン、時折聞こえてくる椅子の軋む音。何も変わらない風景。つまり本日もこの店で飼っている閑古鳥が元気よく鳴いていたわけだ。
しかし、こうも毎日変わらない日常が過ぎていくと、やはり刺激が欲しくなってくる。俺はそんな人間臭いことをその日考えていた。




ジリリリリリ!!

古臭い黒電話が店内に響いた。

「はい。Barブラムです」

バーテンダーが受話器を取った。それにしてもこの店であの電話が鳴るのはここ最近なかったことだ。
俺はカウンターの向こうで話をしているバーテンを何気なく見ていた。

「あなたへ電話」

と、今度は俺へと電話番の役が回ってきた。
慣れた手つきで受話器を受け取りつつ言葉を発する。

「こんばんわ」

これまた俺にとっては定番の開始で相手の話を促す。

『ええ、こんばんわ』

それはまさに色声と言われるにふさわしい艶めかしく、色っぽいながらもどこか儚げである声だった。

「なにかご用で?」
『ええ、頼みたいことがあるの』
「わかりました、ではご用件の前に一つこちらから質問を」
『どうぞ』

誰であろうと、この店へ電話をするのであれば避けて通れない質問をする。

「この電話番号はどなたから?」
『あなたからよ』
「わたしが?」
『あなたよ』
「・・・失礼ですが、わたしから番号をお教えすることはありません」

もし酔っていたとしても、絶対にない。・・・・・・・多分ないと思う。

『そうね、今はそんなことしないと思うわ』
「・・・」


   『私は、今から先の貴方から聞いたの』


「・・・なるほど」

切ろうか。

『貴方に言えば、助けてくれるって』
「未来のわたしに会ったと?」
『そういうこと』
「少々お待ちを」

考える。
先程は反射的に拒絶してしまったが、確かにこの店には変な奴が集まってくる。それは話もそうだ。
だが流石にこれは度を越している。そう、言ってしまえば前例がない。こんな奇天烈な話を受けるわけがない。
そして俺は受話器を再び耳に当てた。

「失礼、お待たせしました。ご用件を聞きましょう」

だがしかし、その時俺の精神は今如何にも人間臭い非現実を求めていたのである。





 ―――――俺は今後、この日の前日までの退屈な時間を恨む。
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