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68 らしくないユキノさん
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「シルヴィアは元気になったみたいだねえ」
意味ありげな笑みを浮かべたユキノさんがやって来た。
「久々にコータロー成分をたっぷり補給できたみたいだねえ。肌が艶々してるよ」
何でこの人が言うと実際以上に卑猥に聞こえるんだろう?
「シルヴィアは甘え下手だからね。コータローが気を配ってあげないと、すーぐ干からびちゃうからね」
それは今回の件でよくわかった。気をつけることにする。
「そう言えば、ガンテスさんの装備がそろそろできあがりそうだってよ」
話題を変えたことに他意はなかったのだが、なぜかユキノさんの表情が曇った。
「それは楽しみだけど、オリハルコンの剣に神獣の革鎧って、完全に分不相応だよね」
「何言ってんだよ。そんな殊勝な物言い、ユキノさんらしくないじゃんか」
「…コータローの中でわたしの評価がどんなものなのかじっくり話し合いたいところだけど……正直自信をなくすよね……弱いのに、装備だけ強力ってどうなのよって思うし」
「だったら余計にいい装備は必要じゃん」
「え?」
「俺たちはーーまあ俺たちじゃなくてもだけど、何があっても生き残らなきゃいけないわけだろ。そのために強くなろうとするんだよな?」
「…まあ、そうね」
「もし実力が足りないと思うなら、手に入る一番いい装備を求めるのってあたりまえじゃん?」
「でも、何だかズルしてる気がして……」
「それを言い出したら、俺が一番ズルくない?」
「コータローはズルくないよ。直接もらってるんだし」
「何が違う?」
「え?」
「おこがましい言い方だけど、俺、なぜか皆に気に入ってもらえて色んな恩恵を受けてるわけじゃん。俺は俺の大切な人たちに恩恵のおすそ分けをしてるだけだから、遠慮なく受け取ってよ。そこで使ってもらえない方が悲しいから」
「……」
ユキノさんは、非常にらしからぬ、穏やかな笑顔を見せた。いつもの邪悪さがないと、こんな優しそうになるんだ……
「…何だか失礼なことを考えてるわね」
「んなことないっす」
背筋をピンと伸ばす。
ユキノさんは小さく笑った。
「ーーコータローは、いい男だね」
「……?」
いきなり褒められて、まず最初に何か裏があるんじゃないかと疑ってしまった俺の心は汚れてしまっているのだろうか……そうじゃないと思いたいが……
「装備はありがたく使わせてもらうよ。ありがとう」
「どういたしまして」
「お礼はシルヴィアに仕込んどくから、楽しみにしてて」
「ちょ、ちょっと、仕込むって何!?」
イヤな、というか、アブない予感しかしない。
「シルヴィアは優秀な生徒だよ。教え甲斐があるな、うん」
「うんじゃねえよ。余計なことしなくていいから!」
「ホントに余計なことかな?」
顔をのぞきこまれると、言葉につまってしまう。
「だよねー。これで恩恵を被るのはコータローだもんねー」
むむ…否定する材料がない…ないのだが、釈然としない……
しかしーー
「アブノーマルなのはやめてくれ」
そう言うのが精一杯だった……
「はいはーい」
楽しげに去っていくユキノさん。何とかいつも通りに戻ってくれたかな。しおらしいユキノさんなんて調子狂うだけだもんな。これでよかった、んだろう。多分。
ちなみに、お礼と称してシルヴィアに仕込まれた業はかなりの破壊力を誇るものでした。
意味ありげな笑みを浮かべたユキノさんがやって来た。
「久々にコータロー成分をたっぷり補給できたみたいだねえ。肌が艶々してるよ」
何でこの人が言うと実際以上に卑猥に聞こえるんだろう?
「シルヴィアは甘え下手だからね。コータローが気を配ってあげないと、すーぐ干からびちゃうからね」
それは今回の件でよくわかった。気をつけることにする。
「そう言えば、ガンテスさんの装備がそろそろできあがりそうだってよ」
話題を変えたことに他意はなかったのだが、なぜかユキノさんの表情が曇った。
「それは楽しみだけど、オリハルコンの剣に神獣の革鎧って、完全に分不相応だよね」
「何言ってんだよ。そんな殊勝な物言い、ユキノさんらしくないじゃんか」
「…コータローの中でわたしの評価がどんなものなのかじっくり話し合いたいところだけど……正直自信をなくすよね……弱いのに、装備だけ強力ってどうなのよって思うし」
「だったら余計にいい装備は必要じゃん」
「え?」
「俺たちはーーまあ俺たちじゃなくてもだけど、何があっても生き残らなきゃいけないわけだろ。そのために強くなろうとするんだよな?」
「…まあ、そうね」
「もし実力が足りないと思うなら、手に入る一番いい装備を求めるのってあたりまえじゃん?」
「でも、何だかズルしてる気がして……」
「それを言い出したら、俺が一番ズルくない?」
「コータローはズルくないよ。直接もらってるんだし」
「何が違う?」
「え?」
「おこがましい言い方だけど、俺、なぜか皆に気に入ってもらえて色んな恩恵を受けてるわけじゃん。俺は俺の大切な人たちに恩恵のおすそ分けをしてるだけだから、遠慮なく受け取ってよ。そこで使ってもらえない方が悲しいから」
「……」
ユキノさんは、非常にらしからぬ、穏やかな笑顔を見せた。いつもの邪悪さがないと、こんな優しそうになるんだ……
「…何だか失礼なことを考えてるわね」
「んなことないっす」
背筋をピンと伸ばす。
ユキノさんは小さく笑った。
「ーーコータローは、いい男だね」
「……?」
いきなり褒められて、まず最初に何か裏があるんじゃないかと疑ってしまった俺の心は汚れてしまっているのだろうか……そうじゃないと思いたいが……
「装備はありがたく使わせてもらうよ。ありがとう」
「どういたしまして」
「お礼はシルヴィアに仕込んどくから、楽しみにしてて」
「ちょ、ちょっと、仕込むって何!?」
イヤな、というか、アブない予感しかしない。
「シルヴィアは優秀な生徒だよ。教え甲斐があるな、うん」
「うんじゃねえよ。余計なことしなくていいから!」
「ホントに余計なことかな?」
顔をのぞきこまれると、言葉につまってしまう。
「だよねー。これで恩恵を被るのはコータローだもんねー」
むむ…否定する材料がない…ないのだが、釈然としない……
しかしーー
「アブノーマルなのはやめてくれ」
そう言うのが精一杯だった……
「はいはーい」
楽しげに去っていくユキノさん。何とかいつも通りに戻ってくれたかな。しおらしいユキノさんなんて調子狂うだけだもんな。これでよかった、んだろう。多分。
ちなみに、お礼と称してシルヴィアに仕込まれた業はかなりの破壊力を誇るものでした。
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