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113 最後に帰る場所

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「…何だろう…すごく恥ずかしい……」 

 火照りの抜けきらない身体をくっつけあったシルヴィアが呟いた。

「どした?」

「この明るさが妙に恥ずかしい……すごくいけないことをしてる気になっちゃって……」

「ああ、なるほどな」

 一応カーテンは引いてあるが、遮光ではないので陽の光がある程度室内を明るくしている。具体的にはーーよく見える。

「俺としては嬉しいけどな。綺麗な身体も、気持ち良さそうな表情も、可愛らしい反応も、ぜーんぶ見れて、俺的には大満足」

「…エッチ……」

「否定はしないよー」

「もう……」

「それにさ、訓練絡まないのって久しぶりだったから堪能しちゃったよ」

「それは確かにそうかも」

「あれはあれでいいんだけど、終わった後の余韻を楽しめなくてなぁ」

 事後のイチャイチャが好きな俺にはそこが物足りないんだ。

「まあ今日は改めて再確認できたーーシルヴィア、愛してるよ」

「うん……」

 ぎゅっとしがみついてくる、その反応が可愛い。

 しばし幸福感に浸っていると、シルヴィアが思い詰めたような表情を見せた。

「…ずっと怖くて訊けなかったことがあるんだけどーー訊いてもいい?」

「何なりと」

 シルヴィアは一度深呼吸した。そんなに訊きにくいことって、何だ?

「…コータローはさ、元の世界に帰りたい?」

 ああ、そのことか。

「……」

 沈思する。どう伝えればいいかな……

「…やっぱり、帰りたい、よね……」

「そうだな。帰りたいな」

 そう答えると、シルヴィアは絶望的な顔になった。どよん、と効果音が聞こえてきそうなへこみっぷりだ。

「ごめんね、わたしのせいで……」

「ああ、そうじゃねえって。早とちりすんな」

「……?」

「帰りたいって言ったって、里帰りみたいなもんだ。心配してくれてる人もいるはずだから、俺は元気だよってのを伝えたいんだ」

 正直、それがずっと引っ掛かってる。両親はもちろん、友達にも俺が生きてることだけは知ってもらいたい。

 後、欲を言うなら、シルヴィアとミネルヴァを両親に紹介したい。

 逆に言えば、それさえできれば、もう元の世界に思い残すことはない。

「できれば一度帰りたい。諸々後始末をしたいんだ。んで、こっちに帰ってくる」

「…それでいいの?」

 不安を拭いきれない顔をしているシルヴィアの頬にキスをする。

「心配すんな。おまえを放り出してどこかに行ったりはしないからーーたとえ何があっても、俺が最後に帰ってくるのは、シルヴィアのところだから」

「うん」

 心底嬉しそうにスリスリしてくるシルヴィアがたまらなく可愛らしく、愛おしい。

 抱きしめていると、自然の摂理としてたまらなくなってしまった。

 それに伴うある変化は、この状態だと隠しようがない。

 どうにもバツが悪い。

 悪戯っぽい笑みを浮かべたシルヴィアがキスをしてくれた。

「いいよーーわたしも抱いて欲しい」

 うわ、何だ、この可愛さ。

「シルヴィアっ!」

「きゃっ!?」

 少々暴走気味に、溶け合う至福の時間に突入していった。

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