166 / 179
166 呪いの正体
しおりを挟む
そこへ後続のシルヴィアたちが追いついてきた。
周囲の惨状に、歴戦の猛者たちも息を呑んだ。
「コータロー、無事!?」
駆け寄ってきたシルヴィアを見て、魔族の男がわずかに眉をひそめたーーように見えた。
「こいつはヤバい。下がってろ」
「わたしも一緒にーー」
「いや。離れたところにいて回復の準備しててくれ。絶対必要になるし、その方がありがたい。おまえを守りながら戦える相手じゃない」
「…そんなに……」
「ああ。だから頼む」
「わかった」
表情は固かったが、シルヴィアは頷いて俺の側から離れた。
入れ換わりにミネルヴァとレイナが近づいてきた。
「あぶねえから離れててくれ」
「わかってる。でも、始まっちゃったら受け渡しできないから」
そう言ってミネルヴァは軽く唇を合わせてきた。
身体に力が漲る。相変わらずミネルヴァの身体強化は協力だ。
「わたしも」
レイナのキスで開かれたのは鑑定眼。魔族を見れば、どこを攻めたらいいのかがわかるようになった。
「ありがてえ。おまえらがついててくれれば、俺は絶対に負けねえよ」
心の底からの感謝を告げる。
「ーーおい、どういうことだ?」
そう問いかけてきたのは、対峙している魔族だった。なぜか、ものすごく驚いた顔をしている。
「何がだ?」
「なぜその女たちがここにいる?」
「は?」
何を言い出すんだ、このトンチキ? まるでシルヴィアたちのことを知ってるような口ぶりだか……
「なぜ封印が解けている?」
「封印?」
謎が深まりかけたが、ひとつピコンと閃くものがあった。
「あーーみんなにかかってた呪いの正体ってーー」
「醜く見えるよう、容姿に封印を施しておいたはずだ」
「やっぱりそういうことか」
やっと諸々の疑問が解けた。誰が何のためにあんなわけのわからない呪いをかけたのか、ずっと疑問だったのだが、これで全部腑に落ちた。
「貴様が解いたのか?」
「まあそういうことになるのかな」
「そう簡単に解けるはずはないんだがな」
「真実の愛の勝利ってところだな」
思いっきり胸を張って言ってやった。
「呪いはよく効いてたみたいだぜーー俺以外の人間にはな」
「貴様には効かなかったというのか」
「だな。最初っから三人とも超絶美人に見えてたぜ」
鏡を見れば、多分ドヤ顔してると思う。でも、ここはどんだけドヤってもいいはずだ。
「だから、三人とも俺の嫁になってもらった」
「何だとっ!?」
魔族の驚きはなぜか尋常ではなかった。
周囲の惨状に、歴戦の猛者たちも息を呑んだ。
「コータロー、無事!?」
駆け寄ってきたシルヴィアを見て、魔族の男がわずかに眉をひそめたーーように見えた。
「こいつはヤバい。下がってろ」
「わたしも一緒にーー」
「いや。離れたところにいて回復の準備しててくれ。絶対必要になるし、その方がありがたい。おまえを守りながら戦える相手じゃない」
「…そんなに……」
「ああ。だから頼む」
「わかった」
表情は固かったが、シルヴィアは頷いて俺の側から離れた。
入れ換わりにミネルヴァとレイナが近づいてきた。
「あぶねえから離れててくれ」
「わかってる。でも、始まっちゃったら受け渡しできないから」
そう言ってミネルヴァは軽く唇を合わせてきた。
身体に力が漲る。相変わらずミネルヴァの身体強化は協力だ。
「わたしも」
レイナのキスで開かれたのは鑑定眼。魔族を見れば、どこを攻めたらいいのかがわかるようになった。
「ありがてえ。おまえらがついててくれれば、俺は絶対に負けねえよ」
心の底からの感謝を告げる。
「ーーおい、どういうことだ?」
そう問いかけてきたのは、対峙している魔族だった。なぜか、ものすごく驚いた顔をしている。
「何がだ?」
「なぜその女たちがここにいる?」
「は?」
何を言い出すんだ、このトンチキ? まるでシルヴィアたちのことを知ってるような口ぶりだか……
「なぜ封印が解けている?」
「封印?」
謎が深まりかけたが、ひとつピコンと閃くものがあった。
「あーーみんなにかかってた呪いの正体ってーー」
「醜く見えるよう、容姿に封印を施しておいたはずだ」
「やっぱりそういうことか」
やっと諸々の疑問が解けた。誰が何のためにあんなわけのわからない呪いをかけたのか、ずっと疑問だったのだが、これで全部腑に落ちた。
「貴様が解いたのか?」
「まあそういうことになるのかな」
「そう簡単に解けるはずはないんだがな」
「真実の愛の勝利ってところだな」
思いっきり胸を張って言ってやった。
「呪いはよく効いてたみたいだぜーー俺以外の人間にはな」
「貴様には効かなかったというのか」
「だな。最初っから三人とも超絶美人に見えてたぜ」
鏡を見れば、多分ドヤ顔してると思う。でも、ここはどんだけドヤってもいいはずだ。
「だから、三人とも俺の嫁になってもらった」
「何だとっ!?」
魔族の驚きはなぜか尋常ではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる