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32 手紙(3通目)
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「差出人はーーアルミナ姫です」
見たくねえ……
しかし、この流れでは読まないわけにはいかない。
誰かに代わりに読んでもらうことも考えたケントだったが、頭を振ってその考えを打ち消した。
どう考えてもまともな内容ではないはずだから、なるべく人目には触れさせたくないと思ったのだ。
どこまでもお人好しなケントである。
諦念のこもったため息をついて、ケントは手紙の封を切った。
折り畳まれた便箋を取り出す。
広げる前に、二度大きく深呼吸。
十分に心の準備を整え、ケントは手紙を開いた。
親愛なるケントへ
今日は素敵なお知らせがあります。
きっとケントも喜んでくれると思うの。
子供ができました。
もちろん二人の子供だよ。
誰に抱かれても「これはケント」って言い聞かせてたの。
だから、これはケントの子供だよ。
早く生まれないかなあ。
名前は二人で考えようね。
この時点でケントは一旦手紙から目を離した。
「ふうー」
大きく息をつく。
覚悟していた以上に精神の消耗は激しかった。
何考えてんだよ、アイツ。
色々な意味でアルミナは遠くに行ってしまったようだ。もはや住んでいる世界が違うのかもしれない。
たとえここでくじけてしまったとしても、誰もケントを責める者はいなかっただろう。
しかし、ケントは呼吸を整えると、再び手紙を読み始めた。
そう言えば、ちょっと小耳に挟んだんだけど、最近ケントに色目を使うアバズレが現れたんだって?
何考えてるのかしらね。わたしたちの間を裂けるとでも思ってるのかしら。
放っておいてもいいかなとも思ったんだけど、今後こういう手合いが現れないようにするためには見せしめが必要よね。
さくっと殺ってくるね。
そしたら迎えに来て。
ちょっと遠回りしちゃったけど、三人で幸せに暮らそう。
楽しみにしてるからね。
あなたのアルミナより
「……」
もう本当に何て言っていいかわかんねえよ……
ケントは肺が空っぽになるくらい深いため息をついた。
…やっぱり俺が悪かったんだよな……
それだけは間違いのないところだった。
最初にキッチリしておけば良かったのだ。情に流されてそれができなかったために、今の状況が生まれてしまっている。
でも、これ以上は放置できない。と言うか、してはいけない。こんなくだらないきっかけで戦争が起こってしまったら、世界にーー両国の国民に対して申し訳なさすぎる。
とりあえず戦争は止める。アルミナへの引導の渡し方はその後で考える。
そう決意して、ケントは立ち上がった。
見たくねえ……
しかし、この流れでは読まないわけにはいかない。
誰かに代わりに読んでもらうことも考えたケントだったが、頭を振ってその考えを打ち消した。
どう考えてもまともな内容ではないはずだから、なるべく人目には触れさせたくないと思ったのだ。
どこまでもお人好しなケントである。
諦念のこもったため息をついて、ケントは手紙の封を切った。
折り畳まれた便箋を取り出す。
広げる前に、二度大きく深呼吸。
十分に心の準備を整え、ケントは手紙を開いた。
親愛なるケントへ
今日は素敵なお知らせがあります。
きっとケントも喜んでくれると思うの。
子供ができました。
もちろん二人の子供だよ。
誰に抱かれても「これはケント」って言い聞かせてたの。
だから、これはケントの子供だよ。
早く生まれないかなあ。
名前は二人で考えようね。
この時点でケントは一旦手紙から目を離した。
「ふうー」
大きく息をつく。
覚悟していた以上に精神の消耗は激しかった。
何考えてんだよ、アイツ。
色々な意味でアルミナは遠くに行ってしまったようだ。もはや住んでいる世界が違うのかもしれない。
たとえここでくじけてしまったとしても、誰もケントを責める者はいなかっただろう。
しかし、ケントは呼吸を整えると、再び手紙を読み始めた。
そう言えば、ちょっと小耳に挟んだんだけど、最近ケントに色目を使うアバズレが現れたんだって?
何考えてるのかしらね。わたしたちの間を裂けるとでも思ってるのかしら。
放っておいてもいいかなとも思ったんだけど、今後こういう手合いが現れないようにするためには見せしめが必要よね。
さくっと殺ってくるね。
そしたら迎えに来て。
ちょっと遠回りしちゃったけど、三人で幸せに暮らそう。
楽しみにしてるからね。
あなたのアルミナより
「……」
もう本当に何て言っていいかわかんねえよ……
ケントは肺が空っぽになるくらい深いため息をついた。
…やっぱり俺が悪かったんだよな……
それだけは間違いのないところだった。
最初にキッチリしておけば良かったのだ。情に流されてそれができなかったために、今の状況が生まれてしまっている。
でも、これ以上は放置できない。と言うか、してはいけない。こんなくだらないきっかけで戦争が起こってしまったら、世界にーー両国の国民に対して申し訳なさすぎる。
とりあえず戦争は止める。アルミナへの引導の渡し方はその後で考える。
そう決意して、ケントは立ち上がった。
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