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43 これでいいのか?
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ケントは混乱していた。
アルミナに婚約破棄を告げられた時も混乱したが、身に覚えのない婚約を告げられた今の方が更に混乱していた。
えーっと、グリーンヒルの王太子って俺のことだよな……で、アリサがグリーンヒル王太子の婚約者ってことは……アリサが俺の婚約者ってことか?
そこまで思考が巡ったところで、ようやく言葉の意味を理解する。
「ええーっ!?」
明らかにタイミングのずれた驚きの声にフローリアとアリサは似たような微苦笑を浮かべた。
「何で!? いつ決まったの!?」
「「さっき」」
二人揃ってあっけらかんと言ってのける。そんなに大騒ぎすることじゃないでしょ、と言わんばかりの態度に、ケントは自分が間違っているような気分になってしまう。
「あれ? 今の感じだと、フローリアも……?」
「うん!」
元気よく頷かれて、ケントの頭はハレーションを起こした。
一体全体どうなってんだ? 二人ともに俺の婚約者って……ん?
急展開過ぎて置いてきぼり状態の思考力が、自分にとって非常に都合のいい点に思い至った。
「…もしかして……どっちかを選ばなくても、いいのか……?」
でも、それはあまりにも自分にとって都合が良すぎる。バチが当たりそうで怖い。
「「やっぱり」」
フローリアとアリサは顔を見合わせて笑った。想像していた通りのことでケントが悩んでいた。それが二人には何とはなしに嬉しかった。
もう一度頷き合い、フローリアとアリサは揃ってケントに手を差し出した。
「「ケント、わたしたちと結婚してください」」
「……」
咄嗟にケントは返事ができなかった。何か気の利いた返事ができればよかったのだが、ケントにはあまりに高いハードルだった。
そのため、返事が少々中途半端なものになってしまう。
「あ、はい。光栄です」
男としてここはビシッと決めたいところだったが、女性の側からプロポーズされている時点で今更感が強い。ケントらしいと言えば実にケントらしかったので、フローリアとアリサには受け入れてもらった嬉しさしかなかった。
「「やったあ!」」
笑顔を弾けさせたフローリアとアリサはケントに飛びついた。
ここで支えきれずに押し倒されていたら黒歴史になりかねないところだったが、ケントは何とか頑張った。腰のあたりで危険な音が聞こえたような気がしたが、そこはなけなしの意地で耐えた。
周りに集まっていた野次馬たちから盛大な拍手と歓声が沸き起こる。
仮にも王族の婚約がこんな形で決まるのは前代未聞と言えるのだが、誰も気にしてはいなかった。
ただ一人を除いて。
「待ちなさいよ!」
その声は禍々しく響いた。
アルミナに婚約破棄を告げられた時も混乱したが、身に覚えのない婚約を告げられた今の方が更に混乱していた。
えーっと、グリーンヒルの王太子って俺のことだよな……で、アリサがグリーンヒル王太子の婚約者ってことは……アリサが俺の婚約者ってことか?
そこまで思考が巡ったところで、ようやく言葉の意味を理解する。
「ええーっ!?」
明らかにタイミングのずれた驚きの声にフローリアとアリサは似たような微苦笑を浮かべた。
「何で!? いつ決まったの!?」
「「さっき」」
二人揃ってあっけらかんと言ってのける。そんなに大騒ぎすることじゃないでしょ、と言わんばかりの態度に、ケントは自分が間違っているような気分になってしまう。
「あれ? 今の感じだと、フローリアも……?」
「うん!」
元気よく頷かれて、ケントの頭はハレーションを起こした。
一体全体どうなってんだ? 二人ともに俺の婚約者って……ん?
急展開過ぎて置いてきぼり状態の思考力が、自分にとって非常に都合のいい点に思い至った。
「…もしかして……どっちかを選ばなくても、いいのか……?」
でも、それはあまりにも自分にとって都合が良すぎる。バチが当たりそうで怖い。
「「やっぱり」」
フローリアとアリサは顔を見合わせて笑った。想像していた通りのことでケントが悩んでいた。それが二人には何とはなしに嬉しかった。
もう一度頷き合い、フローリアとアリサは揃ってケントに手を差し出した。
「「ケント、わたしたちと結婚してください」」
「……」
咄嗟にケントは返事ができなかった。何か気の利いた返事ができればよかったのだが、ケントにはあまりに高いハードルだった。
そのため、返事が少々中途半端なものになってしまう。
「あ、はい。光栄です」
男としてここはビシッと決めたいところだったが、女性の側からプロポーズされている時点で今更感が強い。ケントらしいと言えば実にケントらしかったので、フローリアとアリサには受け入れてもらった嬉しさしかなかった。
「「やったあ!」」
笑顔を弾けさせたフローリアとアリサはケントに飛びついた。
ここで支えきれずに押し倒されていたら黒歴史になりかねないところだったが、ケントは何とか頑張った。腰のあたりで危険な音が聞こえたような気がしたが、そこはなけなしの意地で耐えた。
周りに集まっていた野次馬たちから盛大な拍手と歓声が沸き起こる。
仮にも王族の婚約がこんな形で決まるのは前代未聞と言えるのだが、誰も気にしてはいなかった。
ただ一人を除いて。
「待ちなさいよ!」
その声は禍々しく響いた。
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