婚約破棄で追放された悪役令嬢、前世の便利屋スキルで辺境開拓はじめました~王太子が後悔してももう遅い。私は私のやり方で幸せになります~

黒崎隼人

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番外編2:ガイアの恋文騒動

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 朴訥ぼくとつで屈強な便利屋連盟の鬼教官、ガイアが恋をした。相手は、村でパン屋を営む、笑顔が素敵な女性だった。
 思い詰めたガイアは、数日かけて、人生初の一大プロジェクトに取り組んだ。恋文である。
 しかし、彼は気づいていなかった。己の字が、ミミズがのたうち回ったような、解読不能レベルの壊滅的な代物であるという事実に。
 ある夜、ガイアはクラリスの執務室に、巨大な体を縮こまらせてやってきた。そして、一枚の羊皮紙を差し出し、顔を真っ赤にしてこう言った。
「ク、クラリスさん……。これを、読んでくれ……」
 クラリスが羊皮紙を受け取り、目を通して……絶句した。そこに書かれているのは、古代ルーン文字でも、失われた暗号でもない。ただ、あまりにも下手な字だった。
「……ガイア。これは……何語?」
「……恋文、だ」
 絞り出すような声に、クラリスはすべてを察した。そして、笑いを堪えるのに必死だった。
「わかったわ。依頼として受けましょう。依頼内容は『恋の成就』、でいいかしら?」
「……頼む」
 結局、クラリスがほぼ全文を代筆(ガイアの熱い想いを、美しい言葉に翻訳)し、ガイアはそれを必死に練習して書き写した。
 後日、パン屋の彼女から「不器用だけど、心のこもったお手紙、嬉しかったです」という、最高の返事が届いた。
 ガイアは、その手紙を胸に、訓練場でいつも以上に気合の入った号令を響かせるのだった。便利屋連盟、恋愛相談も受け付けます。ただし、成功報酬はパン一年分。
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