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第一章「無自覚チート《概念編集》と訳あり聖女の逃避行」
第37話「勝利の代償」
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俺が再び目を覚ました時、そこはエルドラナの神殿にある見慣れた一室だった。
窓から差し込む光の加減から、どうやら丸一日眠っていたらしい。
身体を起こそうとするが激痛が走り、思わずうめき声を上げる。
「……無理をしてはいけません」
ベッドの脇にソフィアラが座っていた。
その表情はどこか険しい。
「俺……」
「あなたは三日三晩、生死の境をさまよっていました。ルミナがつきっきりで聖光魔法をかけ続けていなければ、今頃命はなかったでしょう」
三日……。
またそんなに眠っていたのか。
「……すみません、心配をかけました」
「カイ殿。わたくしはあなたに問わねばなりません」
ソフィアラは俺の謝罪を遮り、厳しい口調で言った。
「あの時あなたは何をしましたか? あの戦いの理を捻じ曲げたのは、あなたの仕業ですね?」
彼女の目は全てお見通しだった。
俺は隠すことなく正直に話した。
光と闇の法則を一時的に書き換えたことを。
俺の話を聞き終えたソフィアラは、深いため息をついた。
「……やはり、そうでしたか。あなたは決して使ってはならぬ力に、手を出してしまった」
「ですが、あれしかルミナを助ける方法は……!」
「分かっております。あなたの行いが我らを救ったことも。ですがカイ殿、世界の理を書き換えるということは、世界そのものに歪みを生じさせるということ。その代償はいつか必ず、あなた自身かあるいはこの世界そのものに降りかかってくるでしょう」
代償……。
ソフィアラの言葉は俺の心に、重い鉛のようにのしかかった。
俺はとんでもないことをしてしまったのかもしれない。
「あなたの力はあまりにも危険すぎる。もはや人の身に余る代物です。このままあなたがこの世界に留まることは、許されないかもしれません」
その言葉は事実上の追放宣告に等しかった。
俺は何も言い返すことができなかった。
彼女の言うことは正しかったからだ。
俺の存在は、この世界のバランスを崩しかねない異物なのだ。
その時、部屋の扉が静かに開きルミナが入ってきた。
彼女の顔はひどく憔悴していたが、俺が目を覚ましたのを見てぱっと表情を輝かせた。
「カイ! よかった……目が覚めたのね!」
彼女は俺のベッドのそばに駆け寄ると、俺の手をぎゅっと握りしめた。
「お祖母様、お待ちください!」
ルミナはソフィアラに向き直り、決然とした態度で言った。
「カイをこの都から追い出すというのなら、私も一緒に出ていきます。彼が世界の理を乱すというのなら、私が私の聖なる力でその歪みを正します。彼と共に」
「ルミナ、お前……」
俺は驚いて彼女の顔を見た。
「何を言うのです、ルミナ。あなたはこの一族を率いていく最後の聖女なのですよ!?」
ソフィアラが声を荒らげる。
「いいえ。私はもうただの聖女ではありません。私はカイと共に生きると決めたのです。彼がいない世界に、私が生きる意味はありません」
ルミナの瞳には揺るぎない決意が宿っていた。
ソフィアラとルミナが睨み合う。
部屋に張り詰めた空気が流れた。
俺はどうすればいいのか分からなかった。
俺のせいで彼女たちを対立させてしまっている。
俺は本当にこの世界にいていいのだろうか。
ルミナの隣に、いていいのだろうか。
答えの出ない問いが、俺の心を重く支配していた。
窓から差し込む光の加減から、どうやら丸一日眠っていたらしい。
身体を起こそうとするが激痛が走り、思わずうめき声を上げる。
「……無理をしてはいけません」
ベッドの脇にソフィアラが座っていた。
その表情はどこか険しい。
「俺……」
「あなたは三日三晩、生死の境をさまよっていました。ルミナがつきっきりで聖光魔法をかけ続けていなければ、今頃命はなかったでしょう」
三日……。
またそんなに眠っていたのか。
「……すみません、心配をかけました」
「カイ殿。わたくしはあなたに問わねばなりません」
ソフィアラは俺の謝罪を遮り、厳しい口調で言った。
「あの時あなたは何をしましたか? あの戦いの理を捻じ曲げたのは、あなたの仕業ですね?」
彼女の目は全てお見通しだった。
俺は隠すことなく正直に話した。
光と闇の法則を一時的に書き換えたことを。
俺の話を聞き終えたソフィアラは、深いため息をついた。
「……やはり、そうでしたか。あなたは決して使ってはならぬ力に、手を出してしまった」
「ですが、あれしかルミナを助ける方法は……!」
「分かっております。あなたの行いが我らを救ったことも。ですがカイ殿、世界の理を書き換えるということは、世界そのものに歪みを生じさせるということ。その代償はいつか必ず、あなた自身かあるいはこの世界そのものに降りかかってくるでしょう」
代償……。
ソフィアラの言葉は俺の心に、重い鉛のようにのしかかった。
俺はとんでもないことをしてしまったのかもしれない。
「あなたの力はあまりにも危険すぎる。もはや人の身に余る代物です。このままあなたがこの世界に留まることは、許されないかもしれません」
その言葉は事実上の追放宣告に等しかった。
俺は何も言い返すことができなかった。
彼女の言うことは正しかったからだ。
俺の存在は、この世界のバランスを崩しかねない異物なのだ。
その時、部屋の扉が静かに開きルミナが入ってきた。
彼女の顔はひどく憔悴していたが、俺が目を覚ましたのを見てぱっと表情を輝かせた。
「カイ! よかった……目が覚めたのね!」
彼女は俺のベッドのそばに駆け寄ると、俺の手をぎゅっと握りしめた。
「お祖母様、お待ちください!」
ルミナはソフィアラに向き直り、決然とした態度で言った。
「カイをこの都から追い出すというのなら、私も一緒に出ていきます。彼が世界の理を乱すというのなら、私が私の聖なる力でその歪みを正します。彼と共に」
「ルミナ、お前……」
俺は驚いて彼女の顔を見た。
「何を言うのです、ルミナ。あなたはこの一族を率いていく最後の聖女なのですよ!?」
ソフィアラが声を荒らげる。
「いいえ。私はもうただの聖女ではありません。私はカイと共に生きると決めたのです。彼がいない世界に、私が生きる意味はありません」
ルミナの瞳には揺るぎない決意が宿っていた。
ソフィアラとルミナが睨み合う。
部屋に張り詰めた空気が流れた。
俺はどうすればいいのか分からなかった。
俺のせいで彼女たちを対立させてしまっている。
俺は本当にこの世界にいていいのだろうか。
ルミナの隣に、いていいのだろうか。
答えの出ない問いが、俺の心を重く支配していた。
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