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第一章「無自覚チート《概念編集》と訳あり聖女の逃避行」
第40話「長老の譲歩」
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翌朝、俺とルミナはソフィアラに呼び出され、再び世界樹の心臓部へと赴いていた。
昨夜のことがあったせいか、二人ともどこか気まずい空気が流れている。
世界樹の根元で待っていたソフィアラは俺たちの顔を交互に見ると、ふっと小さく息をついた。
その表情は以前のような厳しさはなく、どこか穏やかだった。
「……どうやら二人の覚悟は、決まったようだね」
その言葉に俺とルミナは顔を見合わせ、こくりとうなずく。
「はい。私はカイと共に生きます。どんな困難があろうとも」
ルミナがきっぱりと宣言した。
ソフィアラはそんなルミナの姿を、眩しそうに細めて見ていた。
「……わたくしの負けだね」
彼女はぽつりとそうつぶやいた。
「長老として一族の未来を思えば、あなたをこの都に縛り付けておくのが最善の道だろう。ですが……一人の祖母として孫娘の幸せを願う気持ちに、嘘はつけないからね」
その言葉にルミナの瞳が、わずかに潤んだ。
「お祖母様……」
「ただし」とソフィアラは続けた。
その目は再び長老としての鋭い光を取り戻す。
「無条件に全てを許すわけにはいかない。カイ殿、あなたの力が世界にとって危険なものであることに変わりはない。そしてルミナ、あなたは聖女としての責務を完全に放棄したわけではないはず」
「……はい」
「そこで二人に新たな使命を与えます」
ソフィアラは俺とルミナに、一つの提案をした。
「カイ殿。あなたはそこの力をこの世界のために使うことを誓いなさい。世界の理を乱した代償として、世界の歪みを正すためにその力を使うのです」
「世界の歪みを……正す?」
「うむ。影の教団は滅びたが、彼らが崇拝した邪神の脅威が完全に消え去ったわけではない。教団の残党もまだ各地に潜んでいるやもしれぬ。それらの邪悪の芽を摘み、世界に平和を取り戻す。それがあなたの贖罪であり使命です」
それは俺にとっても望むところだった。
この力をただ持て余すのではなく、誰かのために使えるのなら。
「そしてルミナ」
ソフィアラは孫娘に向き直る。
「あなたはカイ殿の『監視役』として常に彼の側にありなさい。彼の力が暴走せぬよう、その聖なる力で彼を導き支えるのです。それがあなたに課せられた新たな聖女の務め。……よろしいかな?」
それはソフィアラが考え抜いた最善の妥協案だった。
俺を縛り付けるのではなく世界のために役立てさせる。
ルミナを都に縛り付けるのではなく、俺と共に歩ませながら聖女としての役割を与える。
俺とルミナは顔を見合わせた。
そこにはもう迷いはなかった。
二人の声が重なり、力強い返事が静かな心臓部に響いた。
「はい、謹んでお受けします」
俺たちはソフィアラに深く頭を下げた。
こうして俺たちはエルドラナを旅立つことが決まった。
それは追放でも逃避行でもない。
世界の平和を取り戻すという、大きな使命を帯びた新たな旅の始まりだった。
昨夜のことがあったせいか、二人ともどこか気まずい空気が流れている。
世界樹の根元で待っていたソフィアラは俺たちの顔を交互に見ると、ふっと小さく息をついた。
その表情は以前のような厳しさはなく、どこか穏やかだった。
「……どうやら二人の覚悟は、決まったようだね」
その言葉に俺とルミナは顔を見合わせ、こくりとうなずく。
「はい。私はカイと共に生きます。どんな困難があろうとも」
ルミナがきっぱりと宣言した。
ソフィアラはそんなルミナの姿を、眩しそうに細めて見ていた。
「……わたくしの負けだね」
彼女はぽつりとそうつぶやいた。
「長老として一族の未来を思えば、あなたをこの都に縛り付けておくのが最善の道だろう。ですが……一人の祖母として孫娘の幸せを願う気持ちに、嘘はつけないからね」
その言葉にルミナの瞳が、わずかに潤んだ。
「お祖母様……」
「ただし」とソフィアラは続けた。
その目は再び長老としての鋭い光を取り戻す。
「無条件に全てを許すわけにはいかない。カイ殿、あなたの力が世界にとって危険なものであることに変わりはない。そしてルミナ、あなたは聖女としての責務を完全に放棄したわけではないはず」
「……はい」
「そこで二人に新たな使命を与えます」
ソフィアラは俺とルミナに、一つの提案をした。
「カイ殿。あなたはそこの力をこの世界のために使うことを誓いなさい。世界の理を乱した代償として、世界の歪みを正すためにその力を使うのです」
「世界の歪みを……正す?」
「うむ。影の教団は滅びたが、彼らが崇拝した邪神の脅威が完全に消え去ったわけではない。教団の残党もまだ各地に潜んでいるやもしれぬ。それらの邪悪の芽を摘み、世界に平和を取り戻す。それがあなたの贖罪であり使命です」
それは俺にとっても望むところだった。
この力をただ持て余すのではなく、誰かのために使えるのなら。
「そしてルミナ」
ソフィアラは孫娘に向き直る。
「あなたはカイ殿の『監視役』として常に彼の側にありなさい。彼の力が暴走せぬよう、その聖なる力で彼を導き支えるのです。それがあなたに課せられた新たな聖女の務め。……よろしいかな?」
それはソフィアラが考え抜いた最善の妥協案だった。
俺を縛り付けるのではなく世界のために役立てさせる。
ルミナを都に縛り付けるのではなく、俺と共に歩ませながら聖女としての役割を与える。
俺とルミナは顔を見合わせた。
そこにはもう迷いはなかった。
二人の声が重なり、力強い返事が静かな心臓部に響いた。
「はい、謹んでお受けします」
俺たちはソフィアラに深く頭を下げた。
こうして俺たちはエルドラナを旅立つことが決まった。
それは追放でも逃避行でもない。
世界の平和を取り戻すという、大きな使命を帯びた新たな旅の始まりだった。
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