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第二章「最強になった俺と聖女様、世界の真の黒幕を倒しに行きます。」
第54話「決死の脱出行と黒幕の影」
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「ルミナ、あいつは瘴気の塊だ! 聖なる光が有効なはず!」
「ええ、やってみるわ!」
ルミナが先陣を切り、光の矢を黒鎧の騎士(カースドナイト)へと放つ。
光の矢は確かに騎士の装甲を貫き、ジュウという音を立ててその身体を蝕んだ。
「グルオオオッ!」
カースドナイトは苦悶の咆哮を上げ、その巨大な両刃斧をルミナ目掛けて振り下ろした。
「危ない!」
俺は彼女を突き飛ばし、その一撃を剣で受け止める。
ズゥン!
凄まじい重量。
腕が、肩が悲鳴を上げる。
エルドラナで強化してもらった剣でなければ一撃で折られていただろう。
「カイ!」
「大丈夫だ! こいつ、パワーだけならザルヴァーク以上かもしれない!」
俺は渾身の力で斧を押し返すと、カースドナイトとの距離を取る。
罠だと分かっていてもこの番人を倒さなければ、この閉ざされた空間から出ることはできない。
「連携で行くぞ、ルミナ!」
「はい!」
俺が前衛でカースドナイトの注意を引きつけ、その隙にルミナが背後から浄化の魔法を叩き込む。
これまで何度もやってきた俺たちの必勝パターンだ。
だがカースドナイトはただの魔物ではなかった。
ザルヴァークが残した強力な番人。
俺たちの動きを的確に読んでくる。
俺が斬りかかれば斧の柄で巧みにいなし、ルミナが魔法を唱えればその巨体に似合わぬ俊敏さで射線から逃れる。
「くそっ、手ごわい!」
戦いは消耗戦の様相を呈してきた。
このままではこちらの体力が尽きるのが先だ。
『何か、一撃で決められる決定的な手を……!』
俺は思考を巡らせる。
このカースドナイトは瘴気でできたゴーレム。
物理的な破壊よりもその核となっている部分を直接浄化するのが一番効果的なはずだ。
核はどこだ?
あの鎧の中枢……おそらくは胸のあたりか。
「ルミナ、一瞬でいい! あいつの動きを完全に止めてくれ!」
「……分かったわ。最大魔法を使う! 少し時間をちょうだい!」
ルミナは俺から距離を取ると瞳を閉じ、集中力を高め始めた。
彼女の全身から膨大な聖なる魔力が渦のように立ち上る。
その間、俺は一人でカースドナイトの猛攻を凌がなければならない。
「うおおおおおっ!」
俺はこれまでにないほどの速度で剣を振るい続ける。
斬る、避ける、いなす。
一瞬の油断も許されない死線上の攻防。
鎧のあちこちが砕け、俺自身の身体にも無数の切り傷が刻まれていく。
だが俺は耐えた。
ルミナを信じて。
「……今よ、カイ!」
ルミナが目を見開く。
その瞳は金色に輝いていた。
「聖なる鎖よ、七つの戒めとなりて、邪神の僕を封じ込めよ! セブンス・プリズン!」
彼女の両手から七本の光の鎖が放たれた。
鎖はカースドナイトの四肢、胴体、そして首を寸分の狂いもなく縛り上げる。
「グオオオオオッ!」
カースドナイトは激しく抵抗するが、聖女の最大級の封印魔法はさすがの彼でも数秒間その動きを完全に封じ込めることに成功した。
そのほんの数秒が、俺にとっては十分すぎる時間だった。
俺はカースドナイトの胸元、鎧の隙間へと一直線に駆け抜けていた。
そして剣を構えるのではない。
俺はその隙間に自分の右手を直接突き入れた。
『この「瘴気の核」を……「ただの砂粒」に!』
俺の《概念編集》がカースドナイトの心臓部で炸裂した。
「……ガ……ア……」
カースドナイトの身体から急速に力が失われていく。
黒い鎧はガラガラと音を立てて崩れ落ち、後に残されたのは一握りの黒い砂だけだった。
「はぁ……はぁ……やったのか……」
俺はその場に膝をついた。
全身が鉛のように重い。
カースドナイトが倒れると同時に、閉ざされていた石の扉がゆっくりと開いていった。
「カイ!」
魔力を使い果たしふらふらのルミナが俺に駆け寄ってくる。
俺たちは互いの身体を支え合い、ボロボロになりながらもなんとかその場に立ち尽くしていた。
俺たちは罠を突破した。
だが代償として大きな時間と体力を消耗してしまった。
本物の第三の楔は今頃どこに……。
その時だった。
「――お見事。まさかザルヴァーク様の番人を破るとはな」
遺跡の入り口、開かれた扉の向こうに二つの人影が立っていた。
シンと、レン。
「……お前たち!」
「その様子では楔がここにはないとようやく気づいたようだな。残念だったな、お前たちは我々の時間稼ぎに見事に貢献してくれた」
シンは嘲るように言った。
そして彼はその手に持っていたものを俺たちに見せつける。
それは禍々しい瘴気を放つ本物の『封印の楔』だった。
「お前たちがこの偽物の遺跡で遊んでいる間に、我々は本物の在り処を突き止め悠々といただいてきたというわけだ」
「なっ……!?」
全ては奴らの掌の上だったのだ。
この遺跡の罠さえも彼らの計画の一部だった。
「さて、と。これで三つ目だ」
シンは満足そうに楔を懐にしまうと、俺たちに背を向けた。
「待て! 返せ!」
俺が叫ぶがシンは振り返りもしない。
「案ずるな。お前たちとの決着はいずれ必ずつける。全ての楔が揃ったその時に……な」
「その時こそが我らが『真の主』が目覚め、この世界が真の姿を取り戻す時だ」
レンが静かに付け加える。
そう言い残すと二人の姿はまたしても影の中へと溶けるように消えていった。
残されたのはさらなる敗北感と、そして『真の主』という不気味な言葉だけ。
影の教団の背後にいた真の黒幕。
その輪郭が少しずつ、しかし確実に明らかになろうとしていた。
俺たちの戦いはまだ本当の敵のその尻尾を掴んだに過ぎなかったのだ。
「ええ、やってみるわ!」
ルミナが先陣を切り、光の矢を黒鎧の騎士(カースドナイト)へと放つ。
光の矢は確かに騎士の装甲を貫き、ジュウという音を立ててその身体を蝕んだ。
「グルオオオッ!」
カースドナイトは苦悶の咆哮を上げ、その巨大な両刃斧をルミナ目掛けて振り下ろした。
「危ない!」
俺は彼女を突き飛ばし、その一撃を剣で受け止める。
ズゥン!
凄まじい重量。
腕が、肩が悲鳴を上げる。
エルドラナで強化してもらった剣でなければ一撃で折られていただろう。
「カイ!」
「大丈夫だ! こいつ、パワーだけならザルヴァーク以上かもしれない!」
俺は渾身の力で斧を押し返すと、カースドナイトとの距離を取る。
罠だと分かっていてもこの番人を倒さなければ、この閉ざされた空間から出ることはできない。
「連携で行くぞ、ルミナ!」
「はい!」
俺が前衛でカースドナイトの注意を引きつけ、その隙にルミナが背後から浄化の魔法を叩き込む。
これまで何度もやってきた俺たちの必勝パターンだ。
だがカースドナイトはただの魔物ではなかった。
ザルヴァークが残した強力な番人。
俺たちの動きを的確に読んでくる。
俺が斬りかかれば斧の柄で巧みにいなし、ルミナが魔法を唱えればその巨体に似合わぬ俊敏さで射線から逃れる。
「くそっ、手ごわい!」
戦いは消耗戦の様相を呈してきた。
このままではこちらの体力が尽きるのが先だ。
『何か、一撃で決められる決定的な手を……!』
俺は思考を巡らせる。
このカースドナイトは瘴気でできたゴーレム。
物理的な破壊よりもその核となっている部分を直接浄化するのが一番効果的なはずだ。
核はどこだ?
あの鎧の中枢……おそらくは胸のあたりか。
「ルミナ、一瞬でいい! あいつの動きを完全に止めてくれ!」
「……分かったわ。最大魔法を使う! 少し時間をちょうだい!」
ルミナは俺から距離を取ると瞳を閉じ、集中力を高め始めた。
彼女の全身から膨大な聖なる魔力が渦のように立ち上る。
その間、俺は一人でカースドナイトの猛攻を凌がなければならない。
「うおおおおおっ!」
俺はこれまでにないほどの速度で剣を振るい続ける。
斬る、避ける、いなす。
一瞬の油断も許されない死線上の攻防。
鎧のあちこちが砕け、俺自身の身体にも無数の切り傷が刻まれていく。
だが俺は耐えた。
ルミナを信じて。
「……今よ、カイ!」
ルミナが目を見開く。
その瞳は金色に輝いていた。
「聖なる鎖よ、七つの戒めとなりて、邪神の僕を封じ込めよ! セブンス・プリズン!」
彼女の両手から七本の光の鎖が放たれた。
鎖はカースドナイトの四肢、胴体、そして首を寸分の狂いもなく縛り上げる。
「グオオオオオッ!」
カースドナイトは激しく抵抗するが、聖女の最大級の封印魔法はさすがの彼でも数秒間その動きを完全に封じ込めることに成功した。
そのほんの数秒が、俺にとっては十分すぎる時間だった。
俺はカースドナイトの胸元、鎧の隙間へと一直線に駆け抜けていた。
そして剣を構えるのではない。
俺はその隙間に自分の右手を直接突き入れた。
『この「瘴気の核」を……「ただの砂粒」に!』
俺の《概念編集》がカースドナイトの心臓部で炸裂した。
「……ガ……ア……」
カースドナイトの身体から急速に力が失われていく。
黒い鎧はガラガラと音を立てて崩れ落ち、後に残されたのは一握りの黒い砂だけだった。
「はぁ……はぁ……やったのか……」
俺はその場に膝をついた。
全身が鉛のように重い。
カースドナイトが倒れると同時に、閉ざされていた石の扉がゆっくりと開いていった。
「カイ!」
魔力を使い果たしふらふらのルミナが俺に駆け寄ってくる。
俺たちは互いの身体を支え合い、ボロボロになりながらもなんとかその場に立ち尽くしていた。
俺たちは罠を突破した。
だが代償として大きな時間と体力を消耗してしまった。
本物の第三の楔は今頃どこに……。
その時だった。
「――お見事。まさかザルヴァーク様の番人を破るとはな」
遺跡の入り口、開かれた扉の向こうに二つの人影が立っていた。
シンと、レン。
「……お前たち!」
「その様子では楔がここにはないとようやく気づいたようだな。残念だったな、お前たちは我々の時間稼ぎに見事に貢献してくれた」
シンは嘲るように言った。
そして彼はその手に持っていたものを俺たちに見せつける。
それは禍々しい瘴気を放つ本物の『封印の楔』だった。
「お前たちがこの偽物の遺跡で遊んでいる間に、我々は本物の在り処を突き止め悠々といただいてきたというわけだ」
「なっ……!?」
全ては奴らの掌の上だったのだ。
この遺跡の罠さえも彼らの計画の一部だった。
「さて、と。これで三つ目だ」
シンは満足そうに楔を懐にしまうと、俺たちに背を向けた。
「待て! 返せ!」
俺が叫ぶがシンは振り返りもしない。
「案ずるな。お前たちとの決着はいずれ必ずつける。全ての楔が揃ったその時に……な」
「その時こそが我らが『真の主』が目覚め、この世界が真の姿を取り戻す時だ」
レンが静かに付け加える。
そう言い残すと二人の姿はまたしても影の中へと溶けるように消えていった。
残されたのはさらなる敗北感と、そして『真の主』という不気味な言葉だけ。
影の教団の背後にいた真の黒幕。
その輪郭が少しずつ、しかし確実に明らかになろうとしていた。
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