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第8話「聖なる秘宝と振り回される仲間たち」
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魔王軍幹部を(たまたま)撃退した僕は、いつの間にか「王国の守護神」などという、とんでもない二つ名で呼ばれるようになっていた。
そんな中、賢者たちの古文書解読がさらに進み、魔王を再び封印するための唯一の希望が見つかった。
「古の時代、勇者が用いたとされる『聖なる秘宝』。それを手に入れれば、魔王に対抗できるかもしれません」
秘宝は、大陸の最北端にある「忘却のダンジョン」の最深部に眠っているという。
国王は、僕を隊長とする秘宝探索隊の結成を命じた。
「いやいやいや、隊長なんて絶対無理です! 道案内くらいなら……」
「悠殿、君以外にこの大役を任せられる者はいないのだ!」
僕の辞退は、もはや誰の耳にも届かない。
こうして僕は、護衛として王国最強と謳われる騎士団長ガイウスと、宮廷魔術師長である老婆エリンを伴って、秘宝探しの旅に出ることになった。
ガイウスは実直な騎士で、僕に絶対の信頼を寄せている。
エリンは経験豊富な魔術師で、僕の力の正体を探ろうと常に観察している。
二人とも、超一流の常識人だ。だからこそ、僕の無自覚な行動に振り回されることになる。
「忘却のダンジョン」は、その名の通り、凶悪な罠と強力な魔物がひしめく死地だった。
「気をつけろ、悠殿! この先は、矢が飛び出す罠があるはずだ!」
ガイウスが警告した直後、僕が床のスイッチとは全く関係ない場所で、うっかり小石につまずいた。
ドッタン!
「うわっ!」
僕が転んだ衝撃でダンジョン全体が軽く揺れる。
すると、壁から発射されるはずだった数千本の矢が、ガションガションと音を立てて壁の内部で詰まり自壊した。
「……罠が、壊れた……?」
エリンが呆然とつぶやく。
「よかったぁ。僕が転んだせいで作動しなくて。ツイてますね!」
僕は能天気に笑う。
またある時は、強力な炎を吐くサラマンダーの群れに遭遇した。
「わしが水系の魔術で対抗する! 悠様はご無理なさらず!」
エリンが詠唱を始めようとした時、僕は熱気に汗をかきながら、こうつぶやいた。
「うへぇ、暑いなぁ……。少し涼しくならないかなぁ」
その瞬間、ダンジョンの天井から冷気が吹き下ろし、サラマンダーたちは一瞬でカチンコチンに凍りついた。
ダンジョン内は快適な温度になった。
「……絶対零度(アブソリュート・ゼロ)の広範囲制御だと……? ば、馬鹿な……」
エリンは詠唱を中断し、自分の魔術の常識が崩壊していくのを感じていた。
「お、涼しくなりましたね! このダンジョン、空調も効いてるんですかね?」
「「…………」」
ガイウスとエリンは、もはや僕に何も言うまいと心に決めたようだった。
その後も、猛毒の沼が僕の「水が濁ってて嫌だなぁ」の一言で浄化されたり、ゴーレムが僕のくしゃみの風圧で粉々になったりと、僕の「なんとなく」の行動によって、あらゆる困難は困難でなくなっていく。
ガイウスとエリンは当初の緊張感はどこへやら、ただ僕の後ろを、遠足についてきた保護者のような顔でついてくるだけになっていた。
僕が世界最高難度のダンジョンを、ただのハイキングコースに変えてしまっていることに、僕だけが気づいていなかった。
そんな中、賢者たちの古文書解読がさらに進み、魔王を再び封印するための唯一の希望が見つかった。
「古の時代、勇者が用いたとされる『聖なる秘宝』。それを手に入れれば、魔王に対抗できるかもしれません」
秘宝は、大陸の最北端にある「忘却のダンジョン」の最深部に眠っているという。
国王は、僕を隊長とする秘宝探索隊の結成を命じた。
「いやいやいや、隊長なんて絶対無理です! 道案内くらいなら……」
「悠殿、君以外にこの大役を任せられる者はいないのだ!」
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二人とも、超一流の常識人だ。だからこそ、僕の無自覚な行動に振り回されることになる。
「忘却のダンジョン」は、その名の通り、凶悪な罠と強力な魔物がひしめく死地だった。
「気をつけろ、悠殿! この先は、矢が飛び出す罠があるはずだ!」
ガイウスが警告した直後、僕が床のスイッチとは全く関係ない場所で、うっかり小石につまずいた。
ドッタン!
「うわっ!」
僕が転んだ衝撃でダンジョン全体が軽く揺れる。
すると、壁から発射されるはずだった数千本の矢が、ガションガションと音を立てて壁の内部で詰まり自壊した。
「……罠が、壊れた……?」
エリンが呆然とつぶやく。
「よかったぁ。僕が転んだせいで作動しなくて。ツイてますね!」
僕は能天気に笑う。
またある時は、強力な炎を吐くサラマンダーの群れに遭遇した。
「わしが水系の魔術で対抗する! 悠様はご無理なさらず!」
エリンが詠唱を始めようとした時、僕は熱気に汗をかきながら、こうつぶやいた。
「うへぇ、暑いなぁ……。少し涼しくならないかなぁ」
その瞬間、ダンジョンの天井から冷気が吹き下ろし、サラマンダーたちは一瞬でカチンコチンに凍りついた。
ダンジョン内は快適な温度になった。
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エリンは詠唱を中断し、自分の魔術の常識が崩壊していくのを感じていた。
「お、涼しくなりましたね! このダンジョン、空調も効いてるんですかね?」
「「…………」」
ガイウスとエリンは、もはや僕に何も言うまいと心に決めたようだった。
その後も、猛毒の沼が僕の「水が濁ってて嫌だなぁ」の一言で浄化されたり、ゴーレムが僕のくしゃみの風圧で粉々になったりと、僕の「なんとなく」の行動によって、あらゆる困難は困難でなくなっていく。
ガイウスとエリンは当初の緊張感はどこへやら、ただ僕の後ろを、遠足についてきた保護者のような顔でついてくるだけになっていた。
僕が世界最高難度のダンジョンを、ただのハイキングコースに変えてしまっていることに、僕だけが気づいていなかった。
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